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安心&ヘルシーさを見せる企業のパッケージ展開 in フランス

日本のスーパーで見かけるケーキミックスといえば、ホットケーキが圧倒的に多いと思いますが、フランスでは数も種類も格段に多く、チョコケーキだけでもフォンダン、マーブル、モワルーとあり、色んなフレーバーのパウンドケーキやカップケーキ、カヌレ、マドレーヌ、クッキーと製菓食材のコーナーにずらりと並ぶ姿は圧巻です。中でも棚の大部分を占めるのが、1896年創業で、ベイキングパウダーで有名な老舗の製菓食材メーカーAlsa(アルザ)の商品。ピンク地にブルーのロゴ、その横に必ず描かれるアルザス(創業者の出身地)の民族衣装を着た女の子がトレードマークです。

陳列しやすく分かりやすい紙製の箱がパッケージの王道

中心地にあるモノプリの陳列棚。大型スーパーはこの3倍ほどのスペースがケーキミックスに当てられる。

一般的なケーキミックスのパッケージは紙製で、箱を開けると、ミックス粉やチョコチップなどの材料が何の変哲もない透明なビニール袋に分けて入れられています。表側には、おいしそうに焼きあがったケーキの写真がパッケージに大きく印刷され、ミックス以外に必要な卵やバターといった材料が記されており、棚一面に並ぶミックスの中からでも、ひと目で自分の欲しいものが見つかる大変便利なパッケージと言えます。 時間のない時や急な来客があった時などのために、1、2箱を常備しておくという家庭もあり、かなり重宝がられているケーキミックスではありますが・・・案外、後ろめたい気持ちで使っているフランス人がいるのも事実。フランス人と話していると、「ケーキミックスは人工的で何が入っているか分からない」「便利だから使っているけど、本当は自分で手作りしたケーキが一番よね」といったコメントをよく耳にします。残念ながら、手ばなしでケーキミックス大好き〜!と言える人はさほど多くないのかもしれません。

ケーキミックスに安心感をプラスする工夫

郊外の大型スーパーにて、発売直後のプロモーション戦略。

Alsaが最近発表した新商品は、そんなネガティブなイメージをくつがえすような戦略的なパッケージがポイント。透明なガラス瓶にミックスや材料を層状に詰めた、瓶詰めのケーキミックスです。ずっと代わり映えのしなかったカートン箱の並ぶケーキミックスの棚に、新たな風が吹き込んだような印象。

横から中身がきれいに見えるパッケージ。

通常、スパイスやハーブなどのためのパッケージというイメージのスリムなガラス瓶。透明で中身が見えることで、「何が入っているか分からない」というケーキミックスに感じていた不安を和らげる効果が期待されます。ケーキやクッキーの粉物の材料を瓶に重ねて詰めるスタイルは、数年前からインスタやピンタレストなどでも話題を呼び、「おしゃれでかわいい」という好印象もあります。また、ガラス素材という昔ながらの容器の素朴さやリサイクル性に惹かれる消費者もいるでしょう。

ケーキミックスの老舗が時代の流れをキャッチして、大手スーパーで瓶詰めミックスを展開することで、これからのケーキミックスのあり方やイメージ戦略も変わっていく予感がします。

スペースを最大限に活用して必要な情報を凝縮

これだけコンパクトでもカートン箱と同じ情報量を入れ込むレイアウトが素晴らしい。

ガラス瓶の透明性を100%キープするために、瓶そのものに文字や写真がプリントされたシールが貼られていません。商品名をはじめ、必要な情報を記すために、瓶の上からゼッケンのような形式の厚紙がかぶされています。従来の箱よりも、かなりスペースが縮小されるため、すべての情報を入れ込むためにレイアウト上の工夫がされています。前後、底の面だけでなく、紙を外した裏面にも隙間なく情報を散りばめています。

厚紙をはがした裏側。カラフルな背景とお菓子の写真でポップに。

【前面】
・瓶詰めということが分かるよう、等身大のガラス瓶とミックスの中身が写った写真をフィーチャー。
・ケーキの種類の名前と焼き上がった姿の写真を大きめに入れる。
・この他に用意すべき材料をイラストと共に、個数やグラム数まで細かく表示。
・準備にかかる時間、オーブンで焼きあげる時間を表示。
・着色料、保存料不使用の文字。
・1人前辺りのカロリー。

【背面】
・作り方の説明。
・栄養成分の表示。

【底面】
・容量数、賞味期限の表示。
・材料の表示。

【裏面】
・ケーキの焼き方をさらに詳しく、コツを交えて説明。
・同じ瓶詰めシリーズの他の商品を写真付きで紹介。

パリジェンヌをとりこにするオーガニックのケーキミックス

真っ白でピュアなイメージのマルレットのパッケージ。ケーキの写真が切り抜きなのがポイント!

もう1つ、ケーキミックス界に流れる新しい動きとして紹介したいのが、すべてオーガニックにこだわったブランドMarlette(マルレット)。フランス大西洋岸に浮かぶレ島出身の姉妹、マルゴとスカーレットが2010年に立ち上げました。当時としては原材料がすべてオーガニックのベーキングミックスはかなり珍しく、「人工的で不健康そう」というイメージをガラリと変えました。レ島で採れる海塩や石臼で丁寧に挽いた小麦粉、未精製のキビ糖など、厳選した上質な味わいの素材を用いた点も、ヘルシー志向の女性たちが強く惹かれた魅力と言えるでしょう。

どのパッケージがどのお菓子なのか、分かるディスプレイ。写真とは異なる形のケーキ型を使うところも面白い。

このブランドを語る上で忘れてはいけないのは、その洗練されたパッケージ。今までの、文字や写真がにぎやかに散りばめられたカートン箱とは180度路線を変え、白を基調に、ロゴと商品名、切り抜きのケーキ写真をあしらっただけの超シンプルなデザインがとても斬新でした。エピスリーで買い物した時に入れてくれる紙袋のような形のパッケージもとても素朴で、おしゃれなパリジャン、パリジェンヌの目には新鮮に映りました。

ケーキを味わえるカフェ展開で、さらに不安を吹き飛ばす!

パリらしいセンスの良い店内。

随時、数種類の焼き菓子やケーキが揃って味わえる。

瞬く間に人気ブランドとなったMarletteは、パリのモンマルトル界隈にカフェをオープンしました。おいしいコーヒーや紅茶と共に、Marletteのミックス粉を用いた焼きたてのおいしいケーキが楽しめる場所。お店のオーブンで随時色んなケーキやお菓子が焼かれ、その場で味わって気に入ったお客さんは、棚に並ぶパッケージ入りのケーキミックスをすぐに購入できる仕組みです。

最後の飾り付けは自宅で作る際の素敵なアイデアになる。

ほかにも、オーガニックの果物や野菜を使ったフレッシュジュースとグラノーラ、自家製コンポートの朝食、ハム、卵、スープ、サラダ、スコーンなどボリュームたっぷりのブランチも揃い、「おしゃれでヘルシー」なトータルイメージの確立に成功しています。また、人気クリエイターとコラボレーションしたケーキミックスも発表することもあり、食の分野にとどまらず、多角的にMarletteを知ってもらうきっかけ作りに努力する姿がうかがえます。

Café Marlette
カフェ・マルレット

住所 : 51 rue des Martyrs 75009
メトロ : Pigalle ②⑫
http://www.cafemarlette.fr

→ Alsaのケーキミックス紹介ページ
→ Marlette公式サイト

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