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アメリカの多様でおしゃれなラッピングペーパーのトレンド

アメリカでは、贈り物をするとき自分で好みのラッピングをする人が多いため、多種多様なデザインのラッピングペーパーが販売されています。今回は、イラストやヴィンテージデザイン、ハンドメイドのものや環境を意識したエコな素材のものまで、ニューヨークの文房具店などで見るおしゃれでプレミアム感のあるラッピングペーパーをご紹介します。

アメリカでは、誕生日やクリスマス、お祝い事などで贈り物をする機会が多くあります。日本ではギフトラッピングは、商品を購入するお店での無料サービスが多いですが、アメリカではほとんどのお店でラッピングサービスがなく、ある場合でも有料となることが多いです。そのため、自分でラッピングをする人が多く、ラッピンググッズのニーズが高くなっています。

お店で売られている多種多様なデザインのラッピングペーパー
ラッピングペーパーを種類豊富に取り揃える文房具店などには、まるで生地のお店のように、模様や色合い、質感などバラエティに富んだデザインのものが並べられています。

バラエティに富んだラッピングペーパー

個性豊かなデザインのラッピングペーパー

アメリカでは、包装用としてはもちろん、アートや工芸などさまざまな用途にも使用可能な個性的なデザインで、プレミアム感のあるラッピングペーパーが販売されています。どんなシーンでも対応できる無難なデザインのものよりも、個性的なデザインのものが好まれ、その時だからこそ、そしてその相手だからこその選択をすることによって、送り主のセンスやこだわりが表現されます。

ラッピングペーパーで最もよく見かけるデザインは、花や動物など自然をテーマとしたもの、幾何学模様のもの、ホリデーシーズンをはじめその時々で季節感のあるものなどで、イラスト風、ヴィンテージ風などさまざまなスタイルのものがあります。子ども向けのものも種類豊富にあります。

こちらは、もらった人を笑顔にしてくれる、犬と猫がずらりと並んだ楽しいイラストのラッピングペーパーです。ポスターとして飾ったり、アート作品の一部としても使える、可愛いデザインの包装紙です。もっとも一般的なプレミアムラッピングペーパーの素材は、光沢がなくさらっとした仕上がりのマット紙ですが、光沢のあるもの、和紙、その他エコな素材で作られたものなど、バラエティに富んでいます。

犬と猫がずらりと並んだ楽しいイラストのラッピングペーパー

本になったラッピングペーパー

ラッピングペーパーの中には、本の形式で販売されている商品もあります。本になっているラッピングペーパーは一つのテーマをもとに、12枚のいろいろな色や柄のペーパーが1冊にまとまっています。

こちらの本は、19世紀後半に活躍したイギリス人デザイナー、「William Morris(ウィリアム・モリス)」のラッピングペーパーが集められたラッピングペーパーブックです。
その他、アールヌーヴォー、アールデコ、着物柄などさまざまなテーマでデザインされた、ラッピングペーパーの本が出版されています。

William Morrisのラッピングペーパーが集められた本
ミシン目がついていて1枚1枚切り外してラッピングペーパーとして使えるようになっています。ラッピングペーパーというと、通常は折り目を付けないよう丸めてロールの形の状態で保管しますが、本の形になっていると、薄くて平らなので場所をとらず収納がとても簡単です。

「William Morris」は、工業化が進んだ19世紀末のイギリスで手工芸への回帰を求めた、アーツ・アンド・クラフツ運動の代表的存在として知られるデザイナーで、近年のヴィンテージやクラフト人気の高まりに伴い、現在でも存在感のある人物です。

さまざまな花柄のラッピングペーパー
花や植物など自然からインスピレーションを得たデザインが多く、クラシックな色彩ですが、時代を超えて受け入れられる美しいデザインばかりです。包装紙だけでなく、クラフトにも使えるデザインペーパーとしても人気があります。

色鮮やかな自然をイメージするラッピングペーパー

リバーシブルラッピングペーパー

ラッピングペーパーの中には、片面だけでなく、両面に柄があるリバーシブルなラッピングペーパーも販売されています。通常のラッピングペーパーは片面のみのデザインですが、二つの異なる柄が楽しめるリバーシブルは、プレゼント開封時に驚かせることができ、印象深い特別感のあるギフトを演出できます。

表と裏に別の柄が描かれているので、どう見せるか想像力が膨らみ、包む楽しさも生まれるワクワクさせるラッピングペーパーです。裏も表も見せるような、工夫を凝らした高度なラッピング技術にも使えます。プレゼントする側もされる側も楽しませてもらえるラッピングペーパーのデザインです。

小鳥と蝶々、木の実をあしらったデザインと、黄色の花柄のデザイン、どちらを表にするか悩んでしまうくらい、どちらも素敵なデザインのラッピングペーパーです。

小鳥と蝶々、木の実をあしらったデザインと、黄色の花柄のデザインのリバーシブルになっているラッピングペーパー
美しい花々が咲く庭にいる猫と池の鯉、そして裏側には上品な白とブルーの花柄がデザインされています。まったく異なる雰囲気のデザイン柄ですが、どちらを表にするか、プレゼントする相手を想像しながら作りたい雰囲気を考えながら選んで使えます。

美しい花々が咲く庭にいる猫と池の鯉、そして裏側には上品な白とブルーの花柄がデザインされているラッピングペーパー
リバーシブルラッピングペーパーは、両面のデザインのギャップの大きさによって与える印象が変わります。上の2つは、表と裏でデザインが大きく異なるラッピングペーパーですが、こちらは両面で統一感のある花のデザインになっています。表と裏でサイズと色合いに若干変化を加えていて、控えめながら特別感を演出しています。

両面で統一感のある花のデザインのラッピングペーパー

おしゃれな薄紙とギフトバッグ

アメリカのギフトラッピングの定番アイテムのひとつに、ギフト用の紙袋と薄紙があります。この二つのアイテムを揃えれば、ラッピングの手間を省き、ギフトバッグにそのままギフトを入れ、薄紙をかぶせてギフトにできます。簡単に見栄えがするおしゃれなギフトに変身させることができ、とても実用的なアイテムなので、おしゃれなギフトバッグと薄紙も需要が高い商品となっています。

おしゃれなギフトバッグと薄紙
ギフト用の紙袋は、ユーモアのあるデザインのものがいろいろあり、こちらのバッグは、お誕生日が新聞で知らされている絵が描かれています。
アメリカでは楽しいデザインの商品が多く、お誕生日やクリスマス、バレンタイン、母の日、父の日などギフトをあげる目的に合わせたデザインの商品がいろいろあります。

ストーンラッピングペーパー

サステナブル志向の人のためのラッピングペーパーもあります。こちらは、ストーンラッピングペーパーという、ストーン(石)から作られたラッピングペーパーです。このように「Tree-Free」で木材は一切使用されていません。

石から作られたラッピングペーパー
デザイン的にも面白い商品で、ブルーとグリーンのタイルストーン柄のデザインになっています。ストーンのラッピングペーパーというと、使用感が悪くなるのではないかという懸念も出てきそうですが、実際は石から作られた紙はとてもしなやかで、光沢があり高級感も感じさせるプレミアムな包装紙です。

ブルーとグリーンのタイルストーン柄のラッピングペーパー
ストーンラッピングペーパーは、主にライムストーン(石灰石)を使って作られる場合がほとんどです。ただし、ライムストーンに加え、高密度ポリエチレン(HDPE)が使用されることが多く、紫外線による光分解性はありますが、生分解性ではありません。その特性上、通常の紙としてのリサイクルはできません。適切な廃棄・リサイクル方法については、お住まいの地域のルールを確認することをおすすめします。

また、ストーンラッピングペーパーは紙の質は丈夫で、とてもさらさらしていて手触りも良いです。水弾きもよく、再利用もできます。ロールになって販売されている包装紙は、購入者が自分で好きなサイズにカットして利用するため、商品によってはこのように親切に包装紙の裏側にまっすぐカットできるような目印が印刷されているものもあります。ストーンラッピングペーパーは、ハサミを入れる時もすーっとスムーズにカットができます。

包装紙の裏側にまっすぐカットできるような目印が印刷されている

アップサイクルのコットン包装紙

アップサイクルのコットンから作られるサステナブルなラッピングペーパーもあります。衣類などの製造過程で出る切れ端などのゴミからコットンを取り出し、再利用して紙が作られます。コットンから作られているため、普通の紙のラッピングペーパーにはない柔らかい肌触りと、ハンドメイドの温かみが感じられます。そんな素材に合った優しい自然な色合いのデザインになっています。

衣類などの製造過程で出る切れ端などのごみからコットンを取り出して再利用したラッピングペーパー

ハンドメイドのアートな包装紙

ラッピンググッズのお店には、ハンドメイドの芸術的なラッピングペーパーも並んでいます。こちらのラッピングペーパーは、バングラデシュから来たジュート(麻)繊維から作られたフェアトレードのペーパーです。1枚1枚手作りのため、マーブル柄の入り方が微妙に異なり、1枚1枚がオリジナルのデザインになっており、特別感があります。紙の端が不揃いで、機械で製造された商品にはないナチュラルな風合いがよく伝わってきます。

ジュート(麻)は、生分解性で環境に優しく、サステナブルなラッピングペーパーです。また、エコバッグなどで使用されることもあるように、麻は耐久性がある素材なので、ラッピングペーパーとしても丈夫です。

ジュート(麻)繊維を素材に手作りされたラッピングペーパー
日本の墨流しのようなペーパー・マーブリングは、アートや工芸でも人気の一分野となっています。マーブリングで著名なオランダ人アーティスト、「Karli Frigge」のハンドメイドの一点物の芸術的なマーブル紙の数々が美術館で展示されており、鑑賞する機会がありましたが、その美しさに驚かされました。そんな芸術的なデザインに影響を受けた手作り感のあるアートな包装紙も、プレミアムラッピングペーパーの人気のジャンルの一つです。

日本の墨流しのようなアートなラッピングペーパー
アメリカでは、自分でギフトラッピングを行う人が多いほか、アートや工芸などさまざまな用途で使用されることがあり、デザインから素材まで、いろいろな工夫が凝らされた多種多様なプレミアムのラッピングペーパーが販売されています。

近年、オンラインでラッピングや工芸のDIYチュートリアルが増加、またSNSのコンテンツの中でのさまざまなトレンドも後押しし、ラッピングペーパーの需要がさらに増しています。ラッピングペーパーを中心とするギフトラッピング用グッズは、今後もアメリカ、さらには世界で堅調な成長が予想されています。

ラッピングペーパーはギフトを包むだけではなく、個性や価値観を表すアートのような存在でギフトをさらに引き立てる、こだわりのアイテムです。そんなデザイン性が高い個性的なラッピングペーパーは、クラフトのアイテムとしても人気が高く、アートや工芸など物づくりに利用する人も多くいます。

ラッピングペーパーで最も大切な側面は、やはりデザインであり、イラスト、ヴィンテージ、ハンドメイド、和紙など人気のスタイルを取り込みながら、さまざまなものが登場しています。また、環境への意識の高まりから、ゴミとして廃棄されるものを生き返らせて新たな価値を与えるアップサイクルしたものや、地球に優しいエコな素材のラッピングペーパーも存在感を増しています。今後も、デザイン、素材ともにますます多様なラッピングペーパーが増えていくと思われます。

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