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ヘルシー、環境にやさしい、アレルギーでも大丈夫。ポートランド発「ひよこ豆アイスクリーム」を知っていますか?

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。

今回は、オープン前から話題を集めていた、ひよこ豆を使ったアイスクリーム風デザートショップ「リトル・ビーン(Little Bean)」を訪問し、スーシェフのマリーン(Marine Leisy)さんにブランドのビハインドストーリーを伺いました。

アレルギーがあっても食べられるアイスクリーム

Photo:パール地区にあるリトルビーンの外観

リトルビーン」は、ひよこ豆(ガルバンゾー)から作る植物性ミルクを主原料にしたアイスクリームのようなフローズンデザートのお店です。2019年4月にポートランドのパール地区にオープンしました。

オーナーは、日本にも出店したことのある人気ドーナツ店「ブルースタードーナツ」の経営者でもあるマイカ・カムデン(Micah Camden)さん。リトルビーンが誕生するきっかけは、アラフォーとなったカムデンさんが、昔のように乳製品やグルテン入りの食品を食べられなくなってきたことだとか。

ベジタリアンやビーガンの多いポートランドでは、豆乳やアーモンドミルク、ココナッツミルクのような植物性ミルクやこれらを使ったアイスクリーム風デザートはどこでも手に入りますが、豆乳は遺伝子組み換え大豆が使われていることが多く、またナッツベースのフローズンデザートはうまく凍らない、ココナッツのフレイバーが主張しすぎるといった問題点もありました。

そこでカムデンさんは、大豆に遺伝的性質の似ていながらも遺伝子組み換えが行われていないひよこ豆に注目。カムデンさんとシェフのチームで2年半ほどかけて、味、舌触り共に満足のいくアイスクリーム風デザートを開発したそうです。

Photo:店内の「ひよこ豆?本当に?!」と書かれたネオンサインと、スーシェフのマリーンさん

主要なアレルゲン食品である牛乳、小麦、鶏卵、大豆、ナッツ不使用のフローズンデザートの登場に、メディアや地元っ子は大注目。トレンディなエリアにあるショップですが、お客さんには食品アレルギーをもつ年配の方も多く、「ついに美味しいアイスクリームを食べられる日が来た!」と喜ばれているとのこと。

栄養価が高く、フムスなど中東料理を連想させるひよこ豆が主原料のため「美味しいの?」と半信半疑で訪れるお客さんも多いですが、みんな食べてみて嬉しい驚きの声をあげるそうです。

アレルギーがなくても選ぶ理由が。健康や環境に良いアイスクリームとは?

Photo:何でも食べられるけど、このアイスを選びたいと言うスーシェフのマリーンさん

ひよこ豆を主原料にしたアイスクリーム風デザートの良いところは、食品アレルギーをもつ人でも食べられることだけではありません。通常のアイスクリームよりも、プロテインや食物繊維を多く含み、また、飽和脂肪酸を含まないためヘルシーなのです。

更に、乳牛など動物の飼育が不要なことや、ワシントン州産のひよこ豆をはじめ地元の食材を使うことで温室効果ガスの量を抑えているため、環境にも優しいのです。

チームで開発するグルメなオリジナル・フレイバー

Photo:アイスクリームカウンター

店内のアイスクリームカウンターには、8つの色とりどりのアイスクリームが並んでいます。人気の上位を争うのは、トリプルチョコレート(Triple Chocolate)やチェリー・チャイティー(Cherry Chai)、花椒ストロベリー(SzechuanStrawberry)といったグルメなフレイバー。

Photo:花椒ストロベリーフレイバー

いくつかのフレイバーを試食してみましたが、確かに味からは豆が原料だと分かりません!

他にも、ミント抹茶(Mint Matcha)、コールドブリューコーヒー(Cold Brew Coffee)、ブラックベリーバジル(Blackberry Basil)など、定番から一捻りしたフレイバーは、チームみんなで意見を出し合って追求しているそうです。

なお、原料は基本地元のフルーツや食材を使っており、全てナチュラルなものです。

ひよこ豆の「おから」も利用。インハウスならではの無駄のなさ

Photo:インハウスのベイカリー

リトルビーンでは、店内でひよこ豆を水に浸して「ミルク」を絞るところからアイスクリーム作りをしていますが、実は液体を抽出した後の絞りかすも無駄にせず、店内のベーカリーで利用しています。ひよこ豆の「おから」は製粉され、店内で販売するアイスクリームのコーンやクッキー、ブラウニーの原料として使われます。

Photo:チョコレートワッフルコーン入りのミント抹茶とブラックベリーバジルのダブルスクープ

チョコレート味のワッフルコーンやブラウニーを食べてみましたが、こちらも豆臭さはまるで感じませんでした。

毎朝、店内で焼き上がるグルテンフリーのペイストリーは、アイスクリームと並ぶ人気商品になっていて、テイクアウトする人も多いんだとか。

SNSで広がる口コミ

Photo:リトルビーン店内

店内は、自然光を取り入れた明るい雰囲気。顧客のほとんどが、店内や外のテーブルでアイスクリームを食べて行きます。

マーケティングはインスタグラム中心で、ほぼ100%口コミでの集客だそうです。店内にも「Chickpeas? Really?!(ひよこ豆?本当に?!)」のネオンサインや観葉植物、ポップな壁紙など、SNS映えするスポットが点在しています。

Photo:アイスクリーム販売用のカート

また、外には可愛いアイスクリームカートも停車していました。こちらでファーマーズマーケットや誕生日、結婚パーティーなどのイベントにも登場することで、ブランドの認知を拡大しているようです。

今後はお店での販売に加えて、リテールでの商品販売も検討中だとか。ベジタリアンのライフスタイルを取り入れる若者が増加する中、ポートランドから全米、そして世界へ、これからの成長が期待できると思います。

Little Bean
https://littlebean.com/

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