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大ヒットオンラインコスメのブランディングとパッケージ戦略 in ニューヨーク

オンライン販売だけでヒットしたコスメ

写真:オリジナルのコスメケースが並ぶ華やかなディスプレイ。

コスメといったら、従来は自分の肌に合うかを、実際に店舗で試してみてから購入することが多い商品だったため、店舗の存在が重要でしたが、昨今では、オンラインだけでヒット商品を生み出すことができる時代となってきています。そんなお手本のようなブランドのひとつがニューヨーク発のコスメブランド、Glossierです。このブランドは、創業者の Emily Weiss さんが個人で運営していたコスメブログ "Into the Gross" がきっかけとなり誕生しました。自身のサイトとSNSの運営を通じ、コスメ好きたちからの直接のフィードバックを得ることもできる強力なマーケティングプラットフォームをすでに築いており、ファン層を確保していたこともあり、短期間での驚きの成長を遂げました。

そんなGlossierのブランドの成功の秘訣は、オンラインでのマーケティング力以外にも、その商品自体の魅力と、そのブランドの販売戦略にも見られます。このブランドの徹底された以下3つのポイントにおいては他社を抜き出たものが感じられます。

1.考え抜かれた効率的・効果的な販売手法

2.普段メイクをしない人でも毎日使いたくなる徹底した使いやすさ

3.機能的かつ写真映えするこだわりのパッケージ

 

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行列のできるショールーム 効率的・効果的な販売手法

写真:清潔感のある明るい雰囲気のショールーム。

 

Glossierは、オンライン限定販売コスメとして、本当にオンライン販売のみで成長してきました。しかし、昨年末、本拠地のニューヨークで、初のショールームがオープンしました。それが「ペントハウス」にオープンしたショールームで、オープン早々、連日大行列ができる大反響となっていました。

ショールームの場所は決してお洒落なストリート沿いではなく、またビルも普通のビルなのですが、最上階の「ペントハウス」にあるという触れ込みがまたファンたちの心をくすぐる、ファンなら是非訪れてみたい場所となっています。

ショールームの中は白を基調としたとても明るいショールームとなっていて、お客さんは自由に好きなだけゆっくりと商品を試用してみることができるようになっています。スタッフたちは女性だけでなく、男性もおり、ブランドのイメージ通りのお堅くない、フレンドリーな、だけど洗練されている居心地のいい雰囲気の場所となっています。

コスメの販売というと、デパートのコスメ売り場が一番に思い浮かびますが、この新世代のブランドは、販売のフローも新方式です。近くにいるスタッフに声をかけ、購入したい商品を伝えると、サクサクと手に持っているiPad に情報を入力して、クレジットカードも通して、お会計を済ませてしまいます。すると、スタッフとお話をしている間に、裏のスタッフが商品を袋詰めし、はいどうぞ、と手渡してくれてしまう、お客さんとしては待たされている感覚もないまま一瞬のうちに商品が用意されるという、オンライン発のブランドならではのとても効率的なシステムになっています。

渡された商品には、お客さんに宛てた心温まる手書きのイラストと名前が書かれたカードが入っていて、さらにブランドの可愛いデコレーションシールと、商品のサンプルと、想定していた以上に袋の中に色々入っていてちょっとうれしい気分にさせられます。

写真:メッセージカードやサンプルなど色々入ったショッピングバッグ

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普段メイクをしないけれどこれなら毎日できる!と思わせる使いやすさ

写真:パレットもチップもいらない携帯性に優れたアイシャドウ。

アイシャドウと言ったら「アイシャドウパレット」に「アイカラーチップ」というのがずっと当たり前の形として定着してきましたが、実際、みんながどうやってメイクをしているかという点に注目すると、指でアイカラーメイクをする人というのが実は結構います。理由は明快、その方が簡単だから、チップを使うのが面倒だから、という非常にシンプルな理由なのですが、このブランドはそういった人々の行動をしっかりと反映させ、アイシャドウは、パレットではなく、シンプルだけど可愛い、そして使いやすい、携帯しやすい、こんな試験管のようなケースにしています。

使い方はとてもシンプルで指で伸ばすだけです。販売されている色のラインアップは、混ぜて使うことも考えられた色の取り揃えになっています。

より手軽にメイクができる、ということ以外にも、このケースにすることによって、アイシャドウパレットみたいに、持ち歩いたときに粉々になってケースの中が汚れたりしない、という利点もあり、また何よりも携帯性に優れた、とても合理的なスタイルのアイシャドウカラーとなっています。

 

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アートなセンスが光るコスメとパッケージ

写真:ブランド誕生のきっかけとなったコスメサイト Into the Gloss。

 

Glossierは、初めてお肌の手入れをする、初めてお化粧をする、コスメビギナーの教育をしていくような存在のブランドでもあります。

そんなビギナーたちにわかりやすいように、1にスキンケア、2にメイクアップ。正しいスキンケアで肌そのものを美しく保つこともブログを通して教えていて、それがそのままこのブランドのコンセプトとなっています。商品のラインアップも、まずは「フェイズ1 スキンケア」、そして次に「フェイズ2 メイクアップ」となっています。そのフェイズ1の商品ラインアップの中でも人気のものの一つがこちら美容液です。「スーパーグロウ」という、いかにも輝くような美しさが手に入りそうなネーミングですが、このブランドの商品はどれも感覚的にわかりやすい記憶に残る気の利いたネーミングになっています。スーパーグロウは、ビタミンCの美容液なのですが、他社ブランドでよくある、薬のイメージのダークカラーのボトルではなく、かといってただの無色透明なボトルでもない、ありそうで意外となかった素直にビタミンを連想させるビタミンカラーを生かしたボトルになっています。でもこちら、写真を見ていただくとわかりますが、実はボトル自体は本当は白の半透明です。では液体がオレンジ色?と思うところですが、液体はピュアな無色透明です。では、この綺麗なオレンジカラーはどこから来ているのでしょう?マジックのようですが、これは、実は表示のシールの裏側が濃厚なオレンジ色になっていて、それが光によって半透明のガラスのボトルを通して、綺麗なグラデーションのきいたお洒落なカラーとして映っているのです。

美容液は3種類あるのですが、基本のボトルとベビーピンクカラーの蓋の部分は共通で使用していて、シールだけ使い分けています。思わず3色集めてみたくなる可愛い見た目で、こんなお洒落な美容液は意外とないかもしれません。

写真:綺麗なビタミンカラー色が光で透けて見えるボトル。

 

アートなデザイン性を持つコスメブランドの象徴的なケースのひとつがこちらです。チークカラーなのですが、まるで絵の具のような見た目です。さらに可愛い絵の具感を引き立てているのが、周りのシルバーの箱のパッケージなのですが、こういうちょっとしたプラスアルファの工夫で商品の印象というのは変わってきます。商品の見栄えに関しては、このブランドでは徹底したこだわりが感じられ、どれも本当に写真映えする商品ばかりとなっています。

写真:光沢のあるシルバーの箱に入ったコスメ。

 

そして、化粧水などのパッケージの箱も、ブランドのテーマカラーのベビーピンクとホワイトの外観に、中はスマイリーがいっぱい描かれたデザインにするなど、細部までこだわりが感じられます。

写真:化粧箱(パッケージ)を開けると内側にもスマイリー柄。

 

購入した商品は、オリジナルのピンクのコスメポーチに入れてくれるのですが、これがなかなか優秀なポーチです。

実はこちら、素材は梱包材のエアキャップでできているのですが、見た目以上にしっかりと作られていて、ポーチとして繰り返し利用できるレベルです。オンラインで販売している会社ならではのアイディアですが、配送するときに、箱の中にエアキャップを入れるのは、結局ゴミになるだけでエコではないので、ポーチの形にして、再利用可能したのがこのポーチです。このブランドらしいカラーで、しっかりと作り込まれています。

写真:エコなエアキャップコスメポーチ。

 

Glossier を含め、ブランドの成功は、商品、パッケージ、マーケティングなど様々な側面でのトータルコーディネーションの成果と言えると思いますが、共通して言えることは、そのブランドならではの強いこだわりが必ず随所に見られる点です。オンラインでの存在がブランドの販売力を大きく左右する今の時代、商品そのものの質がいいことはもう当然のことであり、それに加え、商品のパッケージなど細部にまで行き渡る、そのブランドならではの細やかなこだわりを伝えられることが、他ブランドとの差別化となっています。

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