世界の街角を旅する感覚で、商品開発やマーケティングの”虎の巻”的パッケージ&プロモーションネタが収集できるサイトです。

持続可能な社会へと歩むカフェ

ただ素敵なだけでない、「持続可能性」に取り組むカフェ

ベルリン南西部のノイケルン地区。もともとはトルコやアラブ系移民が多く住んでいましたが、10年ほど前から若い人々がドイツ国内だけでなく外国からもやって来て、当時まだ家賃が手頃だったこの地に移住するように。その結果、現在では移民系のショップと、若い人をターゲットとしたおしゃれなカフェやショップが混在するユニークなエリアとなっています。この辺りを歩くと聞こえてくるのは、ほとんどがドイツ語以外の外国語。多国籍な雰囲気が漂います。

多国籍文化が特徴のベルリン・ノイケルン地区。

ベルリン・ノイケルン地区の一角に佇むカフェ、Isla Coffee Berlin。

30席ほどの、シンプルなインテリアの店内。

Isla Coffee Berlin(イスラ・コーヒー・ベルリン)は、そんなノイケルンの一角にあるカフェ。シンプルでスタイリッシュなインテリアが素敵な、一見ふつうのカフェですが、じつは「持続可能性」に徹底的に取り組んでいます。つまり、リユース・リサイクルでゴミを限りなくゼロに近づける、環境に配慮する、といった行動をカフェで実践しているのです。

可能な限り広がるリサイクル

実際にコーヒーを注文してみましょう。Isla Coffee Berlinは店内のカウンターで注文し、注文の品を席まで持ってきてくれる半セルフサービス方式です。

運ばれてきたカプチーノ。

カップを持ち上げると、ちょっと驚きます。

ソーサーには、カップがコーヒーのリサイクル品であることが明示されています。

リーフ模様が描かれたカプチーノは、シックな黒いカップ入り。持ち上げると、思いがけない軽さに驚きます。見た目には風合いのある陶器のようですが、じつはこのカップは使用済みのコーヒー豆のカスからできているのです。このリサイクルカップは、ベルリンのスタートアップKaffeeform(カフェフォーム)が開発した製品。Isla Coffee Berlinで出たコーヒー豆のカスがKaffeeformに送られ、他所から送られてきたものと一緒になり、このカップに生まれ変わるというサイクルです。カップは繰り返し使用できて食洗機対応のため、業務用として使えます。

また、コーヒーのテイクアウト需要にも対応するためにテイクアウト用カップもありますが、こちらはBionatic(ビオナティック)社の土に還る素材によるパッケージを使用。環境に配慮して選んだパッケージです。

エスプレッソマシンの横に積み上げられたテイクアウト用カップ。

さらにユニークなのはミルクも「リサイクル」していること。通常エスプレッソマシンでミルクをスチームすると、機械にミルクの一部が残ります。同店ではこれを廃棄せずに集めて、そこからヨーグルトやチーズを自家製造し、デザートやブランチメニューに登場させています。このミルクはドイツの数あるオーガニック団体の中でも最も厳しいとされるデメターという団体の製品で、品質にこだわっている分だけ値も張ります。ですから、ミルクを無駄にせずに自家製ヨーグルトなどを作ることは、環境面だけでなく経済的にも意味があります。

また、リサイクル精神はインテリアにも存分に発揮されています。例えば、サンドイッチ類が並ぶカウンターの木材は、以前この場所にあった家具を再利用したもの。その上のライトも同様にリメイクしたものです。

リサイクルで造ったカウンター。

リメイクによるライト。

主張は控えめに、さり気なく

Isla Coffee Berlin創設者でありオーナーのPeter Duran(ピーター・デュラン)さんはアメリカ出身。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスと、オランダ・ユトレヒトの大学で、それぞれ国際関係論と持続可能性について学んだ後にベルリンへ。カフェ勤務を経て、飲食業界で持続可能性社会へ近づくための挑戦をしています。Isla Coffee Berlinでの取り組みが評価され、2018年には「ドイツ飲食店創設者賞」最優秀賞を受賞しました。

Peter Duranさん。自身も店頭でバリスタとして働いています。

「持続可能性な取り組みが特別なことではなく、ごく当たり前のことになることを目指しています」とデュランさんは話します。しかし、そのコンセプトを店内で声高に主張することはせず、入り口付近に営業時間と並んで小さい説明書きが貼ってあるだけ。

「自分たちのポリシーを大げさに主張するのではなく、使用しているパッケージやインスタの投稿でさり気なく示す程度にしています。持続可能性な社会は誰にとっても大切でしょう?」と、あくまでも控えめ。その姿勢が、入りやすい雰囲気につながっているのかもしれません。

入り口脇のウィンドーに店のコンセプトが貼ってあります。

フードメニュー。ブランチも人気です。

お店のメニューは英語とドイツ語の2カ国表記で、フードメニューにはベジタリアン、ビーガンのマークも付けられています。同店は、昨年2018年10月に2店舗目をベルリン市内にオープンし、順風満帆といったところ。気負うことなく、毎日の暮らしを通して持続可能な社会へ向けて歩んでいます。

Isla Coffee Berlin
https://www.facebook.com/Islacoffeeberlin

このライターの記事

Top