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日本のパッケージ2025

日本の3大パッケージ展が出揃い、2025年を代表するパッケージが決まりました。今回はこの中から代表的なものをご紹介します。最初の(一社)日本印刷産業連合会のジャパンパッケージコンペティションは、パッケージの機能・デザインおよびマーケティング的な成果を反映しています。

(一社)日本印刷産業連合会主催「ジャパンパッケージコンペティション」

経済産業大臣賞1部門:日清食品株式会社カップヌードル「カプヌのエモい出」

(一社)日本印刷産業連合会主催のジャパンパッケージコンペティションの最高賞である経済産業大臣賞には、お馴染みの日清カップヌードルのパッケージが選ばれました。50年以上にわたって愛され続けているインスタントラーメンNo.1ブランドの歴史を、利用者の思い出から厳選し、100種類の"エモい出"をデザインしたパッケージです。何も言わなくても売れている商品にインパクトを与える、誕生53年目の顧客体験を取り入れた巧みな共感マーケティングといえます。

経済産業大臣賞2部門:味の素株式会社CookDo® 「熟成豆板醤/コチュジャン/担々醤/甜面醤」

TOPPAN株式会社の環境配慮パッケージ「チューブなパウチ®」を、味の素株式会社が「CookDo®」ブランドに採用しています。使われているチューブは触っただけで薄さと柔らかさを実感できる新素材が採用され、最後まで中身を絞り出しやすく、裏面の一部を透明にして残量が一目で分かるような工夫がされています。デザインはキャッチコピーの「無限に使える」から着想を得て「∞」の記号をモチーフにし、店頭でも印象的なデザインです。

チューブなパウチ®は、一般的なラミネートフィルム製パウチに用いられる層構成のフィルムを筒状に加工し、先端にプラスチック成型品の抽出口を取り付けた容器です。従来のラミネートチューブ容器よりも胴体フィルムの厚みが薄く、抽出口のパーツを独自開発の形状にすることで内容物を軽い力で絞りやすくなっているため、高齢者や子どもでも最後まで使い切りやすい構造となっています。胴体フィルムと抽出口にバリア機能を付与、容器全体のバリア性能がアップし、内容物の鮮度を保持しています。

本パッケージは、味の素の従来のチューブ容器製品と比較して、プラスチック使用量を約50%削減しました。また、従来チューブ容器から大幅に薄肉化したことで、絞りやすさの向上を実現し、環境への配慮と使いやすさの両立に成功しました。

日本パッケージデザイン協会主催「日本パッケージデザイン大賞」

日本パッケージデザイン協会主催の日本パッケージデザイン大賞は2年に一度、主にデザインと構造的な視点から優秀なパッケージを表彰しています。

日本パッケージデザイン大賞:ポーラ「コスモロジー」

地球規模で激変する気象や、多忙を極める現代のライフスタイル環境の中で、今求められるスキンケアは何か?宇宙からヒントを得て生み出されたのがポーラの「コスモロジー」です。心と体にかかる負荷でいえば、宇宙こそ極限の環境です。その中で着目したのは、肌のバリア機能「タイトジャンクション」の低下によって乾燥肌が引き起こされることでした。
宇宙発想のスキンケア、「コスモロジー」は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)採用の保湿スキンケアで、どこにいてもみずみずしいツヤ肌を保持します。その特長は、「ウォータリークレンジング処方」と「三次元立体構造処方」で、心地よさはもちろん、使いやすさも考え、日々のスキンケアをたった2ステップに凝縮した商品です。

金賞一般飲料部門:6D-K「UMAMI COLA」

「美味しさ」×「漢方の知恵」をかけ合わせたクラフトコーラとして、沖縄県産のシークヮーサーを使用したエナジードリンクです。これは350種類以上の天然素材から生まれた、世界初の無添加ナチュラルエナジードリンクで、2021年のomotenashi selectionを受賞しています。パッケージデザインは、これらの成分を主張しつつも、現代的な感性に落とし込むことを目指しています。キーカラーのピンクは「UMAMI COLA」の複雑で独特な液色を表現し、上下反対に印刷されたデザインは、沈澱している成分を飲む際に逆さまにするという機能性から生まれています。

(公社)日本包装技術協会主催「日本パッケージコンテスト」

Japan star賞 経済産業大臣賞:資生堂「イプサME」

世界規模のパッケージ表彰制度WPCの日本予選でもあり、技術面を含めて総合的な観点から選定が行われます。2025年は最高賞のJapan star賞経済産業大臣賞に資生堂のスキンケアアイテム「イプサME」が選ばれました。「ボトル製造」と「中味液充填」をワンステップで実現することで環境負荷を軽減する「LiquiForm®(リキフォーム)」技術をディスペンサーポンプ型容器のボトルに採用した点などが評価されました。

Japan star賞 経済産業省 脱炭素成長型経済構造移行推進審議官賞:
「易剥離接着剤を使用したリサイクル性を向上させたつめかえパウチの開発」

易剥離接着剤を活用したリサイクル性を向上させたつめかえパウチの開発で、ライオンと東洋インキが受賞しています。ライオンは、資源循環型社会の実現を目指し、主要な包材であるつめかえパウチの使用済み製品の回収後に、積層フィルムを簡便に剥離する易剥離接着剤を東洋インキと協力開発しました。これにより、リサイクル性を向上させたつめかえパウチの実用化を目指しています。

2025年の日本のパッケージはサステナブルな素材や環境配慮型のパッケージがメインストーリーとなり、「ミニマル」「レトロフューチャー」デザインや大胆な文字使いやホライゾングリーンなどの色使いでブランドの個性が発揮されています。

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