アメリカと隣り合う国カナダでは、アメリカの企業の進出も多く、スーパーマーケットをはじめ、街中でもアメリカ発の企業のレストランや商品を数多く見かけます。そんな中、カナダ産の商品を数多く取り扱う「Fresh St.Market」というスーパーマーケットが他のスーパーマーケットとは違う独自路線でバンクーバーを中心に着実に店舗を増やしています。今回はそんな「Fresh St.Market」の他のスーパーマーケットとは違う特徴について紹介していきます。
「Fresh St.Market」とは
「Fresh St.Market」はカナダのバンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州が所有、運営する会社で、地元産で新鮮な食品が多く並ぶスーパーマーケットです。「Fresh, Local, Canadian(新鮮、地元産、カナダ産)」を理念に掲げ、バンクーバーの中心地をはじめ、ブリティッシュコロンビア州内に現在8店舗を展開しています。
2013年にウエストバンクーバーに最初の店舗をオープンしました。2024年には、バンクーバーで人気の住宅エリアでもあるノースバンクーバーに新店舗をオープンし、2025年の夏にはバンクーバーのオシャレタウンでもあるキツラノにも店舗をオープン予定で、今後さらに店舗を拡大していく予定です。
地元産、オーガニック、SDGsに配慮した商品が並ぶ生鮮品コーナー
生鮮食品売り場は綺麗に整頓されており、野菜は棚に並べられた後、鮮度を保つために丁寧に氷がかけられています。オーガニックの製品も多く、値札や包装の袋に「Organic」とわかりやすく書かれています。また、地元ブリティッシュコロンビア州産も売りにしており、値札に「GROWN HERE IN BC(ここ、ブリティッシュコロンビア州で育った)」と書かれている他、ブリティッシュコロンビア州の旗の柄が描かれている場合もあります。
企業理念に掲げている通り、地元産の青果を品揃えすることでより新鮮な状態の商品がお店に並びます。
魚介類に関しても、細かい氷が敷かれたガラスケースの中に新鮮な魚介類が並べられており、その場でほしい分を店員さんに計量して包んでもらうスタイルです。また、値札の端には「OCEAN WISE」と書かれたマークもつけられています。
この「OCEAN WISE」とは世界の海洋の保護と修復を使命とする保全団体のことで、この「OCEAN WISEマーク」がついた商品は漁獲量が管理されており、持続可能な方法で獲られている、もしくは養殖されています。このマークをつけることで消費者が環境にやさしい商品を選びやすくしています。
カナダ産商品が目立つ加工食品コーナー
加工食品コーナーを回っていると、特に目立つのが棚に取り付けられたカナダ国旗。これは、その棚に並べられている商品がカナダ産ということを表しています。隣の国、アメリカの商品も多く輸入されているカナダですが、どちらも英語表記のため、パッと見ただけではどれがカナダ産かわかりません。そこでこの国旗を棚につけることにより、視覚的に判断してカナダ産の商品を選びやすくしているのです。
店舗全体を見渡しても、他のスーパーマーケットに比べてカナダ産商品の数が多く見受けられ、企業理念でもあるカナダ産商品の購入を推奨していることがわかります。
充実したパンやデリの数々
「Fresh St.Market」の目玉と言っても過言ではないのが、パンや惣菜、お弁当などの調理済み食品コーナーです。実はカナダのスーパーマーケットではあまり惣菜やお弁当などのいわゆる中食と言われる分類の商品が販売されていません。売っていたとしても、パーティ用の大きいサイズのピザやラザニアなどです。それに対し、「Fresh St.Market」ではパンや惣菜など中食の商品がとても充実しています。
パンは毎朝店舗で焼いた出来立てを販売しており、なんと小さなディナーロール1つからでも購入できます。ガラスケースに入っているパンを自分で好きな量袋に取り、最後に商品についている番号を袋に記入してレジへ持っていきます。ファミリーパックのような大袋の商品が多いカナダで、必要な分だけ購入できるのはとても便利です。パンの種類もバケットからディナーロール、ベーグルやチャバタ、ブリオッシュ、サワードウなど多国籍文化のカナダ特有の充実した品揃えです。
惣菜のコーナーも充実しており、量り売りのサラダ、ハムやサラミ、パイのコーナーをはじめ、カナダでは珍しい一人前に分けられたお弁当のコーナーもあります。お弁当のメニューは、インドカレーやパスタ、デリとお米の入ったものなどバラエティ豊かで、それ以外にもお寿司やサンドイッチ、サラダ、生野菜やチキンをトルティーヤで包んだラップと呼ばれる軽食など、とにかく他のスーパーマーケットとは比べものにならないほどたくさんの中食が販売されています。
惣菜コーナーの横には、ライブキッチンも併設されており、ハンバーガーやオムレツなど、注文したものを目の前の鉄板で調理して提供するサービスもあります。スーパーマーケットでありながら、レストランのように出来立ての料理を食べることもできます。
また、スープバーやカレーバーもあり、横に置かれているカップに好みのスープを入れ、重さで金額が決まります。スープは8oz(236ml)で3.99カナダドル、カレーは100gあたり2.39カナダドルで購入することができ、自分の好きな量を買うことができるのも嬉しいポイントです。
中食の選択肢が多く充実しているため、スープとサンドイッチや、サラダとカレーなど自由に組み合わせることができます。
カフェスペース
充実した惣菜コーナーの他に、店舗内にカフェも併設されており、本格的なエスプレッソマシンを使ったドリンクや、店舗内で作ったペストリーの数々を楽しむことができます。
このカフェでは、地元ブリティッシュコロンビア州のウィウラーで誕生した「FORECAST COFFEE」というカフェのコーヒー豆を使用しています。このブランドのコーヒー豆は、全てオーガニック認証を受けており、フェアトレードで調達したものです。地元産とオーガニックへのこだわりがここにも現れています。
また、カフェでは豊富な種類のドーナツも販売されています。実は、カナダはドーナツの消費量が世界一とも言われるドーナツ大国で、カナダを代表するカフェチェーン「Tim Hortons」をはじめ、「49th Parallel Café & Lucky's Doughnuts」など、カナダではコーヒーとドーナツをメインの商材として取り扱うカフェも多くあります。
そのため、「Fresh St.Market」でも、「PEAK DONUTS」という独自のドーナツブランドを立ち上げており、併設されるカフェで他にはない個性的なドーナツを販売しています。ペストリー同様に、ドーナツも店内で製造されており、店名の通りフレッシュな商品を提供しています。
まとめ
「Fresh St.Market」はスーパーマーケットとしての機能をメインとしながらも、レストラン、ファストフード、カフェの役割も果たすため、食へのアクセスが充実しており、この1店舗でさまざまな要望をもった顧客が満足できる仕組みができています。
また地元産や新鮮さを売りにすることで、他社との差別化を図り価格競争を回避し、地産地消やオーガニックを好む根強いファンを獲得しています。特に店内で作られるペストリーや惣菜の数々は、他の大手スーパーマーケットでは真似することのできない「Fresh St.Market」の強みにもなっています。
外資系のスーパーマーケットも多いカナダですが、政治的な観点から、カナダ国内ではアメリカ産商品を避け、カナダ産商品を積極的に購入する運動が広がっています。そのため、「Fresh St.Market」の運営方法はそれらの運動に合致しており、今後ますます人気になっていく可能性が高いと考えられます。
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