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スペイン人にも大人気の「サコ・テルミコ」って、何?

例年よりも低い気温の中で2026年の年明けを迎えたスペイン。寒い日が続くと体調を崩す人が増えるであろうことは、想像に難くないでしょう。風邪をひく人が増えるのももちろんですが、日本同様に高齢化社会が進むスペインでは、寒くなることで膝や肩、腰の痛みに苦しむ人は意外と多いのです。

スペインでは、日本のようなホッカイロ的なものを見つけるのは、ほぼ不可能です。しかし、15年ほど前から、スペイン人の冬の生活を変える商品が販売されるようになりました。それが「サコ・テルミコ(saco térmico)」なのです。

サコ・テルミコのパッケージと本体

サコ・テルミコの説明書

説明書は数か国語で記載されている。

「サコ・テルミコ」って何?

「サコ・テルミコ」とは、木綿の布の中に、何らかの天然の穀物などが入っている小さな枕のようなものです。電子レンジで3分ほど温めると、1時間くらいはそのままホカホカの状態で体を温めることができます。日本だと、あずきを中に入れたものがドラッグストアで売っていたりしますが、そうしたものとほぼ同じものと考えてもよいでしょう。

この「サコ・テルミコ」がスペインで現れ始めたのは、約15年前くらいから。最初はエルボラリオ(Herbolario)と呼ばれるような自然食品店などの片隅に売られていたのですが、今ではちょっとおしゃれな雑貨店などで平積みになって販売されるようになりました。また、スペイン有数の全国紙El Paísで数種類の「サコ・テルミコ」が商品企画されたりするなど、今ではスペインの各地で目にすることも多くなっています。
(参考:https://elpais.com/escaparate/comparativas/2026-01-24/mejor-saco-termico-semillas.html)

この「サコ・テルミコ」、最も多い形は縦20センチ×横50センチくらいの長方形の枕型なのですが、その一方で人の首回りを温めることに特化したU字型や手を温めるのに適したミトン型もあり、その形状は様々です。

「サコ・テルミコ」の衣類ラベル

コットンで作られたものが多い。

「サコ・テルミコ」の中身は?

そして気になるのが、スペインの「サコ・テルミコ」の中には何が入っているのか、ということではないでしょうか。スペインで販売されている大半の「サコ・テルミコ」には、何らかの穀物の種が入っています。雑穀のキビや小麦が使われることが多いようです。ちなみに、この穀物を使った「サコ・テルミコ」の保温力はかなり高く、一度電子レンジで温めると、ぬくもりは2時間近く持続します。

また、スペインで見る「サコ・テルミコ」の中身には、サクランボの種を使っていることも多いです。というのも、スペインはサクランボの生産国で、2022年には96,900トンのサクランボを生産しています。このサクランボの種を使った「サコ・テルミコ」も保温力は高く、とても人気があります。

そして、意外なものとして、中身が水で満たされた「サコ・テルミコ」もあります。この場合、この袋にはコンセントが付いており、コンセントをつなげると電気で「サコ・テルミコ」の中の水が沸騰し、温かくなるという仕組みです。とはいえ、このタイプの「サコ・テルミコ」は、電化製品売り場で見かけることが多いのですが、万が一破裂した場合のことを考えると、ベッドの上で使うには少し勇気がいるかもしれません。

サクランボの種が入った「サコ・テルミコ」

こちらの「サコ・テルミコ」の中身はサクランボの種、保温力も十分。

手作りの「サコ・テルミコ」は注意が必要

スペインでお祭りなどがあると、その片隅で「手作り市」のようなイベントが開催されていることがあります。そうした場所で手作りの「サコ・テルミコ」が販売されていることも、珍しくありません。材料が木綿の布と何らかの穀物なので、ちょっと手芸の心得がある人なら簡単に制作できることが人気となっています。

しかし、こうした手作りの「サコ・テルミコ」の場合、商品によっては、保温材として使われている穀物の殺菌が十分でない時があるため、「サコ・テルミコ」の中に虫がいる可能性もあります。こうした虫に刺されると、かなり皮膚がかゆくなるので、注意が必要です。

そうした意味では、大きめの雑貨屋さんで平積みになっている「サコ・テルミコ」を買う方が、衛生面でも安心できるでしょう。

マッサージ師も使う「サコ・テルミコ」

基本的に、こうした「サコ・テルミコ」は個人使用で、普通の家庭で使われていることがほとんどです。しかし、例えば、スペインでフィシオ(fisio)と呼ばれる場所でマッサージ治療を受ける時に、「サコ・テルミコ」を使い、体を温めてから治療する場合があります。その時に使用する「サコ・テルミコ」は手作りのものではなく、マッサージ治療用に作られた専門のものです。
「サコ・テルミコ」を活用し、体を温めてからマッサージをした方が施術の効果は高くなることは、東洋医学がメジャーとは言えないスペインでも、当然のこととして受け入れられているようです。

スペイン人が感動するほどの効果をもたらすことも

前述のように、スペインでは東洋医学は決してメジャーな存在ではありません。しかし、「サコ・テルミコ」の普及により、「体を温めると、痛めた腰・膝・肩が楽になる」という経験をした人が増えています。

私自身、冬になると毎年背中の痛みに苦しんでいた知り合いに、「サコ・テルミコ」をプレゼントしたところ、「痛みが消えて、久しぶりによく眠れた」と感激してお礼を言われたことがあります。それだけでなく、最近は「どこで買えるのかなぁ、あの温かい枕」と聞かれることも増えました。
ちなみに、入院している人のプレゼントに「サコ・テルミコ」を送ると、かなり喜ばれます。背中が温かいとリラックスしやすいようです。

この冬(2025~2026)、例年と比べても、スペインでは非常に寒い日が続きました。そんな寒いスペインを温めていたのは、ストーブやエアコン、そして「サコ・テルミコ」といったあったかグッズだったのです。

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