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ホールフーズに見る、グラフィックのキー・カラー、ディスプレイ、コンセプト

ブルックリンの豆知識

はじめまして。ブルックリン在住の上野朝子です。ニューヨークに移住して10年。ブルックリンでの暮らしは7年目です。最近日本でもブルックリンが話題に上がることが多いようですが、まずは基本的なブルックリンの豆知識をご紹介しましょう。ブルックリンはニューヨーク市の5つの区(マンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、クイーンズ、スタッテン島)のひとつで、イースト・リバーをはさんでマンハッタンの東側に位置します。ニューヨーク市全体の人口は約817万人。ブルックリンは5つの区の中で最も人口が多くて、約260万人(マンハッタンは約170万人)。もしブルックリンが独立した市なら、ロサンゼルスとシカゴに次いで3番目に人口の多い市になるそうです。面積は大阪よりやや大きくて、東京23区の4割ほどの大きさです。昨今のブルックリン人気で注目されているのは、マンハッタンに近い北西〜北側のみで、ブルックリン全体の大きさの三分の一ほど。あとの地区は古くからの移民文化が今も根付いており、地域によっては、気軽に一人歩きできないところもあります。古くは製造業が盛んだったブルックリン。最近は、日本にも上陸しているチョコレートメーカー「MAST BROTHERS」や、コーヒーメーカー「BROOKLYN ROASTING COMPANY」など、ブルックリンメイドの物が話題になり、第二のブルックリン製造業時代として注目されています。その特徴は、フェアトレードやサスティナブルなど、新しいブルックリンの暮らしの精神軸とも言えるフィロソフィーを持った起業家が多い点でしょう。

写真:ブルックリン、パークスロープの閑静な住宅地の風景。1800年代後半のタウンハウスが多く、歴史的建造物として残されている。インダストリアルなイメージは、実はブルックリンの一部の地区のみ。

 

ブルックリンの暮らし

私が、生活の拠点にマンハッタンでなくブルックリンを選んだのは、マンハッタンと比べると、ブルックリン、特に私が暮らしているブルックリン・パークスロープ地区は、郊外型というか、普通の暮らしが基盤にあるからです。外食もおいしいところはたくさんありますが、家での食事を大切にする人が多く、有名な女優さんも近所に住んでいて(マギー・ジレンホール他)、スーパーで会うことも度々。エコロジー、地産地消、オーガニックなどに興味を持つ人がたくさん暮らしている点もマンハッタンとの違いと言えます。子どもたちも多く、治安もよい。マンハッタンよりエネルギーがスローで、ホッとします。同じ生活志向を持った人たちが集まる私立校?そんなイメージでしょうか。マンハッタンへも、ダウンタウンなら地下鉄に乗ってしまえば10分程度。タクシーでミッドタウンへ30分程度。マンハッタンが「オン」なら、ブルックリンは「オフ」。基本の生活はブルックリン、仕事はマンハッタン。そんなニューヨーカーが増えていて、わたしもそのひとりです。

写真:スクールバスと、右手にはブルーボトルコーヒー。のんびりとした空気感が広がるパークスロープの午後3時頃の風景

徒歩でスーパーマーケットへ、が一般的なニューヨーク・スタイル

アメリカは車社会というイメージが強いと思いますが、ニューヨークは、地下鉄やバス、タクシーといった公共移動手段が発達していて、駐車場代も高額。自家用車を持っている人口は他州と比べたらかなり少なく、お年寄りも含め、ニューヨーカーはよく歩きます。私も、日本にいるときは毎日の様に車を運転していましたが、ニューヨークで暮らす様になってからというもの、どこへ行くにも基本は歩きと地下鉄です。食料品をたくさん買う時は、お店のデリバリー・サービス(有料)を利用します。

ホールフーズマーケットのブルックリン一号店は郊外型

ブルックリンの一号店は、私の家から徒歩10分。ゴワヌス地区と呼ばれる、元々は食品製造工場が多く、運河が近くにある地域にあります。ニューヨーク市初の大型ホールフーズで、駐車場完備。マンハッタン内にもホールフーズマーケットは数店ありますが、駐車場はありません。というかありえません!店側も無料駐車場の提供は、立地、経費共に無理なのでしょうし、まず、車でスーパーに出かけるという感覚がほとんどありませんから。その点、ブルックリンはマンハッタンと比べて生活スタイルも郊外型。自家用車の保持者も多いので、ホールフーズの無料駐車場は想像以上に話題になり、利用者も多いです。

写真:ホールフーズマーケットの外観。屋根部分は温室になっていて、オーガニックの野菜を栽培している

米アマゾン・ドット・コム買収後のホールフーズマーケット

米アマゾン・ドット・コムに、今年8月末、137億ドル(約1兆5000億ドル)で買収された自然食品スーパーマーケットチェーンのホールフーズマーケットが、いまニューヨーカーの中で話題になっています。アマゾンの傘下に入った初日に、早くも値下げが開始されて、今まで(富裕層が中心)と違う客層が増え、店内にも活気が出ていることを、私自身も確認してきました。洗練された店内ディスプレイが変わってしまうのか?と懸念する声もありましたが、店内の様子やスタイルは以前のまま。価格だけが安くなるという、デザインやオシャレ度にうるさいニューヨーカーにとっては、うれしい買収劇となっています。

写真:ホールフーズマーケットの外観、正面入り口

それぞれの地域に合ったディスプレイ

日本でのブルックリンのイメージは、インダストリアルでちょっとレトロな感じ、ですよね。ホールフーズマーケットのブルックリン一号店は、皆さんの期待を裏切らない(私たち住人も裏切らなかった)古いレンガを外壁や内側にも施したレトロでインダストリアルなスタイルで、天井はわざとパイプや配線を見せています。でも、この建物は昔からあったわけではありません。「昔からあった風」に、ここまで凝って作り込んであるのです。

写真:内観、昔からあった風のプロモーションでお店の雰囲気を演出しています

写真:店内プロモーション① フルーツは木製のコンテナ風の什器を活用、雰囲気作りを上手に演出

写真:店内プロモーション② 魚コーナーのサインもヴィンテージ風で店内を演出

写真:店内プロモーション③ レンガの壁にブラック地とホワイトのレトロなタイポが映える

写真:店内プロモーション④ 乳製品の冷蔵庫(左)とチーズ売り場(奥)、ここもレトロなタイポとブラックの壁の色が効果的に使われている

ニューヨーカーのハートを掴むキー・カラーはブラック

昔から、シックでモダンなブラックの装いは、ニューヨーカーを象徴する色として、いろいろな映画でも紹介されてきました(たとえば「ティファニーで朝食を」の冒頭シーンのオードリーヘップバーンのドレスもその代表格)。現実でも、他の州と比べて、ブラックを好む→好んで着る人や、インテリアに取り入れる人、ショップが多いです。ホールフーズマーケットもその点をしっかり調査したと思われ、店内のメインのサインはブラックに統一。しかも黒板風にして、レトロ感もあり、ブルックリンのインダストリアルなスタイルがうまく表現されています。ディスプレイでもニューヨーカーのハートをしっかり掴んでいるところがなんとも憎い!

写真:精肉コーナー前の黒板風の案内板でプロモーション 「抗生物質、ホルモン剤は不使用。餌は野菜」と書かれています

写真:鮮魚コーナーも黒板風プロモーション、手書き文字がノスタルジック&フォトジェニック 「グリーンピース ランキングNo.1」と書かれ、「どこから猟っている」や「何を肥料にしている」という表示も記載されています

写真:野菜売り場の頭上には、目立たないように目立たせている?垂れ幕のプロモーション

写真:チーズコーナー、ブラックの壁面にレトロタイポで演出

内装だけでなく扱う商品のパッケージやロゴもブラックが目を引くプロモーション

そして、ニューヨーカーは昔から商品パッケージもブラックを好んできたように思います。ブラック=高級感=洗練=都会的=良質なイメージ、というのはニューヨーク特有のアイデア?90年代に、食品のパッケージやロゴにブラックを起用して、その洗練されたテイストでニューヨーク・スタイルの代表格になったグルメマーケット「DEAN & DELUCA」は、今もマンハッタンに本店があり、その流れはいろいろな店やメーカーに引き継がれ、今に至っているようです。

写真:プライベートレーベルのスープのパッケージ、シンプルにまとめられています

写真:斬新なパッケージデザイン、卵パッケージにブラックを起用

写真:クリームチーズのパッケージ

写真:人気商品のチキンの丸焼き、パッケージに入っていても見るだけでボリューム感が伝わります

写真:ホールのスポンジケーキもパッケージに入って販売されています

 

WHOLEFOODS MARKET(ホールフーズマーケット)

Third & 3rd ( Brooklyn )

214 3rd Street Brooklyn, NY 11215

P: 718-907-3622

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