自宅で簡単にチーズが作れるキット!DIYの聖地、ポートランド生まれの「アーバン・チーズクラフト」
「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。今回は「DIYの聖地」と呼ばれるポートランドのチーズDIYキットブランドをご紹介します。
チーズを作る喜びを提供「アーバン・チーズクラフト」
「アーバン・チーズクラフト(Urban Cheesecraft)」は、2009年にクラウディア(Claudia Lucero)さんが起業したチーズのDIYブランドです。
NPOで働く傍ら、趣味でチーズを作ってみようと思い立ったクラウディアさん。DIYの盛んなポートランドにおいてさえ、昔は家庭で行われていたはずのチーズ作りが、道具もレシピも複雑で困難なことに驚きました。そして、自ら試していく中で、チーズ作りは実はシンプルなスキルなのに、量より質を重視する時代の流れの中で失われてしまった文化だと気付いたそうです。
都会で育ち、これまでチーズは工場で作られるものだと思い込んでいたクラウディアさんは、チーズを自らの手で、液体から魔法のように生み出せることにすっかり魅了されてしまいました。そして、この楽しみを現代の都会っ子にも広めたいという想いがブランド誕生のきっかけです。
1時間でチーズを完成できるキット
アーバン・チーズクラフトが提供する、牛乳やヤギ乳を使う伝統的なチーズキットは、モッツァレラ、ブラータ、マスカルポーネといったフレッシュなチーズを1時間以内に作れるというもの。ミルクを用意するだけですぐにフレッシュチーズ作りが始められるよう、必要なツールとわかりやすいレシピがセットになっています。
例えば、牛乳を使う伝統的なチーズキットの中で一番人気だという「モッツァレラ&リコッタチーズ・キット(Mozzarella & Ricotta Cheese Kit / $29.00)」は、レシピ、チーズクロス、温度計、レンネットタブレット、非GMOクエン酸、チーズソルト(8回分)が入っています。
牛乳1ガロンを準備して、早速子供たちとリコッタチーズ作りに挑戦してみました。レシピはステップごとになっていて、小学生の子供でも無理なく進んでいけます。
途中で十分なチーズができない、などという失敗をした場合も、どうすれば解決できるか、また次回に活かせるかを分かりやすく示してあります。完成したリコッタチーズは、ほんのり甘く、とても美味しいものでした。
また、チーズを作った残り、つまり副産物の乳清(Whey)の使い方もちゃんと書いてあります。この乳清は、高タンパク・低脂肪で栄養価が高いので、現在スープや卵焼き、パンケーキなどに入れて消費中です。
簡単で美味しい!驚きのビーガンチーズ
続いて、デイリーフリー・シェーブルチーズ(Dairy-Free Chèvre Mix / goat cheese style / $9.00)キットを試してみました。ビーガン、パレオフレンドリーでグルテンフリー、非GMOの商品です。
箱の中には、分かりやすいレシピとプレミックスパウダーが入っており、自身で好みのナッツや豆のベースとオイルを準備します。マカダミアナッツ、カシューナッツ、くるみなどを砕いてベースにできるそうですが、今回はアーモンドフラワーが家にあったので、こちらで試してみました。
「30分以内にデイリーフリーチーズができる」という言葉通り、作り方は簡単です。材料をミキサーにかけ、鍋に移して火にかけるだけ。液体はあっという間にチーズ状になります。これを型に入れて、お好みでハーブやスパイスを加え、15分ほど冷やせば完成です。
せっかくなので子供と一緒に、トリュフ、バジル&タンポポ、パプリカ、ローズマリーソルトと色々なフレイバーを試してみました。出来上がったチーズは、たしかにゴートチーズのような味と食感です!知らずに食べた夫はビーガンチーズだと気付かないほど。
中でも一番人気があったのは、トリュフとバジル&タンポポ。オリジナルにしっかり味が付いているので、ソルトはちょっと塩辛くなりすぎました。
クラウディアさんの元には、乳製品アレルギーを持つ顧客から「チーズが生活に戻ってきた!またピザが食べられるなんて!」「チーズ&ワインの夜を楽しめるなんて夢みたい!」などというコメントが寄せられているようです。
バラエティはシェーブル以外にも、チェダー、モッツァレラ、ブリー、フェタ、ペッパージャックチーズ、さらにフォンデュミックスやナチョスソースミックスなどもあります。乳製品アレルギーやビーガンの人にオススメしたいです。皆で作ると楽しいので、乳糖不耐症のお子さんがいる家庭へのプレゼントにも喜ばれそうですね。
チーズを作る楽しみをみんなに
クラウディアさんは初め、都会のアパートに暮らすような人たちに、チーズを台所で作るという体験を提供したいと思いブランドを立ち上げたそうですが、実際は、農家の人たちもこのキットや彼女の本「One Hour Cheese by Claudia Lucero」「One Hour Dairy Free Cheese by Claudia Lucero」を参考にチーズを作っているそうです。ワークショップには、シニアから若い母親、ティーンまで多くの人が参加しています。
また、ホリデーなど家族が集う際にアーバン・チーズクラフトのキットが活躍したという声も届いています。みんながアーバン・チーズクラフトをきっかけに楽しくチーズ作りを体験していることに喜びを感じているそうです。
近い将来には、チーズ作りのオンラインコースの開始や、インスタントポットでチーズを作る本「Instant Pot Cheese」の出版などを予定しています。たくさんの時間を家族と過ごす、少し手間をかけても自分で食事を作る、DIYに挑戦する、ということが改めて見直されている今。クラウディアさんのこれからの活躍が楽しみです。
Urban Cheesecraft
公式サイト
Facebook
Instagram
▼パケトラおすすめの関連記事
「チーズ大国」フランスから、「美食大国」日本が学べるアイデア
フランスに学ぶ「脱・エコ疲れ」——最先端はオーガニックコスメのDIY!楽しむことがエコの真髄