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「チーズ大国」フランスから、「美食大国」日本が学べるアイデア

Photo:パリ市内のスーパーにて。フランス各地のチーズが並んでいます

チーズ——それはワインやパンに並んで、フランスの食生活に欠かせないものです。フランスで生産しているチーズの種類の豊富さは世界一です。第二次世界大戦中、フランスの全土がドイツ軍に占領された当時、イギリスの首相ウィンストン・チャーチルが「400種類ものチーズを創造した民族が滅亡することはあるまい」と皮肉を言ったほど。

また、作り方はその土地の風土によって異なり、フランス国内では実に多種多様なチーズが存在します。「365日毎日違う種類のチーズが食べられる」と言われるほどバリエーションが豊富です。チーズの歴史は2000年も前に始まっていて、長い間、庶民から王族まで万人に愛されている食品と言えるでしょう。

Photo:チーズの売り場面積はどのスーパーもかなり広いです

伝統的な手法で造られているチーズは、今もチーズ屋さんで販売されています。パン屋と同様、朝から多くの地元客で賑わいます。

Photo: パリ中心部にある日本人経営のチーズ屋さん

チーズは発酵食品と言えど「生もの」なので、保存状態には気を配らなければなりません。今回はそんな万人に愛されているチーズの中から、特に保存面・扱いやすさ・手軽さに着目した商品をご紹介します!

一般的なチーズのパッケージの例

Photo:白カビタイプのラ・ブリック

日本で主流のプロセスチーズとは違い、フランスで一般的なチーズは、菌が生きているナチュラルチーズです。ワインと同じで、日ごとに熟成が進み、保存状態によって味と香りが変わってきます。チーズを作る生産者とは別に「熟成士」という仕事があるほど。最適な状態に熟成したチーズは感動的なおいしさです。

写真のように、フランスでは包装紙で簡単に包んだだけのチーズが主に流通しています。受け皿も紙質のものが多いです。こちらはカマンベールで有名な大西洋側のノルマンディー地方で生産されている、代表的な白カビチーズです。

味は抜群なのですが、クリーミーなチーズが包装紙にくっついてしまう…というもどかしさがあります。ただ、気温や湿度が低く日本よりチーズを食べる頻度が高いことから、この紙でできた包装紙で異論は出ないのだと考えます。

このように昔ながらのパッケージがフランスでは主流、ということをあえて付け足しておきます。

手軽な一口サイズの山羊チーズ

それでは本題の「機能性」に着目した商品をご紹介していきます。スーパーで購入できるチーズ商品の中に、従来のチーズより扱いやすいものが色々とありました。

Photo:写真: 灰でコーティングされた山羊チーズ「ソンドレ」

灰でコーティングされたチーズが存在するのはなかなか衝撃的ですが、しっかりとした根拠があります。

昔はガスも電気もないので、料理の際は火を焚いていました。そんな環境の中で、チーズ が火種のなかに落ちることもあったようです。昔の人々にとってチーズはとても貴重なタンパク源だったので、灰がついたくらいでチーズを捨てることはありませんでした。そのまま置いておいたら、なんといつものチーズより長持ちし美味しくなったそうです。

酸性の山羊チーズをアルカリ 性の灰が中和し、風味をまろやかにすると現在では科学的に証明されていますが、昔の人は経験から学んでいたということです。

Photo:一口サイズで使いきりなので、フレッシュなままおいしくいただけます。

もちろん灰の部分もそのまま食べられます。フランス人の中でも好き嫌いの分かれるチーズですが、横半分に切った「ソンドレ」をミニトーストとともに熱々の状態で食べるのが一番美味しいと言われています。例えば4人家族だったら、この二つ入りの「ソンドレ」一つで人数分の一品料理ができるので、かなり手軽なアイテムです。

簡単に開けられてノンストレス「ルー・ぺラック」

Photo:羊のチーズ「ルー・ぺラック」

羊のチーズはかなり個性的な味で、日が経つと強烈なチーズ臭を放ちます。そのためフレッシュなうちに食べきってしまいたいものです。フランスパンとともに、またはアプリコットジャムと一緒にも美味しくいただけます。

Photo:横の両サイドに切り込みの入った仕様になっています。ここをプチっと開けるだけです

Photo:受け皿は紙で、そのままテーブルにポンと置けます。縦にスライスできる切り込みが入っているのも一人分としての目安になります。

数あるチーズ商品のなかでも一番ストレスを感じさせないパッケージでした。ありがちなチーズとプラスチック部分(もしくは紙の部分)との粘着感がなく、パッと開けてスッと出せるとても便利なアイテムです。余った時も冷蔵庫にそのまま保管できます。

お子様向けプロセスチーズ

フランスで誰もが知る、国民的なチーズメーカーが「Baby Bel(バビー・ベル)」です。特に遊び心のあるお子様向けのアイデア商品が豊富です。本格的なチーズというよりは、“給食に出てくる味”が特徴で、誰もが子供の時に口にしたことがあるそう。そんな「バビー・ベル」から、一食分のバターのような大きさのユニークなプロセスチーズが新登場しました。

Photo:チーズは育ち盛りのお子様に必要な栄養素。6個入りのフランス版プロセスチーズです。

Photo:ユニークなデザインで赤い色は「Baby Bel(バビー・ベル)」のトレードマークです

Photo:細長いプロセスチーズがぐるぐる巻きになった商品。お子様の心をくすぐりそうです

「食は楽しいもの」と食事の時間を何より大切にするフランスならではの商品です。

おやつ・夜食にぴったり!食べきりサイズのナチュラルチーズ

チーズの栄養価が高いことは誰もが知ることとなりましたが、ダイエット時の栄養補助食品やトレーニング中に有効な食品でもあります。スイーツ大国のフランスでも、“糖質の摂りすぎは良くない”との認識が広がってきています。

Photo:一口サイズのチーズ「サン・ポーラン」6個入りで1.93ユーロ(約263円)という安さです

「サン・ポーラン」はなめらかな舌触りでクセがなく、食べやすいチーズです。元々は修道院で造られていましたが、現在ではフランス北部で主に製造されています。弾力のあるセミハードタイプのチーズで、そのままでも、グラタンやラザニアなどの料理にも使える万能チーズです。

Photo:横から見た製品。小さいサイズで密閉されているので、持ち運びにも便利です。小腹が空いたときにどこでも食べられる手軽さも良いです。お弁当のお供に欲しいですね

もともと「サン・ポーラン」は楕円形の塊のチーズで製造されています。クセのない味が万人受けするようで、このように小さくカットされたものが市場に出回っています。健康面・栄養面を考えても嬉しい商品です!

チーズ大国だからこそのアイデア商品たち

チーズは、フランスの食文化の代表格といっても過言ではないほどです。今でも伝統的な手法で造られ、丁寧に包装されているものもたくさんあります。ですがこのように扱いやすく、冷蔵庫の中でかさばらないチーズのパッケージは日頃の小さなストレスがぐんと減ります。

因みに、日本では考えられないほどフランス産のチーズは匂いが強烈です。熟成している証拠でもあるのですが、生鮮食品と一緒に冷蔵庫のなかで保管しているとその匂いが移ってしまうほどです。そのためほとんどの家庭が、チーズ専用の大きめの密閉容器にまとめて入れて保管しています。

筆者のように、生粋のフランス人ほどチーズを毎日食べない、ちょっとしたおつまみやおやつ程度に欲しい、という層にはとても嬉しいアイテムばかりでした。

日本でもチーズの需要がじわじわと伸びていると思います。フランスと同じ美食大国の日本でも、きっと利便性の高い商品が登場するのだろうと期待しています。

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