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アメリカで流行中のコラボマーケティング

アメリカでは、今小さなローカルのお店から大型チェーン店、お菓子のブランドまであらゆるところでコラボによるマーケティングが流行しています。

コラボと言えば、以前は、ハイファッションブランドとセレブなど特別感のある組み合わせで行う希少性の高い商品の販売を目的としたものが主流でしたが、現在では一般消費者向けのブランドやお店が手を組み、メニューやパッケージにちょっとした工夫を凝らすカジュアルなコラボが多く登場しています。

そんな流行が広まっているのはSNSが存在感を増す中、意外性があるコラボは話題になりやすいことが背景にあります。ニューヨークでも、ローカルブランドから大手ブランドまで多種多様なコラボを目にするようになっており、そんな中から最近見つけた面白いコラボの実例を紹介します。

カフェ×ファッションブランド

ニューヨークにいながら、パリを感じることができる、お洒落なフレンチカフェ「Maman」では、ドリンクのカップや、ベーカリーの紙袋など、自社ブランドのお洒落なデザインを取り入れています。
ブルーとホワイトを基調にした綺麗な花柄のデザインが用いられ、季節により、雪の結晶のようなデザインも登場したりします。そんな美しいデザインセンスで、女性たちを惹きつけている人気のフランス系カフェならではのコラボが行われていました。

Mamanのパッケージ

ニューヨークの秋のファッションウィークの際に目を引いたコラボのひとつが、カフェ×ファッションブランドのコラボです。ニューヨークのフレンチ系カフェ「Maman」と、フランスのファッションブランド「maje」が、カフェでコラボ特別メニューを提供していました。

コラボメニューは、フランスらしいチョコレートクロワッサン(Pain au Chocolat)をイメージしたドリンク「Pain au Chocolat latte」です。チョコレートクロワッサン風味のラテに、ミニサイズのチョコレートクロワッサンがセットでついてきます。

カフェで提供されるラテ用のカップと、クロワッサン用の紙パッケージも、ブランドに合わせてデザインされたコラボ特別メニュー用の特別仕様です。パリの街を描いたデザインで、パリの街のシンボルの凱旋門や橋が描かれ、とてもフランスらしさが感じられる素敵なデザインです。

Maman × majeのコラボパッケージ

ティー×ファッションブランド

ニューヨークのファッションウィークの際には、いくつかコラボイベントが見られましたが、そのうちのひとつが、アジア発の人気フルーツティーショップ「HEYTEA」とニューヨーク出身のファッションデザイナー「Sandy Liang」のブランドとのコラボです。
ニューヨークでも拡大中のティーショップ「HEYTEA」の新店舗オープンと同時期の開催となり、コラボドリンクの発売に加え、新店舗のデザインもコラボで行われたものとなっていました。

左のドリンクが通常メニューのドリンク、右のドリンクが「Sandy Liang」とのコラボ限定ドリンクです。ファッションウィークの時期に、地元ニューヨーク出身の人気ファッションデザイナーとのコラボイベントということで、若い女性たちを中心に注目を集めていました。

Sandy Liang × HEYTEAのコラボドリンク画像

「HEYTEA」のドリンクパッケージは、工夫された少し高級感があるパッケージになっています。ストローはエコな紙製ストローを使用。ストロー専用挿し口にはわかりやすくストローの絵が表示されています。
また、ストローの挿し口とは別に、口を付けて飲む穴もあり、手渡し時には穴にキャップの蓋がついていて、飲むときにそのキャップを外します。フルーツの果実が入っているドリンクなので、果実が通るくらいの大き目の口になっています。

HEYTEAのドリンクの飲み口の画像

「HEYTEA」は、コラボマーケティングを積極的に行っているブランドで、今までにも「FENDI」など色々なブランドとコラボし話題になっています。

ファーストフード×ゲーム

アメリカの大手ファーストフードチェーン店の「マクドナルド」では、日本で原神として知られている人気のRPGゲーム「Genshin Impact」とのコラボ商品が発売されました。コラボメニューで登場したのが、アップルパイとセットメニューです。アップルパイは、ゲームのキャラクターが描かれたパッケージに入っています。

マクドナルド × Genshin Impactコラボパッケージ画像

今回のコラボの面白いところは、キャラクターデザインのパッケージで見た目に楽しめるだけではなく、ゲームならではの特別特典が付いていることです。コラボメニューを購入すると、ゲーム上で使えるアイテムがもらえます。
アップルパイを購入すると、こういったゲームのアイテムがもらえます。セットメニューで購入した場合は、また別のゲームアイテムがもらえます。コラボ商品はアプリで注文し、ゲームアイテムは、購入後しばらくしてからEメールに送られてきます。ゲームファンを引き付ける面白いキャンペーンでした。

コラボメニュー購入特典画像

ベーグルショップ×キャンディーバー

コラボで話題を作り人気になっているお店のひとつ、ベーグルショップの「Pop Up Bagels」です。ベーグルの販売方法が他店と異なり独特で、ベーグル3個とクリームチーズ1種類のようにセット販売になっています。
クリームチーズは、いくつかある選択肢の中から好きなフレイバーのものを選ぶことができ、定番のフレイバーに加えて、数種類の期間限定フレイバーが並びます。その中に色々なブランドとのコラボによる期間限定フレイバーが登場することもあります。

ベーグルとキャンディーバーの画像

「Pop Up Bagel」で、先日、期間限定で登場していたのが、1923年に誕生した長い歴史のあるアメリカの定番キャンディーバーの一つ、「Butterfinger」とのコラボクリームチーズです。今までクリームチーズで食べたことがなかった味が楽しめる上に、コラボ相手のブランドの商品のPRにもなる、面白い取り組みです。
お菓子自体はとても甘いお菓子なのですが、ベーグルショップによって作られたクリームチーズは、ほどよい甘さに調整され、ベーグルととても相性のいいものになっていました。

Pop Up BagelとButterfingerとのコラボクリームチーズの画像

ターゲット×ペットインフルエンサー

アメリカの大手小売ブランドのターゲットでは、ペットインフルエンサーとのコラボキャンペーンが行われていました。ペット好きに響く可愛いペットグッズやペットフードなど色々なコラボ商品が登場していました。

ペットインフルエンサーとのコラボ画像

ドーナツやクッキーの形をしたものなど、思わず食べたくなってしまうような可愛いペットフードが色々あります。商品の中身がよく見える工夫の凝らされたパッケージで、色味もデザインも魅力的で目を引きます。

ペットフード×ペットインフルエンサーのコラボ商品画像

アメリカでは、ファーストフードやお菓子ブランドまでコラボマーケティングを行う一般消費者向けのブランドが増えて来ています。その背景には、世の中に溢れている普通の広告は多くの人の目に止まらなくなっている一方、SNSの存在感が増していて、コラボによる商品やパッケージへのちょっとした工夫によって、広告感を漂わせずに話題性を高めることができることが魅力になっています。
また、普段とは異なった客層やターゲット層へアクセスできる上に、既存顧客へは目新しい商品の提供など、短期的な売上に直接影響を与えることができる即効性の高さも大きなメリットになっています。

コラボは、複数のブランドが関わるためコーディネーションが難点ですが、近年、積極的な他ブランドとのコラボをマーケティングの中心に据えた新ブランドが増えていることに加え、多くのブランドを所有するコングロマリットが増えていることもコラボのプロジェクトが進みやすい一因となっており、今後も、クリエイティブなコラボが色々登場してくると思います。

 

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