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環境にも社会にも優しいポートランドのコーヒー事情

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。

「コーヒーの聖地」と呼ばれるほどコーヒー文化の根付いたポートランドより、味プラスアルファを追求する、環境にも社会にも優しいコーヒーロースター&カフェを紹介します。

「コーヒーの聖地」と呼ばれるポートランド

バリスタが丁寧に淹れたコルタード

ポートランドにはコーヒー豆の産地、品質管理から焙煎(ロースト)方法にまでこだわりをもち、機械で大量にコーヒーを抽出するのではなく、注文に応じて一杯ずつ丁寧に淹れる、いわゆるサードウェーブコーヒー(コーヒートレンドの第三の波)のカフェがたくさんあります。当然、これらのカフェのコーヒーはさすがの美味しさです。

「コーヒーの聖地」と呼ばれるだけあって、コーヒーが美味しいのはもはや必然といってもいいくらいです。今回はさらに、味に加えて環境や社会に貢献する公益性の高いカフェを紹介します。

オレゴン州初の「Bコープ」認証カフェ

パール地区にあるノッサ・ファミリア・エスプレッソ・バー

一件目は、ブラジル育ちのオーナーが経営する「Nossa Familia Coffee(ノッサ・ファミリア・コーヒー。以下、ノッサ・ファミリア)」。ノッサ・ファミリアとは、ポルトガル語で「私たちの家族」という意味で、創業当初はコーヒー豆のほとんどが、祖父母のコーヒー農園で栽培したものでした。焙煎工場で毎日ローストを行う同店では、人気ブレンドを豊富に揃えるだけでなく、環境保全にも力を入れています。2016年には、オレゴン州で初めて「B Corp(Bコープ)」認証を受けたカフェとなりました。

Bコープ認証とは、「Benefit Corporation」の略で、よりインクルーシブでサステナブルな経済を構築するために考案された「良い企業」を審査する厳しい認証システム、およびこれをクリアした企業のこと。つまり、「Bコープ」=「環境・社会に配慮している良い企業」。

「Bコープ」のロゴの入った環境に配慮したパッケージ。

例えばノッサ・ファミリアでは、焙煎に現在市場で最も環境に優しい焙煎機を使用。コーヒー豆のパッケージには、家庭のコンポストで土に還るポリエチレンのライニングを施した再生可能な木材パルプの袋「Biotrē™」を採用しました。

「リトル・フリー・カップ・ライブラリ」

また、カップへのチャージ、マイカップへのディスカウント、スリーブやストローを自動的に提供しないなど「ゴミゼロ」を目指すプログラムを採用。今回訪れたパール地区の店舗では、マイカップを忘れた人が無料で使える消毒済みカップを並べた「リトル・フリー・カップ・ライブラリ」も展開。不要になった16オンスサイズ以下の蓋付きカップを寄付し、ゴミゼロに貢献することもできます。

他にもフェアトレードの徹底、利益を環境保全に取り組む非営利団体に寄付するなどさまざまな取り組みが行われています。美味しいコーヒーを楽しみながら、環境保全への意識も高めてくれるコーヒーロースターなのです。

社会に貢献するカフェ

ノースイースト地区にあるハッピー・カップのカフェ

もう一件は、発達障害をもつ地元の大人たちを雇用する「Happy Cup Coffee Co. (ハッピー・カップ・コーヒー・カンパニー。以下ハッピー・カップ)」。

2015年に起業したハッピー・カップは、「People with Potential(可能性をもつ人たち)」が、安全で理解ある現場で職業訓練を受けたり、働く機会を提供する、特別教育を終了後の社会的な受け皿として機能しています。

ハッピー・カップのコーヒー

具体的には、市内のコーヒー豆の焙煎所と2店舗のカフェで、コーヒー豆の計量、袋詰め、ラベル貼り、ブレンド名の提案、カフェでコーヒーをサーブするなどのさまざまな仕事を担当しているそうです。

ノースイースト地区のカフェを訪ねてみました。明るい雰囲気で店内のあちこちにこのコーヒーを購入することで発達障害をもつ大人たちが正当な賃金の仕事を得て、雇用の不平等の是正に貢献できることが掲示されています。

さらにコーヒー豆の生産者、そして生産地を守るエシカルなコーヒー豆を採用しており「6ブロック(街区)先の人たちと6000マイル(約9700km)先の人たちの未来に貢献」しているそうです。

スモールバッチで丁寧に焙煎されたコーヒーは、香り高く美味しかったです。同じ美味しいコーヒーなら、環境や社会に貢献できる方を選んでいきたいですね。

 

▼記事内に登場したカフェ

Nossa Familia Coffee https://www.nossacoffee.com

Happy Cup Coffee Co. https://happycup.com/

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