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ビール粕が地球にやさしい植物性ミルクへ大変身!ポートランド生まれの「テイクトゥー・フーズ」

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。今回は、ビール造りの副産物をアップサイクルしたヘルシー&サステイナブル飲料「バーリー・ミルク」をご紹介します。

地球に優しい植物性ミルク

Photo:麦芽粕をアップサイクルして生まれた新しい植物性ミルク(写真提供:Take Two Foods)

アメリカ・オレゴン州ポートランドに本社を構える「テイクトゥー・フーズ(Take Two Foods;以下テイクトゥー)」は、世界初となるビール造りの副産物、麦芽粕/ビール粕(スペントグレイン)を主原料とした植物性ミルクを2020年6月にローンチしました。

Photo:テイクトゥーの共同創業者(写真提供:Take Two Foods)

「テイクトゥー」の共同創業者であるサラ・プール(Sarah Pool)氏とマット・オルソフスキー(Matt Olsofsky)氏は、3年前にビール造りの副産物として、年間約360万トン(80億パウンド)以上もの麦芽粕が、家畜の餌、もしくは産業廃棄物として破棄されていることを知りました。

麦芽粕は大麦からモルト(糖分)を抽出したもので、低炭水化物なのはもちろん、食物繊維やタンパク質を始めとする栄養がたくさん残っていて、「香りまでオートミールのよう」だそうです。サラさんとマットさんは、これを破棄せずに栄養を生かした美味しい食品へとアップサイクルできれば、誰もが無理せず、環境に貢献できると考えました。

そこで、世界最大の大麦購入企業とのコラボレーションで生まれたのが、麦芽粕から生まれた植物性プロテイン(タンパク質)です。彼らはそれを「リジュヴィネイテッド・バーリー(Rejuvenated Barley;回復させた/若返らせた大麦)」と呼んでいます。

この大麦プロテインを使った世界初の「バーリー(大麦)ミルク」は、アーモンド、カシュー、ピー、オーツと盛り上がるアメリカの植物性ミルク市場でも注目を浴びています。

栄養価と味へのこだわり

Photo:4種類のラインナップ

テイク・トゥー社のバーリーミルクは、1.2Lサイズのボトル(5人分)で冷蔵販売しています。オリジナル、シェフズブレンド、チョコレート、バニラの4種類があり、価格は4本セットで$19.99。

ボトル1本につき450g強の麦芽粕を使用していて、栄養価の20%以上がリジュヴィネイテッド・バーリーによるものだそうです。具体的には、ボトル1本につき25mgのタンパク質が含まれていますが、その50-70%がリジュヴィネイテッド・バーリーによるものなんだとか。

リジュヴィネイテッド・バーリー以外の原料としては、ピープロテイン、チコリルート、ココナッツ、ひまわり油などが使われています。牛乳に引けを取らないスムーズな舌触りや味わい、栄養価の実現を目指したレシピが開発されました。実際、脂肪分2%の低脂肪牛乳と比較して、糖分は半分以下、カルシウムは1.5倍も含むそうです。

では、早速試飲してみましょう!

激戦の植物性ミルク市場でも注目株のバーリーミルク

Photo:用性の広い「オリジナル」

オリジナルをグラスに注いでみると、牛乳はもちろん、一般的なアーモンドミルクや豆乳に比べ、かなり茶色い色をしています。喉越しはスムーズで、味わいは牛乳に比べると違和感がありますが、普段から植物性ミルクを飲み慣れているなら美味しいと感じられると思います。筆者の長女は「牛乳より美味しい」とかなり気に入っていました。

Photo:こちらは「バニラ」

バニラも似たような色ですが、オリジナルよりも甘くて、ストレートでも飲みやすいです。もちろん、スムージーやシリアルにも使えます。

Photo:バナナとヨーグルトを加えてスムージーに

Photo:朝食のシリアルにも

Photo:小腹が空いた時にギルトフリーなおやつとして人気のチョコ味

チョコレートは、我が家でダントツ一番人気でした。

「チョコレートミルクにはちょっとうるさいんだけど、今まで試した中で最高の味だよ」とか「子供の頃から飲んでいたチョコレートミルクみたい。なのに大麦が原料なんて、素晴らしい!」といった感想が、テイクトゥーにも寄せられているそうです。

また、シェフズブレンドはオリジナルよりも脂質を多くし(3%)、よりクリーミーに仕上げた商品。泡立てて温かいドリンクに入れたり、クリームソースやケーキ、フロスティングなどに利用することに向いているそうです。

ホワイトソースを作ってみたのですが、私は正直、色が茶色いことや大麦の風味が気になりました。カレーなど色の濃い煮込み料理や焼き菓子などの方が向いているかもしれません。

何れにせよ、植物性ミルクの中では、かなり飲みやすく、環境に優しいという強みがあります。多様な新製品がひしめくアメリカの植物性ミルク市場でも差別化できていると言えるでしょう。

より良い未来のために

Photo:無理なく環境に貢献しようというテイクトゥーの面々(写真提供:Take Two Foods)

将来的には、冷蔵の商品ラインに加えて常温保存が可能なリジュヴィネイテッド・バーリーの商品を、消費者への直販はもちろん全米のリテールで販売することを目指しています。大規模に展開できれば、年間約360万トンという麦芽粕の75-80%を高品質な植物性食品へと一変させることができるとの考えです。

比較的安価に栄養価の高い食品を多くの消費者に届けられる上、産業廃棄物を減らし、環境負担の少ない植物性の食事を推進することは、「テイクトゥー」チームの大きな誇りだそうです。これからの成長に期待したいと思います。

Take Two Foods公式サイト
https://www.taketwofoods.com/

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