3年間のパンデミックで急成長したのがeコマースです。そして、パンデミック後も引き続きeコマースは好調を維持しています。
パッケージはeコマース業界の基盤技術であり、eコマース業界が前例のない速度で拡大するにつれて、その需要はますます増加しています。
Innova Market Insights によれば、2022 年に、世界の消費者の 36% が、食品配達が増加したと答えています。
世界2位市場である米国は、2023 年までに9,153 億 5,430 万米ドルに達すると予測されており、成長率は14.4%に達しています。
おもちゃ、ホビー、DIY はEC最大の市場であり、米国の e コマース収益の 28.0% を占めています。次いで食品とパーソナルケアが 27.5%、ファッションが 16.3%、家具と家電が 14.5%と続いています。米国ではミールキットのHelloFresh や Blue Apron、食事管理プログラムのJenny Craig や Nutrisystem、そしてe コマース市場の巨人Amazon、地域密着の食料品店なども成長しています。今回はこの中からフードデリバリーサービスやミールキットサービスをとりあげます。
ミールキットデリバリーサービスは新型コロナの影響で需要を拡大しました。1食当たり5ドルほどの手軽なものも増えたうえ、ベジタリアン、ビーガン、パレオ(健康志向の食事法)、ケトジェニック(タンパク質と脂肪を摂取し、炭水化物を避けた食事法)など、多様なライフスタイルニーズに応えるサービスが出現しています。
世界のミールキットデリバリーサービスの市場規模は、2021 年に 152 億 1000 万米ドルと評価され、2022 年から 2030 年にかけて年平均成長率 (CAGR) が 17.4% になると予想されています。デリバリーサービスは、Y世代やZ世代の間で人気が高く、採用が進んでいますが、ミールキットはテイクアウトや宅配サービスに比べて経済的であるという利点から、ファミリー層中心に需要が拡大しています。
パンデミックは、世界中のほぼすべてのレストラン、飲食店、ホテルが閉鎖されたため、ミールキット配達サービスの市場に大きなチャンスをもたらしました。免疫力を高め、バランスの取れた食事を維持するために、健康的な食事が注目され、人と接触が少なく、簡単な食事のオプションを求める人が増えています。この分野のリーダーBlue Apronは世界的な売上の増加を報告しており、HelloFreshがそれに続き、米国の顧客を2倍に増やし、前年比の収益は+66%になりました。
ミールキットは持続可能性がアピールポイント
ミールキットの利用者は環境意識が高く、おのずと持続可能性がアピールポイントとなります。
Sunbasketはオーガニック食材だけを利用したり、栽培農家が特定できたりすることなどが特長のミールデリバリー企業です。レシピは有名シェフによって開発され、栄養のバランスが取れる点をアピールしています。高品質でほとんどがオーガニックの食材、肉、魚、農産物を調理しやすいレシピで提供することに重点を置いており、その多くはさまざまな食事や食事制限のために特別にアレンジされています。
ミールキットに加えて加熱すればすぐに食べられるフレッシュ＆ミールも選択できます。ミールキットは通常の食料品の買い物に比べて、温室効果ガスの発生が25%少ないことやパッケージや緩衝材が再生クラフト紙とバージンクラフト紙で作られているため、店頭のリサイクル箱に廃棄することでリサイクルできることを訴求しています。
Sunbasket ready eat or meal kit
Yumble
Yumble は、サブスクリプション サービスを通じて子供たちに健康的な食事を提供しています。ブランドは持続可能性を優先事項としています。食事トレイは PP #5 (ポリプロピレン)でできており、各食事の紙のスリーブと一緒に、標準的なカーブサイド リサイクルに対応しています。配送用の箱は完全にリサイクル可能で、通常の紙リサイクルに対応します。
また、多くの消費者が配達時に家にいない可能性があることを考慮して、ミールキットは、消費者が箱から出して材料を適切に保管できるようになるまで、玄関先に置かれているため、適切な温度に保つ必要があります。
さらに重要な要因は、外気温です。食品が温度管理されたトラックで配送されている場合を除き、メイン州で 12 月にミール キットを配送する場合と、テキサス州で 7 月に包装して配送する場合とでは要件が異なります。生鮮食品に含まれる細菌はわずか20分で倍増。屋外の温度は出荷のペースを設定し、気象条件と輸送時間で適切な温度を維持するために必要な断熱材、保冷剤、および梱包の量のコントロールが必要になります。
ますます多くの顧客が、環境に配慮した商品を望んでいます。包装の量を減らすか、リサイクル可能性を高めることが重要です。多くの消費者は現在、ブランドを選択する際の主要な意思決定にその持続可能な基準を取り入れています。
断熱包装ソリューション
Pregis 社の断熱包装ソリューションThermaCycle™、は、ミール キットの配送を含む、幅広いコールド チェーン アプリケーションに対応できるように設計されました。その金属化されたバブル構造は、断熱性とクッション性を提供し、食品を新鮮に届けます。製品のワンピース構造は、組み立てが最小限であるため、梱包プロセスのスピードupに貢献します。
ThermaCycle Flex の全ポリエチレン構造はリサイクル可能であるため、消費者は便利に処分できます。
Hellofresh
米国のミールキットサービスのHelloFreshはホームページでパッケージのリサイクル方法を提示し、丁寧にリサイクルを訴求しています。同社はパッケージの改善にも取り組んでおり、断熱材の改善、配送箱の効率的なサイズ適性や氷の量の最適化によって配送効率の改善による二酸化炭素排出量の改善、紙製のプロテインパウチの採用をおこなっています。
またHelloFresh は、「食品廃棄物を最小限に抑える先駆者」とし、廃棄される食品の量をさらに減らす方法を継続的に模索しています。同社は、あらかじめ小分けされた食材を使用することで、伝統的に調理された夕食と比較して家庭での食品廃棄物を 38% 削減できると主張していますが、調査によると、国民の 2 人に 1 人が毎月 20 ユーロ相当の食品を捨てていることが示されています。
Keep-it(R)、Zebra Technologies、ワーゲニンゲン大学と協力して、TTI （時間温度指標） に基づいたよりスマートなソリューションをテストしてきました。現在、HelloFresh は、食品廃棄物と戦うために、よりダイナミックな食品ラベルの使用を提唱しています。同社は、TTI などの革新的な代替ソリューションがこの変化に対処する鍵と考えており、2020 年と 2021 年に、HelloFresh はヴァーゲニンゲン大学およびテューネン研究所と協力し、オランダとドイツの 3,000 を超える HelloFresh 顧客との間で Keep-It(R)の TTI ソリューションをテストしました。
時間温度インジケーターは、保管条件や温度条件を考慮して、製品の保存期間をリアルタイムで示します。この調査では、このラベルが食品廃棄物を 15% 削減できる可能性があり、消費者の間で好意的に受け止められていることが確認されました。
同社は、革新的な TTI 食品表示ソリューションの使用を可能にするためには、EU レベルでの規制変更が必要であると考えています。そのため、HelloFresh は、Keep-it(R)、Zebra Technologies、ワーヘニンゲン大学などの他の組織と協力して、食品業界におけるさらなるイノベーションを推進しています。
進化を続けるBlue Apron
Blue Apronは、 2012 年に設立以来、毎年のようにパッケージの改善を進めています。
2014年Blue Apronは外箱のブランディングを制定し、ネイビー ブルーのエプロンのロゴと食材の線画で現在に続くデザインを制定しました。よく年、 GreenBlue と提携して、パッケージングのベースラインを理解し、パッケージングが環境に与える影響を分析しています。
2016年にパッケージが環境に与える影響を整理し、ミールキット会社としてHow2リサイクルプログラムに参加リサイクルへの対応を進め、2017年には新しいボックスパッケージを導入しています。2019 年、ノルディック アイスと提携して開発された、排水に安全で完全にリサイクル可能なジェル パックを導入し、Dow から 2019 Packaging Innovation Award を受賞しました。2020年Blue Apron は、箱の中身と天気予報に基づいて動的にパッケージングを決定するシステムを立ち上げました。これにより、使用するパッケージの量を減らしながら、安全な配送を確保するという目標を持った適切なパッケージ構成が可能になりました。
2025年末までに100%リサイクル可能、再利用可能、または堆肥化可能なミールキットボックスの新しい持続可能な包装目標を表明しています。
Just Eat Takeaway 持続可能なパッケージの導入
オンラインフードデリバリーのJust Eat Takeaway は2022 年に一時的な成長の鈍化を見ましたが、現在、パンデミック前の 2 倍の規模に成長しています。
Just Eat Takeaway社はフードデリバリー部門に前向きで持続可能な変化をもたらしたいと考えており、プラスチック包装を減らすことはその重要なテーマの一つです。
同社はまた、パッケージのイノベーターと協力して、プラスチックを使用しない新しいソリューションを開発およびテストし、あらゆる種類の料理に持続可能なパッケージを提供しています。これには、包装分野で権威のあるEarthshot 賞を受賞した Notplaとの Just Eat Takeaway のパートナーシップも含まれています。Notplaの紙製パッケージは、海藻から作られたフイルムでコーティングされています。
オフィス向けのデリバリーサービスのJust Eat for Business はClubZerø とのパートナーシップを拡大し、英国のロンドン全体でリターナブル パッケージ システムを導入して、フードサービス パッケージ業界から発生する使い捨て廃棄物に取り組みました。ClubZerø の製品は、ロンドン全体の企業オフィスで便利なリターナブル パッケージ スキームを通じて使い捨てパッケージを置き換えるように設計されています。
BCoolBox
Mondi の BCoolBox は、オフィス向けデリバリーサービスのTyme Food にセントラル キッチンから冷蔵なしで食事を 7度 以下に冷やして英国全土に出荷できるパッケージBCoolBoxを提供しました。
Tyme Food は、栄養価の高い植物ベースの高品質の製品を現地で発売し、忙しいライフスタイルと健康的な食事の調和を求める環境意識の高い消費者にアピールするブランド イメージを備えています。
顧客中心の EcoSolutions アプローチで分析した後、Tyme Food のニーズに合わせて最適化された新しい BCoolBox パッケージ システムのトライアルを提案しました。BCoolBox の丈夫で軽量な波型の側面と断熱パネルは、通常の配送で最低 24 時間、内容物を 7度未満で十分に保護します。オール波形のモノマテリアル構造により、サプライ チェーンが簡素化されました。2022 年 4 月 Mondi の BCoolBox は、冷蔵なしで食事を 7度 以下に冷やし、Tyme Food が 1 つのセントラル キッチンから英国全土に出荷できるようになりました。波形のモノマテリアル構造により、BCoolBox のリサイクルも容易になり、Tyme Food の循環目標が達成されました。
英国のミールキット会社 Gousto は、配送中に食品を新鮮に保つために、プラスチックを使用せず、リサイクル可能な段ボール製の断熱材である Eco Chill ボックスを使用しています。同社によると、エコチルの包装により、箱から82トンのプラスチックも除去しました。
ミールデリバリーとパッケージ戦略について
Mondiのeコマース 調査では、eコマース における消費者の最大の関心は製品保護にあり、続いてポジティブな開梱体験がリピート購入を促進するとしています。フードデリバリーにとって温度管理を含めた製品保護は最重要課題です。調査では欧州各国で、オンラインショッピングが伸びており、再利用可能、リサイクル対応の持続化対応パッケージが求められています。
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