ペット大国のアメリカ。少し前のデータですが、APPA(American Pet Products Association)の調査によると、2012年にアメリカ国内でペットとして飼育されている犬は約8330万匹、猫は約9560万匹。日本は、2015年時点で犬は約992万匹、そして猫は約897万匹(ペットフード協会より)なので、アメリカでは日本の約10倍もの犬や猫が飼育されていることになります。
アメリカでは、ペットと暮らすライフスタイルがかなり浸透していることが、これらの数字にもしっかり反映されています。そして犬や猫を飼っている方にとって、ペットにつくノミやダニは、彼らが痒がったり皮膚炎になるだけでなく感染症の原因にもなるため、気にされている方も多いのではないでしょうか。
自身のペットが苦しむ姿を見て、商品開発を始めた
今回ご紹介するブランド「Wondercide(ワンダーサイド)」は、ステファニー(Stephanie Boone)氏が立ち上げたナチュラル素材のホームケアプロダクトのブランド。過去に自身の愛犬ルナが獣医に処方されたノミ駆除剤を使用したところ、副作用で苦しむ姿を見て、自分で確かな素材で作られた防虫剤を開発しようと起業したそうです。
彼女はブランドストーリー通して、あまり一般的に知られていない薬の副作用の危険性と、「もっと消費者は薬の詳細を気にすべき」というメッセージを伝えています。
口コミで売り上げが拡大
創業当時は、彼女が自宅の車庫で手作りした製品を知り合いに販売していただけでした。そして商品の需要の高さから、次にオンライン販売で事業を拡大。商品に込めたメッセージを顧客に直接伝えることで、その品質の良さだけでなくメッセージに共感したファンがロイヤルカスタマーとなり、口コミで売り上げが拡大しました。
現在も、自社のサイトを基盤に商品を販売しつつ、直接依頼のあった全米の独立系ペットショップに卸売を行うまでに成長しています。
ワンダーサイドのターゲットは女性カスタマー。ペットだけではなく、人、ガーデン、キッチン用の害虫駆除クリーナーなどもあり、「天然素材のホームケアグッズ」というイメージを打ち出すことで、虫が苦手な人も身近に感じてもらえるブランドとして成長しています。
価格は大手ブランドに比べるとやや高めですが、同様の取り組みをしているブランドが少ないため、価格競争に巻き込まれずビジネスが展開できているのではないかという印象を持ちました。
実際にオンラインショップで製品を買ってみた
筆者もオンラインショップを利用してみました。オンラインの利点を生かし、コストを下げ、優れたサイトのUI(ユーザーインターフェース=操作性、使用感)と、ユーザーが商品をオーダーしてから受け取るまでのエクスペリエンスを高めています。
全ての商品で、どんなインテリアにも馴染むミニマリスティクな半透明のパッケージを採用しています。また、サイズや香りも好みに合わせて選べます。製造コストは高くなりますが、ユーザー側の視点に立った商品開発がされているなと感じました。
また、実際に手にしてみると容器自体が軽いため、ミニサイズを旅行先などに持っていくといった使用シーンも想像できると思いました。
ソーシャルメディアを含むさまざまな媒体でブランドストーリーを伝え、販売数を着実に増やすワンダーサイド。今後もこのようなブランドの新たな試みに、注目したいと思います。
公式サイト:https://www.wondercide.com/
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