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若者の心を掴むマーケティングと、今だからこそできる社会貢献。深セン発「ヘイティー」がシンガポールで躍進

今回は、たまたま通りがかりでみつけた長蛇の先に見えた、おしゃれな大人気店についてフォーカスしていきたいと思います。

中国・深圳(シンセン)にヘッドクォーターを構える「HEYTEA(喜茶 / ヘイ・ティー)」が、2018年末よりシンガポールのランドマークに次々と出店しており、2020年3月現在も、大勢の人で賑わっています。

Photo:長蛇の列@オーチャード店

2018年11月、1号店がシンガポールのショッピングの中心地「オーチャード」にオープンしました。その3ヶ月後、2019年2月には、若者や観光客でにぎわう「クラークキー」に出店。同年9月には3店舗目「ウェストゲイトウェイ」、さらに12月には、マリーナベイサンズ内に4店舗目をオープン、と飛ぶ鳥を落とす勢いです。

HEYTEA(ヘイティー)はどんなお店?

ヘイティーは「チーズティー」を開発しました。昔からあるクリームがトッピングされているお茶とは一線を画し、ハイクオリティーな茶葉を使用することで、トラディショナルなティーカルチャーを再創造すると掲げています。

公式サイトによると、「塩とチーズのコンビネーションティー」がヘイティーのオリジナルレシピとなっており、カスタマーから高く評価されているオリジナルのチーズティーシリーズは、ニュージーランド産チーズと厳選されたお茶で作られているそうです。

「エクスペリエンス」の提供

高品質なお茶をカスタマーに提供することに加え、さらなるお茶の可能性を探求し続けています。お茶を飲むという行動を「スタイル」あるいは「生き方のひとつ」と捉え、商品開発から店舗デザインにいたるまで、カスタマーエクスペリエンス(顧客の体験)に重点を置いています。

Photo:店舗デザインには伝統的な「お茶を飲む」というカルチャーと「禅」、「ミニマリズム」、そして「美学」が融合されています。

Photo:商品のリッチな触感と品質で、カスタマーを様々な方向から定義されたエクスペリエンス(=体験)へと誘います。

パッケージへのこだわり(デザイン性と環境への配慮)

ヘイティーは、たくさんの独立した作家と協力し「お茶を飲むこと」の面白さを表現しました。ブランドコンセプトに準じたオリジナルシリーズのイラストを作り、パッケージはクールでシンプルなスタイルになるようにこだわっています。

Photo:「リサイクル可能」

Photo:カップは「リサイクル可能資源」でエコフレンドリーさをアピールし、ストローはプラスチック製ではなく紙製を使用。

素材へのこだわり

お茶用の砂糖にはナチュラルなロックシュガーを、チーズフォーム部分にはニュージーランド産のチーズをつかうなど、高品質の材料にこだわっています。

また、フルーツティーにおいては100%ナチュラルなフルーツジュースを使用しており、人口香料やシロップは無添加となっていることも、シンガポールに数あるタピオカティーショップとの違いを全面的に打ち出している点と言えそうです。

競合であるシンガポールのタピオカティー市場では、7割以上が2~3.9ドル間の価格で商品を提供している中で、私が試してみたものは7.8ドル(2020年3月時点)でした。ヘイティーの価格設定は、他店と比べると少し高めと言えます。

また、カスタマーは旅行者ではなく20代を中心としたローカルの若者が中心でした。ここからブランディングが成功し、地域に根付いたと言えそうです。

Photo:シンガポールではおなじみ「カヤ(ココナッツ)シェイク」に似た味で、ホイップクリームとココナツップスがトッピングされています。このようにローカライズされた商品を試すのも楽しみの一つ。

新型コロナウイルスと戦う医師へ、200杯分のドリンクを差し入れ

新型コロナウィルスによる混乱が続く中、シンガポールでは国が制作したCMが流れたりと「この時を一致団結して乗り越えて行こう」という風潮が色濃く出ています。ヘイティーでも社会貢献のひとつとして病院への差し入れが行われ、インスタグラムの投稿では注目を集めました。

Photo:公式Instagramより

Photo:公式Instagramより

こちらの投稿は普段の5倍近い「いいね」が付き、多くの人の関心・共感を集めました。

『最前線のヒーローたちへLove&Careを。シンガポールの国立病院で最前線に立ち、働いている医療スタッフのみなさんに200杯分のドリンクを届けました。彼らのタフな一日をささえるのに役立つことを願っています。医療スタッフのみなさん、献身的なサポートを続けてくれてありがとうございます』

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