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気になる限定版スピリッツ&ワインパッケージ

トゥモローランド限定ボトル

「アブソルート」の限定版トゥモローランドボトルは、光るフロスト効果(液体をその沸点よりも高温の固体表面に落とした時に、液体がすぐに蒸発せずに、固体表面上で浮いているように見える現象)が特徴です。このボトルは音楽イベント「トゥモローランド ベルギー2025」のテーマを具現化したデザインで、22.99ユーロで92,000本販売されました。

トゥモローランドは世界最大のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の祭典で、壮大で幻想的なライトショーで知られています。
(youtube:https://youtu.be/ryIz5jiT6Pc)
世界中から40万人を超える観客がベルギーに集結し、ファンタジックなステージが展開されました。これまで、トゥモローランドのステージの演出は事前には公開されていませんでしたが、今回はボトルデザインがティザー広告のように使われています。

アブソルートウォッカの最新限定版パッケージ「アブソルート×トゥモローランド」は、イベントのメインステージデザインをモチーフにしています。

「アブソルート」とトゥモローランドの長年にわたるパートナーシップ「United We Dance」の一環として、トゥモローランドとのコラボレーションによって誕生した700mlボトルは、トゥモローランドのステージデザインチームが手掛けたイベントのファンタジーテーマ「Orbyz」を体現しています。暗闇で光るフロスト効果、メタリックインク、そして氷でできた魔法の世界を描いたリバースプリントのバックラベルが特徴です。

2025年のフェスティバルは音楽だけでなく、サステナビリティに対する取り組みとして、RFID対応の再利用可能なカップが導入されました。各カップにはフェスティバルのキャッシュレスシステムと連携するRFIDチップが埋め込まれており、参加者は購入時にカップ1個につきデポジットを支払うと、フェスティバルのブレスレットまたはカードに自動的に情報が登録されます。返却ステーションにカップを返却すると、即座にデポジットが返金され、シームレスでユーザーフレンドリーな仕組みが実現されました。

このシステムにより、2週間の週末を通して数百万個のカップが再利用され、この規模のイベントにおける廃棄物削減の大きな成果となっています。システムの中核を成すのは高容量洗浄インフラで、アントワープ州の施設で1日最大50万個のカップが洗浄されました。持続可能なパッケージングで知られるベルギーの企業「deSter」によって設計・製造されたPP製のカップは、シンプルなデザインにJupilerのロゴがあしらわれており、循環型地域経済への貢献をアピールしています。

ジョニー・ウォーカー、超軽量ウイスキーボトル

「ジョニー・ウォーカー」限定版ブルーラベルウルトラのパッケージは、手吹きガラスの180gのボトルが特徴で、ウイスキーのパッケージ重量を従来の半分以上削減し、世界最軽量の700ml容器を実現しました。重さは180gで、700mlのスコッチウイスキーボトルとしてはこれまでで最も軽いものです。

このティアドロップ型のボトルはわずか888本しか生産されませんでした。
限定版パッケージボトルは米国で1,250ドル(18万4千円)で販売されました。

ジョニー・ウォーカー・ヴォールト

同じくディアジオ社の新しい高級スピリッツ事業である「ジョニー・ウォーカー・ヴォールト」は、フランスのファッションデザイナー、オリヴィエ・ルスタンがデザインを担当しました。

この限定版ウイスキーは、4種類のウイスキーブレンドで構成され、「ジョニー・ウォーカー」のマスターブレンダーであるエマ・ウォーカーが、同社が誇る500種類もの希少な熟成ウイスキーのコレクションから作り上げました。「ジョニー・ウォーカー」は、4種類の季節限定ブレンドをそれぞれ25本ずつ製造し、小売価格1本2万ドル(約300万円)で2025年5月に発売しています。

ニッカウヰスキー「ニッカ ナインディケイズ」

2024年はニッカウヰスキー創業90周年の記念すべき年です。これを記念して、「ニッカ ナインディケイズ」を発売しました。
ボトルの形状は、2014年のニッカ創業80周年を記念した「ザ・ニッカ 40年」の発売に合わせて開発され、江戸彫りという伝統的なガラス彫刻技法を用いて手作業で彫刻されています。江戸彫りは、西洋のサンドブラスト彫刻に着想を得た技法です。

テキーラエッセンシャルアーティストシリーズ

ステンドグラスのデザインがテキーラのメキシコの伝統を反映しています。
1800テキーラのエッセンシャルアーティストシリーズの最新版のボトルには、ステンドグラスの視覚効果が採用されています。

このボトルは新進気鋭のメキシコ人アーティストに対する同ブランドの継続的なサポートの一環としてリリースされ、2025年新作コレクションでは、アーティストのラウール・デ・ニエベスによるオリジナル作品を展示した6つの限定デザインが製作されました。このシリーズは、ワシントン大学ヘンリー美術館で2024年9月まで1年間開催されたインスタレーション作品「A window to the see, a spirit star chiming in the wind of wonder(見渡す窓、驚異の風に響く精霊の星)」にちなんだものです。
ラウール・デ・ニエベスは、ギャラリー全体に広がる天窓に多数の色付きプラスチックフィルムをテープで貼り付けることで、巧みにステンドグラスのような効果を生み出しました。

3万ドルのシャンパン

アメリカ人デザイナー、ファレル・ウィリアムズとLVMH傘下のシャンパンメーカー「モエ・エ・シャンドン」とのコレクションには、3万ドル相当のジェロボアムボトルが含まれています。この作品は、フランス人アーティスト、アストリッド・ド・シャイエとパリの刺繍メーカー「バケ・モリニエ」のサヴォアフェールを際立たせています。

「モエ・エ・シャンドン」とファレル・ウィリアムズのコラボレーションコレクションには、30本限定の3万ドルの「ブリュット アンペリアル ジェロボアム 3L」が含まれています。フランスで一つ一つ手作業で製造され、個別に番号が付けられているジェロボアムのクロム鏡面仕上げは、特別な製法によって実現されていますが、その詳細は公表されていません。装飾画家のアストリッド・ド・シャイエがジェロボアムに手描きで文字を描き加え、89個のビーズを混ぜ込むことで立体感を生み出しています。

ボトルネックには、2018年に設立されたパリを拠点とする刺繍専門ブランド「バケ・モリニエ」が制作した特大のビーズリボンが飾られています。このリボンの制作には、ビーズの取り付けと刺繍の手作業を含め、7,310個のビーズと300時間を要しました。
ジェロボアムは、ウィリアムズの署名が入ったミッドナイトブルーに塗られた木箱に収められており、デ・シャイエはエンボス加工に真珠のような仕上げを施しています。

スピリッツなどの限定版需要は、消費者の希少性志向、ブランドの差別化傾向、クラフトスピリッツの台頭、投資や転売需要の拡大、イベントや季節限定需要の拡大に伴い増加しています。もちろん中身の味覚や成分の違いは大事ですが、多くの場合パッケージが製品差別化に大きな役割を担っています。

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