ニュージーランドには、日本では見かけないパッケージの商品が多く存在します。形やデザイン、材質等、商品によって様々です。そんなパッケージの中には、単純に食品を包装するだけでなく、+αの役割をもった便利なパッケージがあります。
日本でもレンジで温めて食べるご飯のように、耐熱容器の役割を果たすものや、ミルに移し替えることなく、胡椒の粒を挽くことのできる便利な容器を見かけます。ニュージーランドにも、普段の生活で商品を利用する際に感じる、ちょっとした不便さや煩わしさを解消するようなアイテムが沢山。今回はそんな便利でアイディア満載のパッケージを使用した商品について紹介していきます。
調理器具を極力減らした、パンケーキボトル
ニュージーランドのスーパーには、パンケーキミックスがボトルに入って売られています。ボトルの半分の量だけ粉が入っており、そこへ水を入れて生地を作ります。通常のパンケーキミックスはボウルに粉と水を入れ、泡立て器で混ぜる必要がありますが、このパンケーキボトルはボトルの中に水を入れ、蓋を閉めてそのボトルを振るだけで、パンケーキの生地を作ることができます。
蓋を閉めているので溢れる心配もなく、調理器具も使わないので、洗い物も減ってとても便利です。生地が完成したら、ボトルの蓋を開けて熱したフライパンに注ぐだけなので、生地をすくって入れるためのお玉も必要ありません。元々、パンケーキミックス自体がパンケーキを作るための材料を全て混ぜてある便利な商品でしたが、この商品はさらに調理器具を極力減らして作ることができます。
フライパン要らず!レンジで作るポップコーン
パンケーキボトルと同様に、調理器具を使わずに作ることのできる商品として、ポップコーンがあります。日本では、完成したポップコーンが袋に入っているのに対し、ニュージーランドでは、加熱前のとうもろこしが入っています。日本でも鍋型のアルミ容器に入って、直火で加熱して作る商品がありますが、こちらは電子レンジを使用し、より簡単にポップコーンを作ることができます。
調理方法は、外装を開けてとうもろこしの入った内装を取り出します。表面を上にして電子レンジに入れ、袋に記載のあるワット数と時間で温めます。次第にとうもろこしが弾ける音と共に袋が膨らんできます。初めは平たくコンパクトだった商品が、パンパンに膨らむ姿は見ているだけでもワクワクします。
加熱前はとうもろこしの粒のため、かさばらず、食べる時に電子レンジで加熱するため、出来立てをその場で食べることができるというメリットもあります。
塗らない、オイルスプレー
日本では調理用油のほとんどが、大きなボトルや瓶に入って売られています。揚げ物をする場合でない限り、一度の料理に使う油はごく少量ですが、注ぎ口の大きなボトルから直接注ぐことで、出しすぎることもよくあります。ニュージーランドではそんな日常の不便さを解消することのできる、スプレータイプの油が売られています。このスプレータイプの油を使用すれば、使いたい量だけ無駄なく出すことができます。
また、フライパンなどに油をひく際には、油を入れてから薄く伸ばして広げる工程が必要ですが、スプレータイプの油は、ひと吹きでフライパン一面に、均一に油を吹きかけることができます。そのため、キッチンペーパー等を使用して油を塗り広げずとも、まんべんなく油を行き渡らせることができます。スーパーでは、キャノーラ油、米油、ココナッツオイル、オリーブオイルと様々な種類の油がこのスプレータイプで売られており、需要の高さを実感しました。
ひと目で原材料がわかる、パッケージデザイン
他の商品とは少し違った視点で、便利だと感じたパッケージの商品を紹介します。TASTI PRODUCTS LTDが販売している、ナッツを使用したボール型のお菓子のパッケージです。このナッツボールは、日本ではあまり見かけませんが、ニュージーランドのスーパーでは必ず品揃えされている定番商品です。
一般的に、原材料などの食品表示は、商品の裏面や側面にまとめ表示されています。そして、表面には商品名や謳い文句、イメージ画像が載っていることがほとんどですが、この商品は他の商品とは違い、表面の1番目立つ箇所に使用している原材料の名前を全て記載しています。
商品ひとつひとつを手に取り、逐一裏面を確認することなく、ひと目で何が使われているかわかることは、食品アレルギーをもつ人やビーガンなど、食べるものに気を使う人々にとって、とてもわかりやすく便利なパッケージであると言えます。
持ち歩きに便利な個食オートミール
ニュージーランドでも人気のオートミール、スーパーでは1人用のカップオートミールを見つけました。
通常、オートミールは大袋に500gや1kg程度入って売られていることがほとんどで、そこから、必要な分を軽量する必要があります。しかし、この商品はすでに1人用に分けられており、職場などの外出先へのも持ち運びも簡単。カップスープ同様に蓋を開けてお湯を入れて混ぜるだけですぐに食べることができます。
個性的な飲み口のペットボトル飲料
水道水を飲むことのできるニュージーランドでも、水はスーパーやコンビニで必ず品揃えされています。日本を含め他の国と少し違うのが、飲み口がスクイズボトルのようになっていること。通常のペットボトル飲料と同様に回す蓋も付いて+αいますが、そこにさらにスクイズボトルのような飲み口がついています。
この飲み口は特に500ml〜1L程度の容量のボトルに付いており、スポーツドリンクも同様の飲み口になっています。逆にジュースや炭酸飲料には付いていません。
スクイズボトルは押し潰すことによって中のドリンクを出して、飲みたい分だけ飲むことができます。また、片手や口で開くことがき、水分補給が簡単にできるため、スポーツをする場面でよく利用されています。その特性を活かし、運動中に飲むことを想定した飲料にのみ、このような飲み口をつけていると考えられます。
鮮度を持続できるクリーム容器
TATUA Daily Co.は常に鮮度の短い乳製品のために、包装に特殊なパッケージを使用しています。乳製品はボトルや紙パックに入っており、一度開けてしまうと開封前のように密閉することは難しく、すぐに鮮度が落ちてしまうのが課題でした。
一方、TATUAのエコクリーンパッケージと呼ばれる包装容器は、リサイクル可能なプラスチックを使用し(地域のリサイクル施設による)、クリップで密封できる構造です。そのため、空気に触れる部分が少なく、劣化を抑えることができます。また、スプレー缶に入ったクリームと違い、空になるとコンパクトになり、廃棄物が少ないことも特徴です。
SDGsの考えが当たり前になった現在、ニュージーランドでもその考えを反映させた容器が商品の包装に採用されています。その中でも、このクリーム容器は便利さとの両方を兼ね備えた、ハイブリッドな容器と言えます。
まとめ
包装容器は、単に中の食品を包装するだけでなく、他にも役割を持たせることによって、商品の価値を何倍にも上げることができます。しかし、容器の機能性にこだわりすぎると、原価が上がり、かえって手に取りにくい商品になるリスクも。そのため、便利な機能性と手に取りやすい価格のバランスを取ることが容器を選定する上で重要な項目です。
また、容器の形を変えることで、製造工場において新たな設備投資が必要となる可能性もあるため、導入には慎重な検討が必要です。そんなハードルを超えて発売し、人々に浸透した商品だからこそ、便利で魅力的な商品が多いと感じます。