ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

アメリカで人気!色で魅せるボディケア商品

アメリカのボディケア商品
アメリカのボディケア商品売り場を見てみると、最近は色で魅せる商品がとても増えています。商品が店頭に並んだ時のことをイメージして考えられた配色や商品のコーディネーション、パッケージの創意工夫がとても面白くなっています。最近のボディケア商品の売り場やパッケージの特徴、トレンドなどを紹介します。

ボディケア商品を取り扱うお店を見てみると、カラフルな商品ラインアップと商品ディスプレイが目立ちます。
下の画像は、スーパーマーケットの店頭です。カラフルなパッケージの商品が数多く並べられていてインパクトがあり、さまざまな工夫が凝らされたパッケージも目につきます。

アメリカのスーパーマーケットの店頭

カラフルで遊び心があるパッケージ

(1)dearcloud

雲の形が象徴のブランド「dearcloud」は、可愛らしいパステルカラーで、雲をイメージしたパッケージの商品を販売しています。そのおしゃれなデザインのパッケージは、店頭でもとても目を引きますが、家に置く際にもインテリア雑貨として楽しめるくらいよくできたデザインです。優しいパステルカラーのナチュラルな色合いで自然派商品のイメージが感じられます。

ボディセラムとしては珍しいスプレータイプで、キャップの部分に遊びがあるデザインになっています。ブランドのロゴである雲の形を利用しながら、商品全体をグリーン色にすることにより、木をイメージさせるパッケージになっています。商品ラインアップでは、雲の形のデザインを取り入れながらもそれぞれの商品でオリジナルのデザインを考え、色も形もワンパターンにならないよう工夫されています。

雲の形が特徴的なdearcloudのパッケージ

(2)Oh So Daise

「Oh So Daise」は、2020年にイギリスで創業した花を象徴としたカラフルなブランドです。ボディミストは、花の形のパッケージで、色合いも強めのビビッドなカラーが使用され、さまざまな色の商品が棚に並ぶととても存在感があります。
どちらのブランドも若者層を意識した楽しいデザインが特徴です。

花の形が特徴的なOh So Daiseのパッケージ

丸みを帯びた温かみのあるパッケージ

(1)method

「method」は、家庭用のクリーニング商品やハンドソープなどの商品でよく知られているブランドですが、最近はボディケアにも進出し、ボディソープやボディローションなどのボディケア商品も展開しています。そんなブランドの商品パッケージですが、家庭用品とボディケアでは、全く違ったコンセプトで展開しています。

家庭用のクリーニング商品では、シンプルでミニマルなクリアパッケージが主流であり、エコで環境に優しいイメージを出しています。
一方、ボディケア商品の方では、今のボディケア業界の流行に乗った、色で魅せる存在感のあるパッケージ展開となっています。ボディケア商品では、ぷっくりとした丸みを帯びたデザインのパッケージで、目立つ色が使用されていて存在感があります。ポンプの部分も完全にクリアに見えるデザインではなく、透明感をなくし、くすみのかかった落ち着いたデザインにしています。ブランドのロゴをデボス加工して入れているのも特徴的で、高級感を出しています。
シンプルでスタイリッシュなデザインという基本のコンセプトは同じですが、家庭用のクリーニング商品と比べると、ボディケア商品にはよりパッケージデザインに力を入れているのが感じられます。

また、最近の健康志向の高まりに伴い、この「method」のボディソープのように「硫酸塩・パラベン・フタル酸エステル類不使用」が一目でわかるように大きく表示されるようになっています。

丸みを帯びたmethodのパッケージ

(2)BYOMA

「BYOMA」は、イギリスのスコットランドで2022年に創業した、肌のバリア機能をサポートすることに特化した新しいスキンケアブランドです。ポップなカラーで丸みを帯びた可愛いパッケージがSNSで話題になり、リーズナブルな価格で若い層に人気があります。

ポップなカラーで丸みを帯びたBYOMAのパッケージ

(3)Uniikon

下の画像は、ニューヨークの新デパート、プランタンニューヨークの商品棚に並んでいた、フランスのヘアケアブランド、「Uniikon」の「Big Hair Big Dreamsシリーズ」の商品です。パステルカラーのカラフルな色彩に丸みを帯びた柔らかい印象の形のパッケージで、それでありながら、大胆に「Big」の文字が強調され、ポップな雰囲気もある商品です。デパートの商品棚のライトアップによりパステルカラーがより美しく見えるようにディスプレイされています。

プランタンニューヨークの商品棚に並んでいるUniikon

色で魅せるパッケージ

(1)Bath & Body Works

すっかり今では老舗的な存在となっているアメリカのボディケアブランド「Bath & Body Works」は、従来から鮮やかな色使いで魅せる商品パッケージをよく使用しています。特に香りがよいソープやキャンドルの商品ラインを持つ「White Barn」という少しハイエンドなラインの商品では絵をデザインに使用せず、シンプルに色だけで表現し、洗練されたイメージを見せています。

右から3つ目までの商品のような「透明感があり中身が見えるクリアなパッケージ」は従来からよく使われていましたが、最近は少し趣向を変えたパッケージを取り入れるようになっています。左2つの商品には、最近の流行でもある、パステル系カラーではあるけれどもくすんだ不透明な色が使われています。それにより、重厚感のある高級なイメージが引き出されています。

Bath & Body Worksのカラフルなパッケージ

(2)Touchland

「Touchland」というブランドは、多種多様なカラー展開で、ハンドサニタイザーなどの商品を販売しています。基本のパッケージはシンプルな透明の容器ですが、カラーバリエーションが豊富で、色で魅せる商品となっています。スリムでスタイリッシュな形のパッケージで、従来のハンドサニタイザーにはなかったものです。

ハンドサニタイザー以外には、ボディミストも販売しており、スプレー式のパッケージを得意としています。このハンドサニタイザーもスプレー式になっており、ジェルではなくミストで出てきます。とにかくおしゃれな見た目で、初めて見る人に「これは何?」と尋ねられそうな、人々の興味を引くデザインです。従来は携帯用のハンドサニタイザーというと2ドル程度の商品でしたが、デザイン性を高め、10ドルというプレミアム商品として販売しています。

シンプルで透明なTouchlandのパッケージ

(3)Tree Hut

「Tree Hut」は、スクラブやシアバターをはじめとしたボディケアブランドです。とても鮮やかでトロピカルな色合いで、商品の香りに合わせたカラーバリエーションになっています。透明のパッケージが使用されているので中身がよくわかり、商品そのものを色で魅せる商品となっています。

トロピカルな色合いのTree Hutのパッケージ

グラデーションの色使いがきれいなパッケージ

一色使いのデザインが多い中、カラーグラデーションで魅せる商品も出ています。

(1)Pacifica

アメリカのナチュラルビューティブランド「Pacifica」は、ボディケアやスキンケア商品を展開しているブランドです。
下の画像は、自然派なイメージを与えるグリーンとフェミニンなイメージを与えるピンクの、2色のグラデーションになっているパッケージです。商品をよく見ると、パッケージにはガラスボトルが使用され、そのガラスボトルにスプレーで直接色付けされています。このボトルにはプラスチック製のラベルは一切使用されていません。

「Pacifica」はヴィーガンとクルエルティフリーなブランドとしても知られていますが、サステナブルであることにも力を入れています。ガラス素材のパッケージは重くなりますが、リサイクルの観点からこの商品に限らずガラス素材が使用されており、環境に優しいパッケージへのこだわりが見られます。

グリーンとピンクのグラデーションがきれいなPacificaのパッケージ

(2)Neutrogena

アメリカ・カリフォルニア生まれで、世界展開している大手ブランド「Neutrogena」も、最近はパッケージデザインに新しい試みが見られるようになっています。

「Neutrogena」は、敏感肌など繊細な肌の人のために低刺激で効果的な商品を、研究に基づいて製品化しているブランドです。そんなイメージにふさわしい、ホワイトとブルーを基調にした飾り気のないシンプルなパッケージの商品ばかりが並ぶブランドでした。
「Neutrogena」のサンスクリーンのパッケージは、従来のベーシックなパッケージデザインとは異なり、とても今らしい色使いのデザインになっています。太陽のような鮮やかなオレンジ色からピンク色のグラデーションになっており、今までのブランドイメージにはない、明るい華やかな新しいイメージが取り入れられています。

明るく華やかなNeutrogenaのパッケージ

色+αの個性的なパッケージ

(1)Farmacy Beauty

緑の中にあるカラフルなフルーツのようなイメージでお店にディスプレイされていた「Farmacy Beauty」の商品。Farm(農園)のようなナチュラルでクリーンなブランドイメージにぴったりなディスプレイです。ビタミンを連想させるジューシーなフルーツ、アップルやマンゴー、キウイの絵を描き、ビタミンカラーが使われたパッケージです。

ビタミンを連想させるFarmacy Beautyのパッケージ

(2)Mad Hippie

アートのような色彩のパッケージが目を引くこちらのブランドは「Mad Hippie」というアメリカ発のナチュラルスキンケアブランドです。自由でユニークなブランドの姿勢が見える面白いデザインです。パッケージの箱全体を真っ白なキャンバスに見立て、正面とトップの部分に絵の具を落としたようなデザインが施されています。シンプルでありながら各商品の色がアクセントになっており、店頭で目を引きます。

アートのような色彩のMad Hippieのパッケージ

(3)ULTA Beauty Collection

アメリカのコスメショップ、ULTAのオリジナルブランド「ULTA Beauty Collection」もカラフルな色が特徴的なパッケージです。ポップなビビッドカラーはもちろんですが、商品ラベルのフォントなども遊びがきいていて面白いです。カラーデザインだけでなく、フォントデザインでも魅せる工夫がされている商品です。

ポップでビビッドカラーが目立つULTA Beauty Collectionのパッケージ

カラフルな商品そのものでインパクトのあるパッケージ

色で魅せるボディケア商品は、パッケージを活かしたものが多いですが、中には商品そのものの色で魅せるものもあります。

(1)Soapology

ボディケアの中でもカラフルな色使いを売りにしている商品が、固形石鹸です。
こちらは、ニューヨークにある石鹸専門店「Soapology」で見かけたものです。ユズ、ストロベリー、ピーチ、ラベンダー、レモングラスなど、さまざまな香りのカラフルな石鹸が揃っています。種類によっては、1色ではなく2色使いのものや、中に別の形状の石鹸を入れ、大理石のような繊細な色合いになっているものもあり、バラエティに富んでいます。カラフルな石鹸売り場は集客力があり、お客さんが石鹸を試していく様子が見られました。

カラフルな色使いが目を引くSoapologyのパッケージ

(2)Lush Cosmetics

カラフルな商品が並ぶこちらのお店は「Lush Cosmetics」です。イギリス発のブランドで、アメリカなど海外にも支店があります。手作りでナチュラルな商品をモットーにしており、ユニークな商品が多いのも特徴です。

店内で一番個性的なのは、バスボム(入浴剤)のコーナーです。アートの工房のような様相で、さまざまな色や形のものが、まるでアート作品のように並んでいます。楽しい色と形で魅せる商品を展開していますが、商品自体がそのままの状態で販売されており、パッケージがゼロという、究極にエコなブランドです。パッケージによって目を引く商品が多い中で、逆にパッケージにこだわらないというポリシーのブランドです。

さまざまな色や形があるLush Cosmeticsのバスボム
アメリカではボディケア商品がとてもカラフルになり、香りのバラエティを多様な色で表現したり、パッケージの形状を目立つものにしたり、グラデーションをデザインに取り入れるなど、さまざまな一工夫がされた楽しい商品がどんどん登場しており、ボディケア商品選びが楽しくなっています。その背景には、ビューティ商品の利用者の低年齢化が進んでいて、SNSなどのコンテンツで映える商品が求められていることもあり、ボディケア商品におけるパッケージデザインの重要性がより高まっています。

▼編集部おすすめ記事

コスメも使い切りの時代へ。「LUSH(ラッシュ)」がパリで打ち出す新コンセプトストア「Fresh & Flowers」

ドラッグストアはクリエイティブな発想の宝庫

このライターの記事

Top