外出禁止で急激に伸びる「オンライン・ショッピング」市場。ネットでの買い物も「ゴミを出さない」時代へ
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。筆者の暮らすニューヨークでも、急激に感染者が増えています。人々の生活は急激に変化しました。先の見えない不安が広がる中、何日間か巣篭もりできるくらいの食料品を買わなければと多くの人がスーパーに殺到しています。
そして、通常は一般の店舗で買い物をする層も「今は費用を多く払ってでも出歩くストレスから解消されたい」「人混みの中に行ったり、誰が触ったか分からない物を買いたくない」と考える人が多く、人気を集めているのが「オンライン・グローサリー・デリバリー・サービス(インターネットショッピングで食品が届くサービス)」です。
ある調査によれば、「オンライン・グローサリー・ショッピング・アプリ」のダウンロード数は、前月比200%超のものもあったそうです。
そこで今回は、2019年から始まった、パッケージフリーのオンライン・グローサリー・サービス「The Wally Shop」を紹介します。
「The Wally shop」とは?
The Wally shopは、ガラス瓶のメイソンジャーなど再利用可能な容器で食品が届く、ニューヨーク発のオンラインショップです。創設者兼CEOであるTamara Lim氏は、Amazonの梱包&配送部門で働いていました。
その際、エコ関連カテゴリーの伸びを肌で感じるとともに、毎日不必要な包装がオンラインショッピングには使用されている現状を見て、「オンラインショッピングの持つ便利さを保ちつつ、この問題を解決する方法はないだろうか」と考えたことがきっかけで誕生しました。
The Wally shopのビジネスモデル
The Wally Shopの利用方法は、通常のインターネットショッピングと変わりません。専用サイトから必要な食品を購入し、指定配送会社が自宅まで届けてくれます。
しかし、専用サイトや配送会社に使用済みの容器(メイソンジャーや布の袋)の回収を依頼して、送り返す必要があります。容器は会社の責任のもと綺麗にされ、再利用されます。
商品代金と配送料とは別に、パッケージごとに1ドルの パッキング代金が加算されています。ただしパッキング代金はデポジットという扱いで、きちんと返品すれば、次回はデポジット分の費用が発生しない仕組みになっています。日頃からネットショッピングを利用している人なら比較的移行しやすい料金システムであることがわかりますね。
現在の取り扱いアイテムは、農産物、穀類、日用品。農産物は指定農家から直送される新鮮なものを使用しています。領収書には届けられた商品のトレース情報(農家の情報など)が記載されており、製品調達の透明性にも取り組んでいます。今後は、肉や魚といった生鮮食品や企業向けの製品など、カテゴリーを拡大する予定だそうです。
創業当初は、ブルックリンの限定された地区のみに自転車で配送していましたが、現在は全米に届けられるようFedex/UPSと契約し、配送エリアも拡大しています。
パッケージフリー・ショッピングの経験がない若者と、ネットショッピング利用者がターゲット
The Wally shopは、すでに量り売り式のスーパーに通っている人をターゲットとしているわけではないのです。企業のミッションステイトメントである「全ての人にできる限りゴミの出ない生活を、便利に、そして良質な価格で提供すること」から読み取れると思います。
また、配送範囲を広げるために資金をクラウドファンディングで募った際も、既存のパッケージフリー実践者以外からの支持も多く集めたことで、ファンドレイジングに成功しました。
彼らのPR方法について分析してみると、ネットショッピングをよく使うユーザーがターゲットであることも踏まえ、昨年はInstagram, Facebookを活用したSNSマーケティングが中心だったようです。
ただし、デザインガイドラインはまだ完成していないと推測でき、Instagramに投稿されている画像はインスタ映えを意識したカラフルな画像、一方でユーザーの年齢層が高いFacebookには落ち着いたイメージの画像が使用されていました。
コロナウイルスという予期せぬ事態で人気を集める、オンライン・グローサリー・デリバリ・ービジネス。まだまだスタートしたばかりのブランドThe Wally shopも、これを機に拡大していくのでしょうか。
今後、さらに統一されたブランドイメージを打ち出していくのかなど、動向が気になるブランドです。
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