ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

食べられるパッケージ「ウィキセル」とは?アメリカで生まれた未来の食品は、ゴミの削減に繋がるのか

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。今回は、自然由来の食べられるパッケージ「ウィキセル(WikiCell)」に包まれたフルーツピュレやヨーグルト、アイスなどをご紹介します。

食べられるセル型パッケージ

Photo:植物性ヨーグルトとフルーツピューレをセルに閉じ込めた「ヨーベリーズ」

「ウィキセル(WikiCell)」は、ハーバード大学のデイビッド・エドワーズ教授が、ゴミの削減のために発明した食べられるパッケージ。ペクチン、アルギン酸、キトサンといった、野菜や果物に含まれる食物繊維で作られたぶどうの皮のような膜は、ピューレやヨーグルトから液体まで多種多様な食材を閉じ込めることができます。

様々な発明を行ってきたエドワーズ教授の「ウィキセル」は、自身が共同創業者であるマサチューセッツ州の会社「インクレディブル・フーズ(Incredible Foods)」で商品化され、アメリカでは「パーフェクトリーフリー(perfectlyfree)」ブランドとして販売されています。

Photo:キャラメルソルトの層でバニラアイスを閉じ込めた「フローズン・バイツ」

現在購入可能な商品のラインナップとして、野菜や果物のピューレを閉じ込めた「ベジタブル・バイツ(Vegetable Bits)」と「フルーツ・バイツ(Fruit Bites)」、植物性ヨーグルトとフルーツピューレを閉じ込めた「ヨーベリーズ(YO-BERRIES™)」、植物性アイスクリームを閉じ込めた「フローズン・バイツ(Frozen Bites)」があります。

どれも乳製品、ナッツ、卵、大豆などをはじめとする8つの主要アレルゲン、遺伝子組み換え原料、人工甘味料、保存料、着色料などを含まない自然派の植物性の商品です。また、低糖・低カロリーで食物繊維を含むヘルシーな商品です。

ニューヨークやボストン、ワシントンDCなどでは小売店でも販売しているようですが、ポートランドの店舗ではまだ扱われていないので、オンラインで注文しました。早速、順に見ていきましょう。

野菜と果物のピューレを閉じ込めたバイツ

Photo:ベジタブルバイツのパッケージ

今回購入したのは、「ビーツ&ベリー」「人参&マンゴー」「ケール&パイナップル」「さつまいも&洋梨」という4種類のベジタブルバイツ。どれもメインの食材は野菜で、砂糖や甘味料は使われていません。保冷剤入りのダンボールで届き、冷蔵保存が推奨されていますが、数時間であれば常温で外においても問題ないそうです。学校や職場へも携帯できるオンザゴースナックとしても活用できます。

Photo:ケール&パイナップルのベジタブルバイツ

パッケージには小さな透明の小袋が5つ入っており、その中にブルーベリーほどの大きさのボールが7つずつ入っています。それぞれの野菜の色をしており、柔らかく弾力があります。

試食してみると、どれも野菜やフルーツをミキサーにかけたスムージーのような、自然な味わいです。野菜の味もしっかり感じられるので、好みは分かれるかもしれません。けれども、食べず嫌いの子供でもボール状であれば楽しくトライできると思います。爪楊枝なども簡単に刺さり、カラフルで可愛いのでキャラ弁などにも使えそうです。

ヨーグルトとフルーツを閉じ込めたYO-BERRIES

Photo:植物性ヨーグルトと桃のピューレ入りYO-BERRIES

続いて、ココナッツクリームがベースの植物性ヨーグルトとフルーツピューレを閉じ込めた「ヨーベリーズ(YO-BERRIES)」です。フレーバーは、いちご、ブルーベリー、バナナ、ピーチの4種類。こちらはプラスチックのタッパーに、ベジタブルバイツ同様の透明の小袋が5つ入っていて、中にはそれぞれ7つのボールが入っています。砂糖は5gと少なく、天然由来のプロバイオティクスやビタミンを摂ることもできます。

また、スナックとして定番人気のヨーグルトを、スプーンを使うのではなく手でつまんで食べられるという不思議なスナックです。見た目もカラフルで可愛く、どれも甘くて美味しいので、子供たちにも喜ばれそうですね。

口の中で溶け出すフローズンバイツ

Photo:ヘルシーなフローズンデザート「フローズンバイツ」

最後は、植物性のアイスクリームを植物性のコーティングで閉じ込めたフローズンデザート「フローズンバイツ」です。フレイバーは、ミントチョコ、ソルトキャラメルバニラ、ココアバニラ、ラズベリーチョコレート、カフェラテ、キーライムパイの6種類。どれもたった30カロリーのビーガン食であることが売りです。

Photo:トレイに4つのボール状デザートが並んでいる

こちらは、ドライアイス入りの上記2つとは別の箱で届きました。四角いの紙の箱に、4つのボールが乗ったトレイが2段入っています。ボールのサイズはフルーツバイトより大きく、ピンポン球程度です。トレイの底から押し出して食べることになります。

Photo:半分に切ると、ラズベリーの中にチョコアイスが包まれている

ソルトキャラメルバニラと、ラズベリーチョコレートを試しました。どちらも、アイスクリームをソルトキャラメルやラズベリーといったフレイバーでコーティングした2層構造になっています。外側の層はプルンと滑らかでしっかりとした味を感じられます。中のアイスは口の中でとろけクリーミー。デザートとしてかなり満足感が得られました。

外側にコーティングがあるので、スプーンがなくても手で美味しくアイスクリームを食べることができます。

食品廃棄物ゼロに向けて、これからの貢献に期待

Photo:カラフルなベジタブルバイツとヨーベリー

紹介したものだけでなく、チーズ、ジュース、スープなど様々な食品を閉じ込めて食べられるパッケージ。オンザゴー(持ち運びできる食品)で、栄養補給が可能な未来的食品です。

現状は、どの商品もシングルサーブ分が個別包装になっているため、リサイクルマテリアルを使用しているとはいえ、残念ながらそれほどゴミの削減に貢献しているとは思えません。けれども今後、このセルに入った食物の形態が浸透すれば、消費者が持参した容器に欲しい量だけ入れて購入する、廃棄物ゼロのバルク売りなどにも応用できるのではないでしょうか。

David Edwards:http://www.davidideas.com/details/wikicells
Incredible Foods:http://www.incrediblefoods.com/
perfectlyfree:https://www.perfectlyfree.com/

▼パケトラおすすめの関連記事

ヘルシー、環境にやさしい、アレルギーでも大丈夫。ポートランド発「ひよこ豆アイスクリーム」を知っていますか?

アメリカで人気!フレッシュなアーモンドミルクを作れるマシーン「NuMilk」

このライターの記事

Top