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女性の就業率90%超えのフランスから学ぶ、頑張らないおつまみ「アペロ」のアイデア

みなさんは「アペロ」という言葉をご存知ですか?アペロとはフランス生まれの"サク飲み"文化で、元は「アペリティフ(英語でアペタイザー)」から来ています。メインのお食事の前に軽くつまみながらお酒をたしなむことで、おしゃべりに花を咲かせる時間でもあります。

フランスで働いていると、同僚や友人から「仕事後アペロしない?」とお誘いを受けることもしばしば。特にパリでの外食にかかる費用は、日本と比べると1.5倍から2倍ほど高く、レストランの敷居が高いのも特徴です。そのため、仲間と気軽に一杯飲んで短時間で帰宅し、メインの夕食は自宅でとる…というスタイルが主流なんです。

また、週末に家族・友人宅で開催されるホームパーティーでもアペロの時間は存在します。アペロの目的は、ディナーの前の時間をゆっくりと過ごしつつ、食事をよりおいしく楽しめるようにすること。飲み物は主に軽めのビールやシャンパンなどの炭酸系のお酒、カクテルが好まれます。

Photo:年に一度開催されている町内会のパーティー。アペロの時間は一時間以上でした。

空腹にお酒だけでは刺激が強すぎるので、3~4品ほどの軽いおつまみと一緒に飲むのがフランス流です。フランス在住1年半の私が毎回このアペロの時間で興味深く思っていたのが、「日本と違っておつまみに手がかかっていないこと」でした。

女性の就業率が90%以上と、なんと世界一位のフランス。女性の重荷にならない食品グッズもたくさん存在しています。今回は家で気軽に楽しめるおつまみ「アペロ」の、簡単で便利なパッケージをご紹介します!

  

Photo:フランスのスーパーのアペリティフコーナー。

すでに完成形!「オーシャン」のブロシェット

「オーシャン」は、フランスの大手郊外型スーパーマーケットで、オリジナルの商品も多数あります。

Photo:9個入りのクリームチーズ&スモークサーモンのブロシェット

本来ブロシェットとは、肉や魚、野菜などを刺して焼くのに用いる金串のことを指すのですが、串に刺さった食べ物を全般的にブロシェットと呼んでいます。(フランス人はブロシェットが大好物!)

Photo:それぞれ接触しないように並んでいます。

既に完成された形の商品なので、開封してからものの数秒でお皿に盛り付けられます。2.23ユーロ(およそ269円)で、値段以上のおいしさと便利さです。

「オーシャン」一口サイズの塗るチーズ

こちらも「オーシャン」オリジナルの商品、ミニトースト専用・ヤギのクリームチーズです。

Photo:6個入りのカップ入りクリームチーズ

アペロでよく登場するのがミニトースト。実はフランス人は絶対に単体でチーズを食べません。チーズは必ずパンと一緒に食べるものなんだそうです。スライスしたバゲットをサイドに置いておくだけで簡単アペロの出来上がりです。

Photo:一口サイズで使いきりなので、フレッシュなままおいしくいただけます。

「ル・トレティエール・グルメ」のベリン

ベリンとは、ミニグラスに入った前菜のカクテルです。特別な記念日などによく見かけるアペロの一つですが、このベリンを初めから手作りするとかなり手間暇がかかってしまいます。

Photo:ホタテのペースト、トマトピューレ、白チーズのベリン

こちらも開封したらテーブルに並べて終わりです。シャンパンによく合うおつまみなので、結婚記念日や誕生日、クリスマスによく見かけるアペロです。家庭ではなかなか出せない味なので、嬉しいアイテムです。強度のあるプラスチックなので、食べ終わった後は再利用できます。

Photo:高さは約6cmほど。フランスの美食文化がつまったアペロです。

日本でおなじみのアイテムがフランスのアペロに登場!

Photo:SURIMI(スリミ)と書かれた、日本では「かにかま」としておなじみの商品。

SURIMI(スリミ)はフランスでも大人気のアペロです。とにかく簡単なのと、嫌いな人はいないと言っても過言ではないほど浸透しているアイテムです。さまざまな食品メーカーからSURIMI(スリミ)が発売されています。フランス人はオーロラソース(ベシャメルソースに裏ごししたトマトとバターを加えたソースのこと)をつけて食べるのが一般的なようです。

Photo:3個ずつ小分けになっていて、ソースが同封されています。

ベジタリアンに定番の生野菜アペロ

Photo:トマト、カリフラワー、人参、ラディッシュ、ソース2種類が入っています。

近年、ヨーロッパではベジタリアンが急増しています。レストランではベジタリアン専用のメニューが必ず記載されていて、スーパーでも気軽にベジタリアン専用のアイテムを手にすることができます。

Photo:ソースが 二種類なのが嬉しいところ。これで4~5人分のサイズです。6.13ユーロ(およそ741円)。野菜をカットしたりソースを買い足す手間が省ける商品です。

Photo:ソースのカップ部分は取り外し可能。ベジタリアンより厳格なヴィーガンはチーズなどの乳製品も摂らないので、臨機応変に対応することができます。

新型アペロ!ギリシャ発の「ブリニス」

Photo:「ラトリエ」のBIOブリニス

「ブリニス」は、ギリシャ発のプチパンケーキです。現在ではロシアや中東など、広い地域で愛されている軽食の一つ。プチパンケーキといっても砂糖は控えめで、甘味のない蒸しパンに近い味です。フランス人にとってパンケーキと言えばおふくろの味。おふくろの味=手作りを期待してしまいますが、フランス人はプライベートの時間を犠牲にすることはありません。

「ラトリエ」はBIOを専門に扱っている食品メーカーなので、安心感があります。16個入りで2.23ユーロ(およそ269円)なので、買ってしまったほうが気楽です。

Photo:ブリニスにつけて食べるディップ。左:スモークサーモン味、右:アボガドのワカモレ

並べたときの見た目もGOOD!無理しないことが一番の魅力

Photo:上記のアペロアイテム(ベジタリアン専用のアペロ以外)をデコレーションしてみました。

全てのアイテムを開封して、お皿に盛り付けるまでの所要時間は5分もかかっていません。自宅で開くホームパーティーでしたら、この国ではこのようなに簡単なおつまみで事足りてしまいます。

冒頭でも述べましたが、フランス女性の就業率は90%以上と高い数値をキープしています。もちろんその背景には育児・出産に対して充実した社会保障があることや、男性の家事分担の理解があることが挙げられます。

しかし良い部分だけではありません。フランス人の平均年収が約20,300ユーロ(およそ245万円)と決して高くないので、実は女性も働かざるを得ない、というのが現状です。

そんな女性たちの間では、家事において「無理しない」「自分にうそをつかない」「頑張らない」暗黙のルールがあります。アペロだけではありません。朝食もフランス人はパンとコーヒーのみ。育ち盛りの子供がいる世帯でも子供にはシリアルとオレンジジュースと、非常に簡単に済ませてしまいます。もちろんお昼のお弁当文化もありません。

筆者が魅力に感じたのはその「頑張らなくてよい」価値観にあります。特に料理の分野では出来合いのものをサーブすることに罪悪感を抱いてしまいがちです。ですが、どんな人でも全てにおいて完璧を求めてしまえば、酸欠状態になってしまいます。疲れているときは無理しない、作りたいときに料理をする、とケセラセラな美徳が浸透しているからこそ、ここまで簡単で便利な商品があるのだと思います。

ヨーロッパ諸国のなかでも移民定住率が高いフランス。働き盛りの若い人口も増えつつあります。これからも、もっとユニークで女性が喜ぶアイテムが増えていくことでしょう。

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