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アメリカで人気!フレッシュなアーモンドミルクを作れるマシーン「NuMilk」

アメリカでは昨今、牛乳の代替品として植物由来のミルクが人気ですが、その中でもヘルシー志向なコーヒーファン層の支持を受け、すっかり定番化した飲料がアーモンドミルクです。数年前までは一部のスーパーのみでの取り扱いでしたが、今では多くの店舗で簡単に手に入れられるようになりました。

さらにWhole Foods Marketなどのハイエンドスーパーにいたっては、その種類も豊富で、常温保存が可能な商品から要冷蔵の商品、無糖タイプやチョコフレーバーなど様々な種類が販売されています。

写真:スーパーのアーモンドミルクセクション

環境へ配慮した生活・資材への関心が高まるニューヨーク

ニューヨーク州議会は、現州知事の2019年予算案に含まれる使い捨てプラスチックバッグを禁止する法案に合意しました(2020年より施行)。ニューヨーク州ではプラスチックバッグだけではなく、使い捨てストローの廃止も議会にて検討されています。こういった政府機関の働きかけもあり、環境への負荷を減らす生活、資材に対する関心が以前よりも幅広い市民の間で広がっています。

そこで今回は、原料・容器へのこだわりだけでなく、テクノロジーを活用して製造過程における環境負荷を減らし、新たな提供方法で注目を集めるブランド「NuMilk」の取り組みを紹介します。

写真:ニューヨーク市が各店舗に送付した、使い捨てプラスチックバックの使用禁止に関する通知。 @patch https://patch.com/new-york/new-york-city/nyc-starts-rolling-out-5-cent-plastic-bag-fee-defying-state-officials

フレッシュなアーモンドミルクを作れるマシーン「NuMilk」

写真:Whole Foods Marketに登場した、NuMilk専用マシーン

NuMilkは、専用マシーンで皮ごとアーモンドを粉砕し、その場でアーモンドミルクを作るブランド。原料は、アーモンド、水、メープルシロップのみ。スーパーで販売されている通常のアーモンドミルクとは異なり、保存料などを使用せず作られていること、また皮ごと使用するため栄養価が高いことが特徴です。

NuMilkのボトルはリサイクル可能な資材で作られており、都度洗えば繰り返し使用することも可能です。とても軽いボトルのため、お買い物の際に毎回お店まで持っていくことが苦にならないことは、消費者としては嬉しいポイントです。

写真:NuMilkのパッケージデザイン。シンプルでおしゃれです。

提供方法も画期的。ボタンを押すと同時にアーモンドの粉砕が始まり、30秒ほどで作りたてのアーモンドミルクが出てきます。操作方法は至って簡単。写真と共に紹介します。

まず、マシーンの棚に置いてある空のボトルを、ボトル置き場にセットします。

写真:ボトル置き場。置く位置がわかりやすいようにイラストで示されています。

タッチスクリーンでOriginal(アーモンド、水、メープルシロップ)かUnsweet(アーモンド、水)を選びます。

写真:甘さの選択画面

アーモンドを粉砕している音がし、少し待つとアーモンドミルクが出てきます。

写真:ミニスクリーンに完了までのカウントダウンが表示されます。

そして、30秒ほどで32ozのボトルがいっぱいに。

写真:注がれている様子。

アーモンドミルクが注ぎ終わると賞味期限・原材料表のシールが出てくるのでボトルに貼り、完成です。

 

また、電子スクリーンは操作方法の指示以外にも、パッケージだけでは伝えきれないブランドの世界観や商品のPRポイントを見込み客へに伝えることにも活用されています。

写真:商品のプロモーション画面。絵で表現しているので、幅広い層に伝わりやすいと感じました。

なお、急いでいる人や何本も購入したい人にとっての利便性も考慮し、マシーンに内蔵されているミニ冷蔵庫の中には毎日お店の人がマシーンから注いだアーモンドミルクが納入されています。

写真:ミニ冷蔵庫には既に出来上がったアーモンドミルクが入っています。

NuMilkが「マシーンを店内に置いてその場で製造する」というアイデアに至ったのには、これまでの食品業界の常識を覆し、持続可能社会の実現に貢献するというミッションを持っていたからだと、創業者が店頭インタビューで教えてくれました。

会社設立前、彼が食品業界に務めていた際に、予想を上回る食料廃棄量の多さとサプライチェーンにおける資材を含めた廃棄物の多さに驚いたと言います。通常、それぞれの工場が持つ機械や設備が異なるため一つの工場で製造が完結することは少なく、それゆえ各工場への輸送に際し、資材などの廃棄物が多く発生しているのだそうです。 また、店舗までの輸送距離(フードマイレージ)がとても長いため、輸送に伴うエネルギーやCO2により地球環境への負荷が増えるという別の課題も発生しているのだと言います。

原料から最終製品を作れるマシーンを店舗に導入するというアイデアは、これらの課題を解決し、これまでの食品メーカーが実現できていなかった「環境に配慮した商品づくり」を可能にしたと語ってくれました。 今後も、このような商品づくりを特徴とするブランドがどのような手法で他社との差別化を図っているのか、レポートしていきたいと思います。

 

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