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売場で目立つ「ポップ」のついたパッケージを考察してみる【連載第21回】

画像:packagecollection

こんにちはpackagecollection(以後パケコレ)です。(パケコレのプロフィールページはこちら。)

今回のテーマは「ポップ(POP)のついたパッケージ」!

先日、面白い新商品が発売されました。

Photo:タカナシ「ねっとろ~り」やめられない罪なヨーグルト

色味もネーミングも書体もデザインも、全て「カワイイ~!」と口を揃えて女子が喜びそうなデザイン。しかも、なかなかの若年層を狙ったデザインの乳製品が発売されました。「へぇ、こんなオシャレなパッケージが…!」と思った方も多いと思うのですが、今回は、そこじゃないんです。

なんとこのパッケージ、「ポップ(POP)」と一般的に呼ばれるショーカードや、店頭販促物と通常定義されているものが、ついているんです!

Photo:「超うまっ♡」と、なかなか訴求もハードモード(中身は激ゆるなのに)

こんなパッケージ、見たことない!とびっくりしたので、今回はこちらの深掘りをしてみたいと思います。

「ねっとろ~り やめられない罪なヨーグルト」



可愛いペールトーンのピンクと彩度が高めのブルーをベースに、カジュアルにまとめたパッケージデザイン。書体も丸みをおびていて、「ゆるくてかわいい原宿系」と表現してもいいデザインのトーン&マナーで売られていた、こちらの商品。先ほども申し上げたように、注目すべきは「超うまっ♡」の訴求POPです。

どうして筆者がここまで頭を悩ませているのか、詳しく見ていきましょう。

Photo:森永「inゼリー」

Photo:ネスレ「キットカット」

inゼリーやキットカットの訴求のように「1日分」や「西日本豪雨被災地を応援しよう」など、「読ませるための訴求文言」をデザインの中に入れてしまうのが通常のパッケージの訴求の行い方でした。しかも訴求内容はそこそこ商品のベネフィットを伝えるもの。売り場でパッと見て分かるメリットを伝えないと、買ってもらえませんからね。

しかし、こちらのパッケージをもう一度見て下さい。

・・・攻め!!

透明のフィルムに文字を印刷しており、これほどまでに手間をかけた商品が、果たして今までのヨーグルト市場にあったでしょうか?しかも訴求文言が「超うまっ♡」。すごい、インスタっぽいコミュニケーション(?)ですね。ライト、ライトです。とても軽い。でも仕様は重たい。すごい。めんどくさいから普通の企業がやらない手間を自ら選んでいる姿、見た目はカワイイのに、漢を感じますね。

そう、それだ。困惑の原因は「かわいくて軽い」のに、「全然かわいくない仕様」で「ガチ」なところ。

ちなみにこちらの商品、弊社の近くのコンビニでは棚落ちしておりました…。コンビニの棚を取る戦略は、伝わらないPOPを付けても意味がないのでしょうか。少し深いなぁと思いました。

筆者が考える3つの突っ込みポイント

1.別パーツで後から付けられている(シール貼り)。本当の意味で「POP」している。

2.訴求内容がほぼオノマトペ。機能の訴求でも、新商品!といった訴求でも、なんでもない。

3.このくらいの訴求レベルであれば、通常「パッケージデザインの中」に入れるところを、あえて外に出している。

さいごに

POPがついている商品は多くなく、それは製造ラインに流しにくいなど様々な要因があるからだと思います。もしくは、あるとすればドリンクのボトルにラベルが貼られているくらいですね。こんなカジュアルな商品にPOPを付けた意図が本当に知りたいです。

ちなみに、筆者はPOPにびっくりしてこちらの商品を買いました。そして食べました。ちょっとみたらし団子みたいなフレーバーでおいしかったです!もしかすると、SNSでの話題性を狙った商品だったのでしょうか。口コミでは高評価を叩き出しておりましたが、棚落ちしているところを考えると、「SNSでバズる=売れる」わけではないのかなと思いました。長期的なコミュニケーションが必要な商品だったのかもしれません。

今回は1つの商品を深堀してみました。次回もどうぞよろしくお願いいたします!

以上、パケコレでした。

  

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