カナダのクリスマスは、一年で最も盛り上がるビッグイベントです。ハロウィンが終わるとすぐに街全体がクリスマスムードに染まり、人々の期待感も一層高まります。日本でも近年頻繁に開催されているクリスマスマーケットはカナダでも大人気で、カナダでは独自のコンセプトを掲げて開催しているマーケットが数多くあります。
今回は、そんなカナダで開催されたクリスマスマーケットをコンセプトの違いと共に紹介していきます。
バンクーバー最大級の王道クリスマスマーケット
最初に紹介するのは、バンクーバーのJack Poole Plazaで開催されたバンクーバー最大級のクリスマスマーケット、「Vancouver Christmas Market」です。2024年は11月13日から始まり、12月24日まで1ヶ月以上開催されています。
事前にチケットを購入して入場しますが、中にはシーズンチケットなども販売されており、その人気が伺えます。会場に入ると、オーナメントなどのクリスマスにちなんだ雑貨等を販売するお店が数多く並んでいます。バンクーバーで長期間開催されるこのクリスマスマーケットは、クリスマスの準備を早めに始める人々にとって理想的な買い物スポットとなっています。
中央のエリアには食べ物の店舗が多く、ホットワインや、ソーセージ、チキンの丸焼きや温かいスープなどクリスマス気分を味わうことのできるフードが数多く販売されていました。
会場内には、メリーゴーランドなどの乗り物や、フォトスポット、大きなクリスマスツリーやタワーなども設置され、老若男女、観光客や留学生、家族連れ等幅広い客層で賑わっていました。
ブラックユーモア全開なWeird Christmas
続いて紹介するのは、「奇妙な」という意味のWeirdという単語を使った「Weirdos Market」です。言葉通り、通常のクリスマスのイメージでもある、明るく温かな印象とは違い、ユニークでブラックユーモアを感じるマーケットです。
会場には、人間の体のパーツをモチーフにした雑貨や、動物や虫の標本、ガイコツやピエロが描かれたアート作品やステッカーなど、個性的な商品が並んでいました。普段のショッピングではなかなか目にすることのないこれらのアイテムに、訪れたお客さんは強く惹きつけられていました。
会場内にはタロット占いができるコーナーがあり、逆さまのクリスマスツリーやオオカミのオブジェが飾られるなど、ブラックユーモアたっぷりの雰囲気に触れて非日常感を味わうことができます。
フォトブースもキラキラした装飾ではなく、逆さまに描かれた様子のおかしなサンタに食べられるというなんとも不思議な気分になるブースでした。小さな子供連れのお客さんはあまりいませんでしたが、意外にもカップルで来ている人が多く、普通のクリスマスマーケットでは感じることのできない独特の雰囲気を楽しんでいるようでした。
地域密着型のクラフトマーケット
「Coquitlam Christmas craft fair」は、39年続くマーケットで、毎年約7,000人もの来場者が訪れます。開催地でもあるCoquitlamの地元食材を使った商品や、地元の職人が作った商品を販売しており、地元企業の活性化にも力を入れています。
会場は、バンクーバーのダウンタウンから電車で1時間以上かかる場所にありますが、平日開催にもかかわらず、当日会場でのチケット販売でも長蛇の列ができるほど、多くの来場者で賑わっていました。
商品はオーナメントなどのクリスマス雑貨を中心に、お菓子やベーカリーなども並び、クラフトフェアというマーケットの名前の通り、手作りで温かみのある商品が販売されていました。お客さんは家族連れやマダムが多く、職人さんとの会話を楽しみながら買い物をしていました。
会場は体育館のような建物で各ブースはテーブルが置いてあるだけの、簡素なものでしたが、それぞれのお店がディスプレイや装飾による見せ方を工夫していて、目を引くお店が沢山ありました。
クラフトマーケットということもあり、他では出会うことのできない個性豊かな商品が多く並んでいます。同じものが一つとして存在しないのが手作りの良さであり、訪れた人たちは世界に一つだけの商品を求めて、じっくりと吟味していました。
ヴィーガン文化を体験!ホリデーナイトマーケット
次に紹介するのが、100%植物由来のもので作られた食べ物や商品のお店が40店舗以上並ぶ、「ヴィーガンホリデーナイトマーケット」です。そもそもヴィーガンとは、動物由来の食品や製品を摂取・使用しないライフスタイルのことで、動物保護や環境問題等に配慮した考え方です。
ダウンタウンからバスで20分ほどの、ホテルの駐車場と施設が会場でした。会場内に入ると、受付があり入場料を支払います。ここでの入場料は、1人4ドルもしくは物資の寄付で代替可能で、沢山の服や缶詰、調味料などが集まっていました。
会場内には、フードトラックなどの飲食店、ヴィーガンスナックなどの商品を販売する店舗、アクセサリーなど雑貨を販売する店舗、バーなどがありました。室内ではDJパフォーマンスも行われており、ナイトクラブのような雰囲気が漂っていました。
また、このマーケットはドッグフレンドリーを掲げており、犬を連れた人も沢山訪れていました。入場時に寄付する物資は、ドッグフードも推奨されており、会場内ではドッグフードの販売もされていました。
飲食店では、大豆を使用してチキンウィングに見立てた料理や、植物性のものだけで作ったラーメン、パコラと呼ばれるヒヨコ豆の粉を使った野菜のかき揚げ、動物性のチーズを使わないマカロニチーズなどが販売されていました。
フードの種類も豊富で偏りがなく、ヴィーガンがカナダで浸透していることが感じられます。他にも、ドーナツやクッキーなどのスイーツも多く販売されていました。
実際に購入して食べてみましたが、大豆の臭みなどは全くなく、甘辛いソースが絡んでとても美味しかったです。
日本の伝統をマーケットで楽しむ!Japan Market
ダウンタウンの中心部にあるロブソンスクエアでは、「Japan Christmas Market」が開催されていました。会場内には食器や手拭い、日本生まれのキャラクターがモチーフの雑貨などが並んでいました。
近年のSAKEやMATCHAブームにより、徳利やお猪口、お茶を点てる際に使う茶碗や茶筅(ちゃせん)など、日本文化を象徴するアイテムが多く販売されており、訪れた人々の注目を集めていました。食べ物は、人気のラーメンや団子、またお寿司をカナダで馴染みのあるタコス風にアレンジしたSUSHI TACOSも販売されていました。
会場内では、よさこいや殺陣、沖縄太鼓などのパフォーマンスがあり、特に殺陣に関しては、パフォーマンス終了後にも演者を撮影するために、多くの人が集まっていました。
11月から12月24日までに沢山のクリスマスマーケットが開催され、週末は各地で賑わいを見せています。様々な商品が集まるマーケットですが、さらに細かくコンセプトを絞って出店者を募集し、開催している団体が多い印象です。
「Vancouver Christmas Market」のような大規模なクリスマスマーケットが長期間で開催されているため、同じような王道のマーケットでは集客が難しく、このように独自のコンセプトを掲げることによって、そのマーケットでしか味わうことのできない特別な体験を売りにしていると感じます。出店側にとっても、お客さん側にとってもコンセプトが統一されているマーケットの開催はメリットの多いように感じます。
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