白とパステルグリーンのストライプが目をひくイタリアンレストラン、「リナストアズ」が日本に上陸したのは2021年のこと。発祥はロンドンのソーホーで、1944年から続く老舗中の老舗イタリアンです。数年前までリナストアズは第一号店であるこのソーホー店のみだったのですが、今ではロンドンのいたるところでこのストライプを目にするように。
ロンドナーのみならず世界中に熱狂的ファンを持ち、はるか遠い日本にまでやってきたリナストアズ。今回は、この80年も続く大人気レストラングループのサクセスストーリーに迫ります。
ロンドンから日本へ届け!受け継がれてきたイタリア文化
リナストアズは現在ロンドンに7店舗、日本に3店舗を展開するイタリアンデリ・レストランです。ソーホーの一号店はデリカテッセンのみ、店舗によってはレストランのみであったりデリカテッセンとレストランが併設しているところもあります。
1944年創業の最初のデリカテッセンは、当初からイタリア人たちの拠点のような存在で、80年たつ今も変わらず故郷を懐かしむ人たちを支えているのです。創業者はイタリア北西部ジェノバ近郊の温泉保養地、アックイ・テルメ出身のリナ。彼女の名前が由来のリナストアズが提供するイタリア直輸入食材は、すべてが選び抜かれた最高級品。
生ハムやチーズ、種類が豊富なフレッシュパスタなど、まさにホンモノで、どれも食欲をそそります!どおりでここへ来れば、イタリア人たちがわざわざ地元へ帰らなくても故郷の味を楽しめるわけですね。
そして、連日盛況のリナストアズ・レストランのレシピには、このデリカテッセンの食材が大きなインスピレーションとなって反映されているようです。食材の仕入れ先は信頼のおける業者で、最高のパートナー。数十年にわたり良好な関係をキープするのは容易いことではありません。
80年前に誕生したリナストアズ一号店はこんなところ
ロンドンの中心地、ピカデリーサーカス駅から5分ほど歩いてたどり着いたのはソーホー地区。かつて歓楽街だったソーホーは、ロンドンのサブカルチャーを象徴する街で今も古き良きロンドンを感じられる場所。リナストアズ第一号店はそのソーホー地区ブリューワーストリートの一角にあります。
名称:LINA STORES BREWER STREET DELICATESSEN
住所:18 Brewer St Soho, London W1F 0SH
小さな店内にはまさにイタリア現地をほうふつとさせる新鮮な食材がひしめき合い、テイクアウトしたものを外席でいただけます。
「グッド・モーニング!」次々に現れる常連客とスタッフの軽やかなあいさつ。まだ目覚めたばかりのソーホーに元気なエネルギーがあふれています。扉を開けて店内に足を踏み入れた筆者にも、スタッフが「Hello! Can I help you?」と親切に声をかけてくれました。
・店内の様子
自宅でイタリア気分!一般的なスーパーでは手に入りにくい手作りソースやソーセージなどイタリア直送の食材たちで本物の味を再現。選ぶのが楽しいバラエティーに富んだジュースはついつい手に取ってしまいそう。
みんなが夢中!ホワイト×グリーンで魅せるリナストアズのブランディング
リナストアズのトレードマークとして思い浮かべるのは、象徴的なストライプではないでしょうか。今や「リナストアズといえばあの色」と言えるぐらいのインパクトがあります。このホワイト×グリーンの由来をリナストアズのスタッフに話を聞いてみると、そこにも第一号店の存在が大きく反映されていました。
ストライプはリナストアズ第一号店のデリカテッセンで最初に使用された日よけから、テーマカラーのグリーンは看板の色からだそう。そこから、このストライプはリナストアズのオリジナル商品やパッケージング、インテリアやオンラインまで幅広く使用されるようになりました。
イギリスに住む筆者の知人たち、特に女性にはとても好評で、口をそろえてリナストアズについて「美味しいだけじゃなくて、おしゃれでかわいいし、オリジナルグッズがほしい」と言う人は多いです。
・リナストアズ オリジナルグッズ
リナストアズの人気をけん引しているのは、紛れもなくこれらのオリジナルグッズです。特徴的なカラーとストライプを身にまとった商品は、スタイリッシュかつシンプルで、消費者が手にとりやすい親しみのあるもの。ブランド色を押し付けるのではなく、どれも商品そのものへの敬意とオリジナリティがうまく混じり合っています。
色とブランドの結びつきはマーケティングにおいて欠かせない要素。店構え、商品パッケージングやスタッフのユニフォームなど、同じ色を繰り返し一貫性を持たせることでブランドの認知度を高める力が生まれます。そこに折り重なった歴史やストーリーが独自のカルチャーをうみ、メッセージ性の高いブランディングの成功に貢献しているのでしょう。
揺るぎないインディペンデントな精神で唯一無二のポジションを
1940年代にロンドンのソーホーの街角で誕生して世界へ大きく羽ばたいたリナストアズ。もう10年以上前のことですが、筆者が初めてソーホーのリナストアズ一号店を目にした時のことは今でも覚えています。どこかノスタルジックで、素朴で、でもロンドンっぽいキュートな店、そんな印象でした。
ロンドンでは、せっかくいい店を見つけたのに次に通りかかったら閉店していた…。そんなことは珍しくありません。家賃高騰にともない移転を余儀なくされることもあれば、経営難で仕方なく店じまいといったことが日常茶飯事。
長く同じ場所に住む人にとっては、一緒に年月を重ねてきたお気に入りの店に大きな愛着があるもの。新しく変わりゆく街の風景に少し寂しさを感じることもあるけれど、リナストアズのようにいつまでも変わらない元気な店の姿に出会うと、なんとも言えない安心感に包まれるのです。
今回取材してわかったこと。それは、リナストアズの確固たるポジションの裏には、ロンドンの人々と歩んで育ててきた長い長い伝統が息づいているということ。
いつまでも愛され続けるショップをつくるヒントをお探しなら、ぜひリナストアズをお手本にしてみてくださいね!
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