ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

西アフリカ発、健康効果の高い注目のドリンク「ハイビスブルーム」とは?

パケトラ読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。今回はコートジボワール共和国出身の女性が故郷の定番飲料をアレンジしたクラフトドリンク「Hibisbloom(ハイビスブルーム)」についてお届けします。

料理好きのイボリエンヌが開発

Photo:ハイビスブルーム創業者のAffouet Priceさん

「ハイビスブルーム」は、イボリエンヌ(コートジボワール出身の女性)、アフエ・プライス(Affouet Price)さんが手がけたハイビスカスを使った飲料ブランド。アフエさんは、留学のため2009年に23歳で単身渡米。ポートランド州立大学卒業後は同地域のハイテク企業に就職しました。

のちに結婚。家庭と仕事に加え、趣味の延長として大好きな料理を活かし、懐かしい故郷の味と文化をポートランドのコミュニティに伝えようと、インスタグラムやホームシェフプラットフォームを使い、レシピを公開したり、西アフリカの家庭料理の販売も手がけるようになりました。

アメリカでの生活も安定してきたように思われたのですが、不妊治療と難しい妊娠を機に事態は一変。2018年には仕事も辞めて家に引きこもり、精神的にもかなり不安定な状態になってしまいました。

心配した夫が、彼女の情熱の源であった料理を仕事にするよう提案。インスタグラムやホームシェフの再開に加え、妊娠7ヶ月の時には、各国料理の集まるイベント「Beaverton Night Market 」で故郷の軽食とドリンクを販売するブースを出店。「美味しい!」と大勢の人に喜ばれたことで、アフエさんは次第に元気を取り戻していきました。

そして2018年末、無事に赤ちゃんが生まれてからは、夫の強い勧めでフードビジネス起業家向けの集中講座(ブートキャンプ)に参加。起業の商品には、ホームシェフやマーケットで料理と一緒に出していた「ハイビスカスジュース」を選び、ビジネスコンセプトを構築しました。

2ヶ月間の講座を通して何度もプレゼンを行い、最終的にはコンセプトステージ企業のトップ6にも残りました。そして、2019年末には「Angel Food Conference」という200人以上の小売店の責任者や投資家が集まるイベントでの最終プレゼンに参加。結果、自然派グローサリーチェーン「マーケット・オブ・チョイス」が商品陳列を保証してくれることとなり、急激に販売に向けた準備を進めることとなりました。

バーガンディー色をしたコートジボワールの伝統飲料

Photo:西アフリカの伝統飲料「ビサップ」風飲料

「ハイビスブルーム」は、西アフリカでは「コカコーラみたいに浸透している」といわれる、自然乾燥させた有機ハイビスカスの花で淹れたお茶に砂糖を加え、冷たく冷やした「ビサップ(Bissap)」をベースにしたドリンクです。

故郷では、1年を通してアイスキャンディやフローズンドリンクとしてもビサップを楽しみ、家庭や街のレストラン、特別なイベントにおいてもビサップはいつも自分たちの側にあったと言います。「ハイビスブルーム」は、そのドリンクを元に考案された3つのフレイバーのオリジナルレシピです。

Photo:3つのフレイバーのハイビスブルームRTD(写真提供:Hibisbloom)

左は、ギニアからコートジボワール、リベリアの3カ国に跨る大河「カバリー川」の名前を冠したミントフレーバーの「Cavally Mint」。オレンジブロッサムやレモンジュースも加えてあります。

中央は、コートジボワールの西側、マンにある階段状の美しい滝、「La Cascade」の名前を冠した華やかなバニラフレーバーの「Cascade Vanilla」。

右は、乾燥した金色の草がシナモンを想起させるという乾性の草原の名前を冠した「Savanna Cinnamon」。シナモン、ジンジャー、クローブなどのスパイスが効いています。

「故郷を思い出させる」ネーミングの飲料は、16歳のいとこがパッケージのデザインを担当。夢を見るように目を閉じたアフエさんがロゴとして描かれています。

Photo:ヨーグルトにトッピングして。

全フレーバーは、それぞれそのまま飲めるもの(RTD)と濃縮版のミキサーがあります。氷やフルーツを入れたり、蒸留酒やワインと合わせてカクテルにしたり、炭酸水やレモネードに加えたり、ハチミツやシロップの代わりにスムージーやヨーグルトに入れたりと、様々な楽しみ方ができます。美しく鮮やかな色味も魅力です。

アメリカ市場に向けてアレンジした「本物」

Photo:シトラスの輪切りを浮かべて炭酸水と共に

ヘルシー志向の高まるアメリカでは、ビタミンC、鉄分、抗酸化物質の含有量が高く、美容や健康効果の高いハイビスカスは魅力的な食材です。けれども、アフエさん曰く、じつは生では自然発酵してしまい、煮出しても非常に酸味が強くてそれだけでは飲みづらい難しい食材です。そのため市場に登場してはいるものの、流行の非加熱(ロー)や無糖のジュースには適さないそうです。

Photo3つのフレーバーのハイビスブルーム濃縮ミキサー(写真提供:Hibisbloom)

とはいえ、たっぷりと白砂糖を入れたレシピでは「美味しいけれど飲まない」人が多く、ポートランドでは受け入れられにくいのも事実です。そこで彼女は、甘味料としてカロリーゼロのモンクフルーツを採用した上で、高品質の添加物ゼロ、ビーガン・グルテンフリーの純度の高いナチュラルブラウンシュガー(demerara sugar)をほんの少しだけ加えることにしました。

「甘さがなければ、ビサップは本物じゃないし、楽しみもなくなってしまう」としっかりとした甘みにこだわりながらも、バニラとミントが1サービング当たり25カロリー、シナモンが20カロリーと低カロリーを実現しました。

ライフスタイルドリンクに

Photo:フードイベント「Eat Oregon Now」のイベントブース

「ハイビスブルーム」は現在、アフエさんとコートジボワールから応援に駆けつけてくれた彼女のお母さんの2人で生産しています。今春からは、オンラインと複数のファーマーズマーケットに加え、「マーケット・オブ・チョイス」の10店舗で販売が開始されます。また、アイスキャンディーへのフレイバーの提供も予定されています。

Photo:いちごやオレンジ、氷を入れて、アウトドアで。

「コンブチャのようなライフスタイルドリンク」を夢見るアフエさん。インタビュー中も隣の女性2人組が興味を示すなど、手応えは上々。夢が実現する日もそれほど遠くないのかもしれません。

公式サイト:https://www.hibisbloom.com/
Instagram:https://www.instagram.com/hibisbloom/

▼パケトラおすすめの関連記事

コーヒー派のアメリカで「お茶」市場が成長。自由な発想でユニークな商品が生まれている

マレーシアの精進料理をビーガン食品にアレンジ。健康志向なアメリカ人の心を掴む

このライターの記事

Top