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ニューヨークの人気イベントで見た、食品パッケージの在り方

ブルックリンのフードマーケット、スモーガスバーグ

スモーガスバーグ( Smogasburg) は、ブルックリンの人気フリーマーケット、ブルックリン・フリー(Brooklyn Flea・2008年スタート)の創業者、Eric Demby氏とJonathan Butler氏が、ブルックリンとマンハッタンの様々な場所で100社以上のローカルベンダーを紹介する、2011年5月にスピンオフした週末のフードマーケットです。

ブルックリン・フリーがインドアになる冬の間は、スモーガスバーグもインドアになり、規模は大分縮小されますが、4月〜11月のアウトドアのシーズンには2万〜3万人の人々を誘致する人気イベントで、ニューヨークタイムズ紙は、その人気ぶりを「食のウッドストック( Woodstock of Eating )」というキャッチコピーで表現しています。

写真:The New York Timesより

写真:プロスペクトパーク会場の夏の様子。

スモールビジネスのサポートにも大きく貢献

スモーガスバーグは、スモールビジネスのサポートとしての役割も大きく、創業以来、数十社の参加ベンダーが中小企業へのステップアップを果たしました。

写真:VOICE(2014年掲載)。ブルックリン在住のEric Demby氏とJonathan Butler氏。ともに40代。

彼らはビジョンに、イベントを人気にするのみならず、個々に業務用のキッチンが持てないベンダーのためにキッチン付きのスペースを格安で提供するなど、スモールビジネスのサポートを、スモーガスバーグの主軸に置いていて、その点も評価が高いです。

ベンダーが使用している食品容器は100%コンポーザブル

スモーガスバーグへの参加資格には、使用する食品容器はコンポーザブルであることが必須。イベントで出たゴミは、NPO団体ROHO COMPOST http://rohocompost.org が収集。「ニューヨーク市の食品ゴミをゼロにする」試みのPRにも一役買っています。2017年8月分のスモーガスバーグの約70,000kgのゴミが肥料になりました。*ニューヨーク市は2030年までにZERO WASTE市を目指しています。

写真:スモーガスバーグのインスタより。屋外会場で撮影。写真の容器はすべてコンポーザブル。

冬のフリマに出かけて、スモーガスバーグを体験

冬のニューヨークは、気温がマイナスになるほど寒さが厳しいので、野外でのイベントはできませんが、インドアに移ったブルックリン・フリーには、会場内のスモーガスバーグと、隣接したビルには新しくフードコートもできて “美味しいブルックリン“がたっぷり楽しめます。

場所はインダストリーシティと呼ばれる新開発地区。数年前までは危険で一人歩きできない(しないほうがいい!)地区でしたが、ブルックリン・フリーがこの地域を冬の会場に選んだ2015年頃から開発が進み、注目されはじめました。 

写真:フリマ会場。大きなビルの2階がフリマとスモーガスバーグの会場。

写真:こちらがスモーガスバーグの一角。

多国籍のストリートフードが楽しめるスモーガスバーグ

写真:外が寒いと、湯気が立ち上るこんな風景に惹かれます。


これは上海の屋台フードからインスパイアされたというJianbing Company のブース。 

ベンダーが使っている人気の容器は2種類

パケトラ目線で会場を回ると、多くのベンダーが船形と三角ポケットのような形の紙製の食品容器を使っていることに気がつきます。アイデアにあふれた食品容器を一部ご紹介していきます。

写真:南イタリアのABRUZZO地方のストリートフードのベンダーD’ABRUZZO。ここでは両方の容器を使っていますね。

ソースを入れるポケットがついた三角の食品容器

これはなかなか使いやすい!と感心。以前は、このポケットがなかったためにソースは上からかける=つまみにくい、手が汚れる、でした。食品容器にこんな便利な機能って構造の工夫一つなんだろうな~と関心していました。 

写真:便利なソースポケットがついている三角の食品容器。これは春に撮影したもの。

アイデアの根源は折り紙?折り紙の鶴の頭を折るような感じで、ポケット部分を広げます。 

写真:食べ終わったら小さく簡単に折り畳めます。あまりきれいじゃなくてすみません。

写真:スタンドにも注目。POPもかわいくオシャレで惹かれます。

パンやタコス系は船形の容器

写真:グリルドチーズサンドはディップソースとポテトチップ付き。

写真:見栄えもよく、持ちやすい。

ブルックリン・フリーからスタートしたRICE & MISO

ここで紹介するブルックリンのボーラムヒル地区にショップを構えるRICE & MISOも実はスモーガスバーグの卒業生。https://www.riceandmiso.com 

写真:RICE & MISOのエントランス

小さなショップながらセンスのいいインテリアと、玄米を使ったオーガニックなおにぎりとお惣菜が地元の人たちに人気です。ケータリングもスタートして、順調にビジネスを伸ばしています。

写真:閑静な住宅地にある店内は、白を基調に、玄米(ブラウンライス)のイメージカラー薄茶色のメニューボードをアクセントにした店内ディスプレイ。

RICE & MISOも船形でディスポーザブルな食品容器を継承しています。

写真:コーン入りの焼きおにぎりを薄紙で包み、ペーパーナプキンと一緒に食品容器に入れて。

パッケージの未来、これからの暮らし

スモーガスバーグのバックストリートを頭に置きつつ会場を歩いた日曜日。パッケージの未来は、エコや地域貢献なしに考えられないという強いメッセージを感じました。

スモーガスバーグで売られているストリートフードは、実はストリートフードらしからぬお値段です。例えば、上で紹介したJianbing Companyの(お肉が入らない)オリジナルは9ドル。お肉やお豆腐のトッピング入りは12〜13ドル。日本円にすると約1500円!です。場所の使用料はわかりませんが、コンポーザブルな容器を選ぶコストも、その中に入っています。

消費者が「かっこいい!けどブルックリンは高い」で終わらずに、なぜその値段がついているのかを考え、ひとりひとりがライフスタイルと価格の関係を、自覚を持って見直す時期が来ている。スモーガスバーグは、そんな時代の流れを、消費者や生産者、自治体にも知らしめるパイオニア的な存在なのだなと改めて思いました。 

(2018年3月までの会場) 
Brooklyn Flea + SMORGASBURG 
10am-5pm 
毎週土・日曜開催 
Industry City 241 37th St ( 2nd Floor ) Lincoln Rd. Brooklyn.
最寄り駅 Rラインの36ST駅下車 徒歩約7分

http://brooklynflea.com 
https://www.smorgasburg.com 

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