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ニューヨークのインテリア・雑貨見本市から学ぶブランド戦略で大切なこと

ニューヨークでは、一年を通じて様々な見本市・展示会が行われています。そんなイベントの一つに、ニューヨークで年に2回行われ、世界中から数多くの出展者や、バイヤーたちが集まって来るインテリアと雑貨の大きな見本市、ニューヨークナウ(NY Now)があります。ニューヨーク最大のイベント会場、ジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センターで行われ、出展は、大きくわけて三つのテーマ、ホーム、ライフスタイル、ハンドメイドとあり、丸一日かけても全部を見切れない程の規模となっています。このような展示会では、商品のデザインやアイデア、トレンドを見て回るのも面白いですが、それと同時に各店が行っているお客さんの注目を引くための工夫、一瞬でお客さんの目を捉え面白そうと興味を持たせるディスプレイの工夫などに、なるほどと感心させられることが多くあります。

注目を集めるディスプレイへの一工夫

インテリアと雑貨の見本市では、似たような商品を扱う出展者が非常に多く、ブースを出せば多くの人が立ち寄ってくれるというものではありません。実際には人気のあるブースは常に人だかりができていますが、立ち寄る人がほとんどいないような静まり返ったブースというのも数多く存在します。人が集まっているブースは、そのこと自体が新たに人を呼び寄せる効果があるので、まずは目の前を通る人たちの目に留まり、興味を持ってもらい、立ち止まってもらうことが重要になります。定番の有力ブランドが並ぶ中、特に、新しくスタートしたばかりの新ブランドは、アテンションを引くための工夫がより大切になります。 人を集めることに成功していたお店のひとつはこちらのお店です。キャンドルショップですが、可愛いものが好きな客層を狙うのであれば、マカロンのようなみんなが釘付けになる可愛いアイテムを商品の周りに飾り、イメージ戦略で商品をより魅力的に見せるのも面白い手です。

写真:マカロンで飾るキャンドルショップのディスプレイ。

  華やかなお花で店内を飾るのもブランドイメージアップで、華やかで高級感のある、エレガントなブランドに見えてきます。

写真:ブランドのイメージアップに美しい花のディスプレイを。

  消費者のターゲット層が決まっているような場合は、そんな消費者のイメージが想像できるような写真をディスプレイに使いアピールしている出展者もいました。こちらのブランドは明確に10代の若い層をターゲットにしている商品展開なのですが、そのラインの商品を扱うお店だったら、目ざとく見つけて立ち寄ってくれるでしょう。

写真:消費者のイメージをディスプレイに使っています。

  お店の敷地からはみ出るくらいの存在感のあるディスプレイによるプロモーションでお客さんのアテンションを引いているブランドもありました。直接商品とは関係なくてもブランドのイメージと合っていて、お客さんを楽しませる、または感動させることができればOKです。一気に春がやってきたような華やかな蝶々が舞っている存在感のあるディスプレイでした。

写真:注目を集める華やかな蝶々飾りのディスプレイ。

  面白いと思ったのがこちら、リアルな子供の等身大の紙ボードを作り、通る人たちと目が合うような配置でプロモーション展開してありました。このお店の商品は面白い形状のバッグです。面白い等身大のボードに目が行き、面白いバッグに目が行き、お店の人と会話をする、という流れが上手くできていました。

写真:思わず目が合ってしまう面白い等身大のディスプレイ。

 

ブランドと商品を覚えてもらうための一工夫

写真:商品の写真入りカード。

  展示会には、本当に数多くのブランドが、素晴らしい商品展開で臨んできます。その場で商談が成立すればもちろんベストですが、初めて見かけたブランドで、その場で決断ができない人も多いです。見込み顧客をそのまま帰してしまうのは大変惜しい所。せめて後で気になった商品を振り返って欲しい、ということで、商品すべてが掲載されたカタログを手渡す出展者が多い中、印象的だったのが、それぞれの商品をポストカードで紹介するプロモーション展開です。商品のそばにカードを置いておき、気に入ったら自由に持って行ってもらえるようになっていて、カードにはお店のホームページも記載されているので、後でウェブサイトを見てもらえる可能性や、連絡をくれる可能性もあります。大きなカタログは、多くの出展者からもらうため、自分が興味を持った商品がどれだったか、そのお店がどれだったか分かりづらく、見つからないまま埋もれて終わってしまうことも多いと思います。展示会でたくさんの商品を見て、たくさんの人と話しても、やはり最終的に一番印象に残っているのは気になった商品そのものの記憶です。ずばりその印象に残った商品の写真が手元にあると、すぐに記憶がよみがえります。さらに取って置きたくなるくらいのクオリティの高いカードにすると飾ってもらえるかもしれません。今すぐ商談には至らないかもしれませんが、将来に可能性を残すことができます。

写真:各商品棚に添えられているカード。持ち帰りやすく印象にも残しやすいプロモーション。

 

共感を得るための一工夫

消費者は、近年、より自分の価値観やスタンスに合致したブランドを選ぶ傾向が高まっています。そんな時代に、ブランドとしてより大切になっているのが、価値観を積極的に消費者に伝えていくことです。 特に多いのはフェアトレードで途上国の人々との協力で成り立っているブランドです。可愛いアクセサリーのお店はたくさんあります。どれも甲乙つけがたい場合は、社会的に貢献する活動を行っているブランドのものを選ぶでしょう。特にアメリカでは、社会貢献など、より良い社会にしていくための活動を行っていることを評価する人が多いです。

写真:作り手の顔を見せるフェアトレードのアクセサリーショップ。

  社会や環境に悪影響を与えないサステナブルな商品であること、リサイクルなど資源を無駄にしない工夫をしたエコな商品であることなども注目を集めるようになっています。雑貨イベントではこのようなコンセプトの商品を展開するブランドを一堂に集めて紹介するコーナーもありました。

写真:サステナビリティをテーマにした特別コーナー。

  例えば、ガーナ生まれの Trashy Bags というブランドは、捨てられた広告看板をリサイクルして作っているバッグブランドです。
広告はそもそも派手な色を使ったものが多いので、リサイクルして作られるバッグはなかなかユニークでセンスがいいものがあります。作られるすべてのバッグひとつひとつがリサイクル素材で作るため、デザインが異なりユニークであるというのも特徴です。当然、フェアトレードであり、エコであり、サステナブルである注目のブランドとなっています。

写真:ガーナ生まれのブランド Trashy Bags。

  Malia Designs というカンボジアでハンドメイドで作られるエコなバッグブランドもあります。このブランドは、フェアトレードであり、エコである商品展開ということ以外にも、社会的に意義のある強いミッションを持って活動していることを積極的にアピールしています。
カンボジアでフェアトレードで作られた商品を世界各国で販売することにより、カンボジアの人々の雇用を確保すると共に、東南アジアの人身売買を阻止する活動に寄付を通して継続的にサポートしているそうです。そんなミッションに共感して、商品を購入するという消費者も多くなっています。

写真:カンボジア製エコバッグ Malia Designs。

  ニューヨークのインテリア・雑貨見本市を通してブランド戦略で大切なことが色々と見えてきます。多くのブランドが一堂に集まるような展示会では、商品の魅力ももちろん大切ですが、それに加えて、個性的なディスプレイなどにより、まず目に止まり、注目してもらうことが必須となります。その上、さらに差別化し、ファンを増やすには、そのブランドならではの一工夫を凝らしたり、大切にしている価値観、活動を積極的に伝えたりと、他とは違う個性的な存在であることを知ってもらうことが大切になります。

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