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アメリカで人気上昇中。お洒落なプレミアム文房具

アメリカでは近年、お洒落な文房具の人気が高まってきています。アメリカで文房具と言えば、以前は、大手チェーン店で見かけるような飾り気がない商品が一般的でしたが、最近では、古き良き時代のビンテージデザインを再現したり、デザイン性や機能性を追求した、プレミアム感のあるお洒落な文房具がたくさん登場してきています。ニューヨークには、アメリカはもちろん、イギリス、フランス、イタリアなど世界の人気文房具ブランドの商品を集めたセレクトショップが色々あり、文房具大国である日本の商品も人気でよく見かけるようになっています。ニューヨークの人気文房具店で見かけたお洒落な文房具とトレンドを紹介します。

ビンテージデザインのノート

アメリカのプレミアム文房具で人気のデザインと言えば、ノスタルジックで味があるビンテージデザインです。そんなアメリカのビンテージ文房具店の代表的存在と言えば、昔ながらの活版印刷を手掛けているレタープレスショップで、活版印刷を活用したカスタムデザインの他、オリジナルのノートやメモ帳、カードなども製造、販売しています。

例えばこちらは、2007年創業のシカゴ生まれのノートブランド、Field Notesのメモ帳です。こだわりのビンテージデザインのノートブランドで、限定品のシリーズが人気になっています。こちらは、United States of Letterpressと題された限定品シリーズの商品のひとつで、3冊セットでいくつものパターンで販売されています。実はこのノート、それぞれアメリカ各地の異なるデザイナーによってデザインされ、昔ながらの活版印刷を行っているレタープレスショップによって印刷されています。そしてこの限定品シリーズは四半期に一回発売され、コアなファン向けに定期購入サービスもしています。

小さなメモ用のノートですが、それぞれプライドを持って制作されている商品で、ノート1冊1冊に製作所やデザイナーの紹介が掲載されています。ノートの中身は書き心地の良い方眼紙になっています。

そんな昔ながらの雰囲気が漂うレタープレスショップが、実はニューヨークにもあります。ニューヨークのダウンタウン、歴史あるシーポートというエリアの博物館に併設されている Bowne & Co., Stationersというお店で、さまざまなパーツを組み合わせ、オリジナルデザインで印刷したカードやポスターなどが販売されています。カスタムオーダーや自社製品以外にも色々なビンテージ系の文房具や雑貨がありビンテージ系文房具の人気のお店になっています。

大量生産の商品にはない、インクの感触を感じることができる、温かみのあるデザインのカードです。

こだわりデザインブランドの鉛筆とペン

アメリカのお洒落な文房具店へ行くと必ず見かけるのが、Blackwingというブランドの鉛筆です。絵描きの人にも適した上質の素材と書き心地の鉛筆で、アメリカのカリフォルニアを拠点とするブランドです。このBlackwingというブランドは、1930年代にEberhard Faber Pencil Companyにより発売され、多くの人に愛された歴史ある鉛筆、Blackwing 602をルーツにしています。2007年にこの鉛筆が誕生し現在でも看板商品となっています。

シンプルなデザインのBlackwing 602だけでなく、ストーリー性のある様々なデザインの鉛筆を製造しており、鉛筆の背に付いている珍しい長方形の消しゴムも印象的です。

デザインだけでなく、材質、機能性、それぞれの部位の製造技術にもこだわりが見られ、鉛筆の木と芯の部分は日本で、消しゴムはベトナムで製造されています。でもこのブランドの驚くべき点は、アメリカの木材を日本に持ち込んで原材料とするなど、細部にこだわりを持ち徹底的に商品の品質にこだわったプレミアム感のある鉛筆を完成させているところです。

鉛筆だけでなくペンもカラフルでデザイン性の高い商品が色々と登場しています。写真のボールペンは2012年に創業したフランスの文房具ブランド、Papier Tigreのボールペンです。Papier Tigreは、パリのマレ地区にお店があり、東京にも進出しているブランドです。

パステルピンクとグリーンの2色による楽しくなるポップなデザインに加え、書き心地もとてもいい商品です。

 

環境に優しい手帳

アメリカでは、近年、手帳が人気となっており、世界各国から様々なデザインの商品がやって来ています。数ある商品の中から目に止まったのが、イギリスのブランド、The Completistのスケジュール帳です。The Completistは2018年にイギリスのロンドンで創業された文房具ブランドです。お洒落な箱に入っているワクワク感があるスケジュール帳で、表紙のデザインもポップな色使いのアートなデザインとなっています。箱に入っているだけで少し高級感が生まれ、家で保管する際も、何か大切なものを箱から出し入れしている気分になります。この紙の箱が利用されているのは、商品の印象を高めるためだけでなく、環境への意識もあるように思います。ビニール袋のごみを生まない工夫の一つとも言えます。

最近、あらゆる商品で自然保護を意識したブランドが増えて来ていますが、こちらのブランドも環境への意識が高く、お洒落なデザインだけでなく、手帳やメモ帳など全ての紙製品の商品において、環境に優しいFSC認証を取得した森林の木材から作られた紙または再生紙が利用されています。

FSC認証は、世界の森のサステナブルな森林保護を目的とする、ドイツの森林管理協議会(Forest Stewardship Council)による国際認証で、P&Gなど大手企業でもFSC認証に向けた取り組みを行っています。

メモ帳を包んでいる袋に関しても、植物由来の生分解性PLA(ポリ乳酸)フィルムが使われており、環境への配慮が感じられます。

日本の手帳は、毎年カレンダーの数字が全て印字された商品が多いのですが、アメリカやヨーロッパの商品では、日付が書かれていないブランクの商品をよく見かけます。こちらのイギリスの手帳もそのタイプの手帳で、月間と週間の枠はあるのですが、数字が一切入っておらず、柔軟にいつからでも使い始めることができます。その年に売れ残ってしまったり、使用しなかった手帳でも翌年でもそのまま使用できるので無駄になることがなくエコ的観点で良いデザインとなっています。

ポップで可愛い個性派デザイン文房具

アメリカのお洒落な文房具店では、遊び心のある楽しいデザインの商品も色々あります。

1枚のシートに小さなシールがたくさんついている商品もありますが、アメリカでよく見かけるのはキャラクターが描かれた大きいサイズの1枚仕立てのシールです。色々な種類があり、個別に選んで買える人気の商品になっています。

また、ブックマークも文房具店によく並んでいますが、大きなキャラクターを型取った革製のブックマークなども目を引く面白い商品です。日本の文房具のデザインは可愛らしい雰囲気のキャラクターが多いように思いますが、アメリカやヨーロッパなどの海外ものは、ちょっとシニカルな雰囲気のキャラクターがうける感じがします。

メモなどを挟むクリップは、挟み口のところが長くワニの口のように見えるため、Alligator Clipと呼ばれています。珍しいピンクゴールドの商品などプレミアム感ある商品がお洒落な文房具店では揃っています。

珍しいカラフルな円形の付箋や、世界のお茶を香りごと閉じ込めたティーボックス入りの消しゴムなど、これらの面白い商品は、ニューヨークにあるKikkerlandというブランドの商品です。Kikkerlandは、オランダ出身の創業者が1992年に立ち上げたヨーロッパの雰囲気が漂うデザインブランドで、遊び心がある面白いデザインの文房具や雑貨、キッチン用品、おもちゃなどを制作しています。他にはない独自のアイディアとセンスで作られたオリジナル商品が多く、独特の存在感があります。

ステッカーのサブスクリプション

アメリカではStickii Clubという、面白いステッカーのサブスクリプションサービスがあります。ステッカーとメモ帳などの文房具がセットになって届きます。

申し込み時には、プレミアム文房具デザインのトレンドにもなっている、「キュート」「ビンテージ」「ポップ」の中から好きなタイプを選ぶことができ、自分の好みのものを毎月受け取ることができます。シール好きにはとても楽しいサービスだと思います。こちらは、レトロな切手のデザインのビンテージシリーズのステッカーです。

文房具は、かつては、デザインや品質にこだわりを持って作られた高級品でしたが、大量生産の工業化社会真っ只中だった20世紀後半に少量生産の高級文房具がすっかり衰退してしまいました。21世紀を迎え、スマホやコンピューター、インターネットをはじめテクノロジーの隆盛でますます文房具の需要が減退していくのではという懸念がありましたが、実際はその逆で、熱心な文房具ファンたちが新たなブランドやセレクトショップを立ち上げるようになり、SNSなどでの情報発信も後押しし、最近は、特にセンスのいいプレミアム文房具の人気が高まっています。

 

ニューヨークでも、個性豊かな文房具のセレクトショップが色々と登場し、世界各国の個性的なブランドのセンスのいい商品が集まって来ているので、文房具フェアを訪れたような感じでショッピングが楽しめます。定番の可愛いポップなデザインや、高級感のあるノスタルジックなビンテージデザイン、機能性や材質、パッケージにもこだわりを持った環境に優しい商品など身近に置いておきたい、大切な人にプレゼントしたいという気持ちになるような特別感のある文房具が人気になっています。

 

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