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パッケージ再設計2025

2025年も多くのブランドでパッケージの再設計が実施されました。
今回は代表的なものをピックアップします。

リプトン、グローバルアイデンティティの統合

紅茶の「リプトン」は2014年以来のブランドの再設計を行いました。再設計の目的は世界ブランドの統合と、イングリッシュ・ブレックファストとアールグレイの投入です。今回「リプトン」のパッケージは、ティーバッグのタグに至るまで刷新されました。ビジュアルアイデンティティを再構築することで、コモディティ化が進む紅茶分野でのアイデンティティの確立を図りました。カテゴリーや地域によってブランドプレゼンスが分散していたのを修正し、時代にマッチしたビジュアルアイデンティティの再構築を目指しました。

リニューアルデザインはポジティブさと心地よさを基本に、ロゴの横に2枚の緑の葉をあしらった"自然志向"も組み込みました。「リプトン」の定番である赤いカルトゥーシュ(古代エジプトで王や神の名前を囲んだ枠)を囲む黄色の輝きは、温かさと、楽観的な雰囲気を醸し出しています。ブランドの歴史に基づき、カルトゥーシュには創業年である1890年の年号を記し、大文字で書かれたオリジナルのリプトンロゴを復活させています。135年の歴史の中で、この紅茶ブランドのロゴは6回変更されています。

新しいビジュアルアイデンティティの一環として、ブランドの最も小さなタッチポイントであるティータグには、赤い背景に白いLの文字が描かれ、新たなブランド資産となりました。

縦陳列への対応

また「リプトン」は、パッケージの一部を再設計し、横方向だけでなく、縦方向のマーチャンダイジングや陳列を可能にするサイドパネルを追加しました。
「リプトン」のようなグローバルブランドにとって、パッケージは多様な市場、売り場、マーチャンダイジングスタイルに対応できるものでなければなりません。新しいデザインは縦横どちらの向きでも機能するようにデザインされました。棚スペースの逼迫、陳列の制約、そして店舗レイアウトや陳列手法の多様化により、最近では縦置き陳列が普及しつつあります。縦置き陳列は、商品を認識しやすく、一貫性を持ち、購入しやすい状態を保ちます。

また、FDAが「healthy」の定義を更新したことを受け、パッケージに「健康的」といった表示を加える可能性もあります。FDAの最終規則では、一定の基準を満たす食品・飲料に対して、この表示を任意で使用できるようになりました。

レイズの再設計、本物志向の実現

世界で最も愛されているポテトチップス「レイズ」は、世界市場に展開する新しいビジュアルアイデンティティとパッケージを再設計しました。調査によれば、消費者の約42%が、「レイズ」のポテトチップスが本物のジャガイモで作られていることを認識していませんでした。この課題を解決するため、新しいデザイン変更は、ロゴ、パッケージ、写真、カラーパレットに至るまで、農場で栽培されたジャガイモと高品質の原材料に焦点を当てています。レイズのロゴから発せられる光線(レイズ)は、新しいビジュアルアイデンティティにおいて、高品質の材料を生み出す太陽を表しています。

また、「レイズ」のシグネチャーであるサニーイエローに加えて、セイボリーレッド、ヒッコリーブラウン、ピクルスグリーンなど、「レイズ」のレシピの材料からイメージカラーを取り込んでいます。このブランド再構築は、レイズが高品質な原材料と持続可能な農業に注力する姿勢を基本としています。北米の100以上の農家と協力し、25カ国以上のジャガイモ生産者を支援することで、「レイズ」の象徴的なブランドプレゼンスを統一するとともに、地域市場への適合性を高め、本物のジャガイモと本物の人々の物語を中核に置いています。

タイソンフーズ、全製品のパッケージを再設計

世界最大級の食肉加工企業「タイソンフーズ」も、2009年以来となる全製品のパッケージの再設計を行いました。新しいパッケージグラフィックは、タイソンブランドをより鮮やかで現代的な印象にし、パッケージ上のメッセージもシンプルに訴求する形に刷新しました。そして、パッケージ上の商品イメージを目立たせ、製品の品質向上を訴求しています。

タイソンブランドの認知度は、食品・飲料業界において常にトップクラスを維持しており、長年にわたり革新と進化を続けてきた中で、2009年のパッケージリニューアル以降、ポートフォリオ全体のマスターブランドデザインを見直しています。

健康志向のコーヒー「Bulletproof」が新たな装いと進化したミッションで再登場

「Bulletproof」は、コーヒーに無塩のグラスフェッドバターとMCTオイルを混ぜた飲み物で、「完全無欠コーヒー」とも呼ばれています。グラスフェッドバターは牧草だけを食べて育った牛のミルクから作られたバターで、カロテンや不飽和脂肪酸を含んでいます。MCTオイルはココナッツやパームフルーツなどに含まれる中鎖脂肪酸を100%集めた食用油で、一般的な植物油の脂肪酸(長鎖脂肪酸)と比べて分子が短いです。そのため、MCTオイルは中鎖脂肪酸を含む油として知られ、機能性を意識する層から注目されています。

再設計されたパッケージデザインは、すっきりとしたビジュアル、直感的な利点の訴求、そして高級感を特長としています。新しいビジュアルアイデンティティは、「Bulletproof」の特徴的なResilient Orangeカラーを強調しています。

クリーンなコーヒーとパフォーマンス重視の栄養を訴求してきた「Bulletproof」は、大胆なリブランディングを発表しました。ウェルネスをシンプルかつ美味しく、そして身近なものにすることに焦点を当てた、現代的なコーヒーカンパニーへと進化した「Bulletproof」の歩みを反映しています。このリブランディングは、「Bulletproof」をバランス、透明感、そして目的意識に根ざしたプレミアムコーヒーブランドとして訴求しています。

2011年の創業以来、「Bulletproof」は、断食実践者やパフォーマンス志向のバイオハッカーの間で絶大な人気を博しています。また、シリコンバレーで提唱された「シリコンバレー式 自分を変える最強の食事」で紹介され、世界的に広まりました。さらに過去10年間で、このブランドはより幅広い顧客層へと広がり、機能性だけでなく、優れた味わいやクリーンな原料、そして日々のルーティンにおけるバランス感覚を求める消費者の飲料として成長しています。

ブランドの独立化を目指した再設計

「ブッチャーズ」のボーンブロスのパッケージデザインは、ブランド刷新と全国展開の一環として、新旧の要素を融合させました。「ブッチャーズ」は、熟練肉屋が手掛ける高品質なオーガニックボーンブロスやロティサリーチキンなどを提供する米・カリフォルニア発のブランドです。

「ブッチャーズ」は冷蔵販売されており、24オンス(約710ml)のペットボトルで販売されています。これは、常温保存可能なアセプティックカートンで販売されている競合ブランドとの差別化を図るものです。ロリ・ロティはリニューアルにおいて、特徴的な高密度ポリエチレン(HDPE)製のボトル、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のシュリンクラベル、スクリューキャップをそのままに、新しいグラフィックを採用しました。

以前のパッケージ前面には、ロリ・ロティのワードマークとアイコン、そして「ブッチャーズ」のロゴが含まれていましたが、新しいラベルは「ブッチャーズ」のロゴを残し、その上に小さくロリ・ロティのアイコンが印刷されています。新しいデザインにより、「ブッチャーズ」はロリ・ロティのサブブランドではなく、独立したブランドとして位置付けられました。

新パッケージデザインで楽しさを訴求

「森永アメリカフーズ」は、製品ポートフォリオの刷新の一環として、フルーツ感を打ち出した「ハイチュー」の色鮮やかなパッケージデザインを新たに投入しました。このブランドマスコットであるチュービーを含む新パッケージは、店頭訴求の強化とZ世代とミレニアル世代へのアピール強化を狙っています。

リサイクル促進のためのデザインリニューアル

「ビヨンド・ミート」は、ヨーロッパで販売する全製品のパッケージをリニューアルしました。リニューアルされたビヨンドバーガーの「ビヨンド・ミートボール」、「ビヨンド・ミンス」、「ビヨンド・バーガー・スマッシュスタイル」は、イギリスで発売されています。

再設計されたトレイは、35%が再生プラスチックで作られており、リサイクル可能です。新しいパッケージは、以前のデザインよりラベルに使用する材料が少なく、再生素材の割合が増加しています。「ビヨンド・ミート」は、棚での訴求力を高めることを目指しています。新たに採用されたグリーンカラーは、植物由来原料への同社のこだわりを反映することを目指しており、パッケージでは製品写真が中心に据えられ、ブランドの「味と品質」を強調しています。

新しいパッケージデザインにより、ブランドの存在感の強化、そして欧州全域の消費者と小売店への商品棚での魅力の向上を実現しました。今回の再設計により、棚での訴求拡大、使用材料の使用量削減、ブランドの核であるおいしさのアピール、そしてリサイクル性の向上を狙っています。

顧客イメージとのミスマッチ

残念ながら再設計には失敗もあります。よく知られている失敗例としては、「Bud Light」が2023年に行ったプロモーション施策への反発があります。トランスジェンダーのインフルエンサーとのコラボレーションをきっかけに、主要顧客層とのズレが表面化し、大きな売上低下を招きました。また、最近では、シュリンクフレーションの疑いを指摘された「トロピカーナ」のボトル変更などが挙げられます。

クラッカーバレルの失敗

テネシー州レバノンに本社を置く「クラッカーバレル」は、2025年8月下旬に新しいロゴ、パッケージデザイン、レストランの内装を発表しましたが、1週間後、消費者、投資家、政治家などからの反発を受け、急遽新しいロゴを撤回し、1977年にデザインされたロゴを復活させました。

この方針転換により、ブランド更新費用7億ドルが無駄になり、同社の時価総額も新ロゴが発表された直後、推定1億ドル下落しました。しかし、同社が方針を転換し、旧ロゴに戻すと、株価は回復し始めました。

再設計されたロゴは、ダークブラウンのシンプルなワードマークで、樽の隣に座る「アンクル・ハーシェル」が描かれていないという特徴がありました。新しいロゴが発表されて間もなく、トランプ大統領やインスタグラマー、ユーチューバーなどのソーシャルメディアのユーザーがロゴの再デザインについて意見を述べました。多くのコメント投稿者がこの変更を話題として取り上げ、同社の対応を非難しました。さらに、「クラッカーバレル」の多くのファンは、ブランドの古き良き南部カントリーのアイデンティティがロゴから削除されたことに失望を表明しました。ブランドは現代化を図るあまり、コアな顧客層の感情に訴える要素そのものを削ぎ落としてしまったのです。

「クラッカーバレル」のファンは、年齢が高く地方に住む消費者や旅行者が多いので、ブランド刷新は、若く都会的で、デジタルネイティブな顧客を引き付けることを目指していると受け止められました。新しいアイデンティティはクリーンでミニマルになり、ロゴマークはシンボリックで、優れたデザインですが、戦略的な根拠なしにデザインを変更されたという指摘もあります。

リニューアル前のパッケージデザインは、白地に商品名とシンプルな商品写真が描かれていました。新しいパッケージデザインでは、商品名と説明にはコントラストの高いタイポグラフィを使用し、商品写真も豊富に配置しています。以前のパッケージは完璧ではなかったものの、古風なデザイン要素で浸透していました。しかし、新しいパッケージはその感覚を完全に捨て去り、1870年代のアメリカ文化を想起させるものではなく、むしろ1970年代の一般的なスーパーマーケットブランドのような印象を与えています。

二極化が進み、急速に変化する世界において、ブランドは時代の変化に適応していくために進化しなければなりませんが、その進化は戦略と信頼性に根ざしたものでなければなりません。パッケージは単なる容器ではありません。ブランドとの最も基本的なタッチポイントであり、感情に訴えかけ、ブランドストーリーを強化する必要があります。変化を恐れるべきではありませんが、変化によってブランド本来の本質を消し去るのではなく、強化することが大切です。

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