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アメリカで拡大する「植物性ヨーグルト」市場。パッケージで「ブランド・アイデンティティ」を示す

今、全米でブームのプラントベースフード(植物由来の食品)。Good Food Institute と the Plant Based Foods Associationの調査によれば、全米でのプラントベースフードの2019年売上額は、前年に比べ11.3%も増えたといいいます。

Photo:プラントベースフードの売上は右肩上がり( https://plantbasedfoods.org/plant-based-foods-sales-experience-8-1-percent-growth-over-past-year/ より)

これだけ広く普及した理由として、ヘルスコンシャスなブランドだけではなく、大手フードチェーンや食品メーカーも手軽に食べられるプラントベースフードを開発・販売し始めたことがあげられると思います。種類も豊富で、お肉、シーフード、牛乳など様々な食品の代替品としてプラントベースフードが販売されています。

Photo:プラントベースバーガーの先駆者Beyond meat(Beyond meat社プレスキットより)

ニューヨークの一部の学校では、2018年以降「ミートレス マンデー」という、給食にお肉を一切使わない日があるほどです。このように、アメリカ全土でかなり浸透してきたプラントベースフード。今回は、その中でも種類が豊富なヨーグルトを、大手メーカーのブランドと新興企業のブランドに分け、パッケージの特徴や事例をご紹介します。

Photo:プラントベースのヨーグルトが揃っていることを強調するサインを設置するスーパーも

大手メーカー:軽さを強調したパッケージデザイン

Photo:事例1「So Delicious」のオートミルクヨーグルト

30年間、乳製品不使用を掲げているブランド「So Delicious(現在はダノンのブランドの一つ)」のオートミルクヨーグルト。ナッツ・ソイ・グルテンフリーが三拍子揃った商品です。同ブランドのその他の商品と比べると、自然でナチュラルであることを強調したパッケージデザインが印象的です。

また、多く流通している容器よりも直径が大きく・高さが低いのが特徴。内容量はアメリカで一般的な150gと変わらないものの、見た目はもっと軽そうな印象を受けます。

Photo:事例2「Silk」ソイミルクヨーグルト

全米のソイミルク市場ナンバーワンのブランド「Silk」のソイミルクヨーグルト。Silkのソイミルク愛飲者にもわかりやすいよう、こちらのパッケージには同シリーズの商品と同じデザインテーマが使用されています。

ナッツ系のミルクが世の中に普及してから、ニューヨークでは見る機会が少なくなったソイミルク。ヨーグルトにすることで、新しい顧客の開拓を目指しているのかもしれません。

新興企業:サステイナビリティを強調したパッケージデザイン

Photo:事例3「Forager Project」カシューミルクヨーグルト

「Forager Project」は、カリフォルニア発祥のオーガニックブランド。原料へのこだわりだけでなく、環境に配慮した企業としても有名です。

石油プラスチック原料の使用を廃止し、環境に優しい容器を使用することを推進する協会「OSC2 packaging collective」、温暖化防止を推進する「The climate change collective」の会員として、使用原料だけではなく、製造・ パッキングもサステイナブルな方法で取り組むなど、積極的に活動しているそうです。

Photo:事例4「Lavva」ココナッツミルクヨーグルト

「Lavva」は、CEOのLizさん自身が癌のリハビリ過程でレシピ開発を進め、そこで生まれたレシピを商品化したヘルスコンシャスなブランド。砂糖不使用かつ植物由来の原料で作られていることが特徴です。また、今はまだ珍しい「ピリナッツ」を使用していることや、ポップなパッケージデザイン、Instagramのおしゃれな投稿で、流行に敏感な層にもアプローチしています。

Photo:蓋にもピリナッツの特徴が

Photo:商品写真だけではなく、使用イメージの投稿も多い(公式Instagramより)

さらに「zero waste/ゼロウェイスト」であることをはじめとした、サステイナブルな社会を作るための企業努力も、地球環境への配慮からプラントベースフードを探しているような人に対してアピールしています。

Forager ProjectとLavvaのパッケージを見てみましょう。一つ目の特徴は、コンパクトサイズ(日本で販売されているヨーグルト程度)ながら、底までしっかり充填できる容器にすることで使用する資材の量を減らしていること。

Photo:容器のそこまでずっしり

そして二つ目の特徴は、紙製ラベルであること。容器側面に直接プリントするのではなく紙製のラベルにデザインを施し、円柱形の容器に巻き付けてあります。捨てる際は線に沿ってラベルを剥がすと、簡単にプラスチックと紙を分別することが可能です。

Photo:食べている時も読み物を楽しむことができます。

Photo:メーカーとしては、外側に書ききれないブランドのこだわりを記入できるという新たなメリットも。

Photo:紙ラベルは手で簡単にはがすことができます。

Photo:分解して捨てられます。

 

Photo:今回試した4つのプラントベースヨーグルト

これまでアメリカの食品企業は、ヨーロッパに比べ環境に配慮した容器の導入が遅れていると感じていましたが、徐々に企業の取り組みにも変化が出てきているようです。今後はパッケージを通じてサステイナビリティーをどのように伝えるのかが重要視され、環境にやさしくメッセージ性のある製品がますます増えていくでしょう。

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