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イタリア企業が仕掛ける「人が集まる」プロモーション展開

 

写真:NYの最新Eataly2号店

ニューヨークをはじめ世界各地で、イタリアの食文化をテーマにフードマーケットを展開し、急成長を遂げている Eataly は、食を通じて世界に自国の文化を伝えていくことに成功している注目のお店です。ニューヨークに初めて Eataly が登場したのが8年前、ニューヨーク、マンハッタンのフラットアイアン地区にイタリアをテーマとしたグルメフードマーケットとして誕生しました。店内では、イタリア料理のレストランや軽食のお店の他、チーズ、ハム、オリーブオイル、ワイン、イタリア雑貨などイタリアに関連する商品が数多く並んでおり、イタリアの魅力が伝わって来る、思わず旅行に行きたくなってしまうような雰囲気のマーケットです。マーケットに並んでいる商品の多くは、イタリアからやって来ており、イタリアの生産者と世界中の消費者を結ぶと共に、世界中にイタリアの魅力をアピールする絶好の場にもなっています。
Eataly は、世界で拡大中で、昨年、ニューヨークのダウンタウンの現在急速に発展中のワールドトレードセンターエリアに、ニューヨークの2号店が誕生しました。イタリアをテーマとしたコンセプトはそのままですが、店舗は、新しい時代とロケーション、顧客層に合わせたデザインとなっており、1号店とはまた違った魅力のある店舗となっています。

11年目を迎え成長を続ける Eataly

Eatalyは、イタリアのトリノで、2007年に誕生したイタリアングルメフードマーケットで、現在では、世界各地に展開しています。アメリカには、ニューヨークに2店舗の他、シカゴ、ボストン、ロサンゼルスにもあります。昨年、イタリアの中でもグルメ都市として知られるボローニャ近郊に、Eatalyの店舗の中で最大となる「パスタのディズニーランド」とも言われる食のテーマパーク(FICO Eataly World)もオープンし、急激な成長を遂げており、2018年のイタリア証券取引所(Borsa Italiana)へ上場する可能性がある、というニュースも耳にします。
先日、フラットアイアン地区にあるニューヨークの Eataly 1号店では、Eataly誕生11周年の感謝祭が開催されました。普段からイタリアの食のミニテーマパークのような雰囲気でたくさんの人が集まって来ていますが、この日は、さらに盛大にケーキとグラスワインが振舞われ大盛況の日となっていました。

写真:Eataly誕生11周年の感謝祭イベント。白ワインとケーキのギブアウェイでプロモーション活動が行われていました。

  来店者に振舞われる美味しいグラスワインは、効果覿面だったようで、ワインを片手にショッピングを楽しむ姿が店内のあちらこちらで見受けられました。一杯のグラスワインで売り上げが大幅アップの様相が見られ、前代未聞の大行列のレジとなっていたのです。 店内のバーやレストランも大繁盛。人々が集まり賑わうこの密度感がいかにもイタリアっぽい印象を受けます。

写真:大繁盛のレストランとバーカウンター。


ロケーションと顧客層に合わせた人の集う店舗デザイン

ダウンタウンに昨年登場した2号店は、1号店の雰囲気とまた違った感じで、よりオープンスペースを生かし、広くて明るい、洗練された店舗となっています。ディスプレイにも今の時代にあった工夫が色々と凝らされています。

写真:Eataly 2号店の店内の様子

  イタリアンカラーで彩られたディスプレイとフレッシュな素材の食材がガラスのショーケース越しに見えて惹きつけられてしまいます。また、調理の様子がガラス越しに見えたりと、上手に人の興味を引く工夫がされています。そして、そんなクッキングの様子が見えるウィンドウ前には、クッキング本なども置かれています。

写真:フレッシュな素材が並ぶガラスのショーケース。

  イタリアの食を広く知ってもらうという教育も一つのテーマとなっており、広い店内には、ミュージアムのように生ハムやチーズも飾られ、どんな種類があるかなどについて解説されています。
また、フリーフードユニバーシティという、無料のクッキングスクールコーナーもオープンし、人々が集まり、イタリアの食を楽しめる仕組みが色々と用意されています。
 

写真:まるでミュージアムのように展示されているイタリアの食材。

最近人気の広々としたガラス張りの空間スペースをシンプルに利用したレストラン。オープンコンセプトで、ダイニングも調理場も広々とよく見えるというまさに今風の店舗となっています。レストランにも関わらずジェラートアイスのカートを中央に配置しイタリアらしさを表現するアクセントとなるディスプレイです。

写真:ジェラートアイスのカートが中央に配置されるイタリアらしさを感じさせるプロモーション展開。

  1号店は昔ながらのイタリアらしさの雰囲気を感じるお店の作りとなっていますが、お店のディスプレイだけでなく、店員の対応もイタリア的な感じがします。
チーズショップでは待っているお客さんのためにチーズをカットしてテイスティングをさせてくれ、そこで生まれる対話なども大切にしています。老舗のイタリア食材店を訪れたことがある人なら必ず経験したことがあると思いますが、この店員と客の対話の時間を大切にするため、買い物にとても時間がかかります。後ろにお客さんが待っていても何をしていても、じっくりと納得がいくまで味見をし、あれこれお店の人と会話を楽しみながら、買い物をします。そんなイタリアの昔ながらのカルチャーが伝承されているように感じられる1号店に対し、2号店はどちらかというと合理性も重んじるお店となっています。忙しいビジネスパーソンの多いオフィス街という場所柄、効率的に時間をかけずにすむようになっています。ロケーションや顧客層に応じて、店舗のデザインは異なりますが、お祭りのように賑やかな雰囲気の中、ショッピングや食事を楽しむことができ、食を通じイタリアの魅力を伝えるコンセプトに変わりはありません。

写真:ハムとチーズがぶら下がるイタリアらしい売り場でのプロモーション展開。

ニューヨークでは、期間限定で様々な国や地域の旅行プロモーションイベントが行われていますが、単発イベントではやはりコンセプトがはっきりせず、長い目で見た場合に、その場限りの効果の薄いプロモーションとなっています。その点、イタリアの食文化を世界に広めるという強いコンセプトの下、自立し、継続的に成長を続ける Eataly は、フードマーケットであるだけでなく、イタリアという国のプロモーションを担う特筆すべき存在になっています。
イタリアと並び、食や伝統工芸など魅力の多い日本も、継続的に世界に向けて文化や魅力を発信していく上で、Eataly は素晴らしいモデルとなる存在ではないでしょうか。

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