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クリスマスが終わったら、ツリーはどうなる?伝統と環境対策は両立できるのか

Photo:クリスマス前のウィークリーマーケットのお花屋さん

2019年といえばグレタ・トゥーンベリさんと環境問題。特にプラスチック問題と地球温暖化について非常に注目されました。

私の娘はベルリンのギムナジウム(ドイツの中高一貫校)の7年生。日本でいうと中学一年生なのですが、クラスメートとのチャットグループの名前が「How dare us」と名付けられている時期もあったそうで、グレタさんのことは学校でも非常に注目されており、よく話題になるそうです。

某有名ファストフードチェーンのドリンクをプラスチックカップとプラスチックストローで飲みながら、オーストラリアやブラジルの火事問題、プラスチック削減、紙ストローなどの問題について話しているそうで・・・会話と行動が一致しないところが若いなあと思いますが、中1の子供たちの日常的な会話に環境問題がよく登場するというのは、さすがドイツだと感じます。

クリスマスが残る、1月のドイツ

さて、1月も中旬過ぎ。日本ではバレンタインやチョコレートの話題が期待されるのだと思いますが、何事もゆっくり進むここ、ベルリンではまだ「クリスマス後」な雰囲気です。というのは、ドイツでは生のツリーを飾る家が多いのですが、使い終わったツリーは路上に放置することになっており、住宅街を歩くと沢山のツリーの残骸が転がっているのです。

キラキラに飾り付けをされ、各家庭のリビングルームを美しく彩ってくれたはずのツリーですが、グレーのアスファルトの上に放置された緑色の塊は寂しげ。せめて早く回収車が来たらいいのに、と毎年思います。

生のツリーを初めて買ってみた

2016年の夏にベルリンに越して来た私たちは、2019年末、4回目のクリスマスを迎えました。毎年、適当な緑の葉っぱにリース程度で済ませてきたクリスマスですが、2019年は「うちにもキラキラのツリーが欲しい」という息子の一声で、生のツリーを買うことに。

とある週末、近所のウィークリーマーケットを見に行きました。ここには毎週決まった曜日に、肉や魚、野菜、果物、加工食品の他にお花屋さんが何軒か出ていて、11月末ごろからリースや柊の葉などが、クリスマス直前には生のツリーが売られています。

Photo:生のツリー。これでもかなり小さいほう

生のツリーは高さ1~3メートルほどで、鉢植えのものもありますが、ほとんどは根元でカットされています。一番小さな、高さ1メートルほどのものを20ユーロで購入しました。小さいと言っても、高さ1メートルのツリーを、レベーターなし3階(日本でいう4階)の我が家まで手持ちで運ぶのはなかなか大変。葉が落ちないように気をつけながら、なんとか家に持ち込みました。

クリスマス直前まではバルコニーなどの寒いところに置いておき、前日に飾り付けをするのが伝統らしいのですが、我が家にはバルコニーがありません。買ってきたツリーを見ると、根元は切りっぱなしの切り株です。

どうやって立てて、どうお手入れすれば良いのか分からないので、周りのドイツ人に聞いてみましたが、水をやるという人もいれば不要という人もいて、よく分かりません。その上「クリスマスツリー立て」が必要らしいのですが、用意がなかったのでモロッコから持って来たフェズ焼の壺に入れてみました。

プラスチック製のツリーに慣れた私には、左右が完全に対象ではないツリーがちょっと変に見えましたが、考えてみたら生のツリーです。左右不対象で当たり前ですね。

Photo:適当に飾りつけると、ツリーらしく可愛くなりました

生のツリーを美しい緑色の完璧な形に育てるのは簡単ではないそうです。アクティブな家族は好みのツリーを求めて「クリスマスツリー農場」に行き、良い形、サイズのツリーを選び、自らのこぎりをひいてツリーを持ち帰るそうで、巨大な生のツリーを電車に持ち込んでいる人を見かけました。

クリスマスに親族が集まるような家ではツリーも大きなものを飾るそうで、張り切って大きなものを用意しすぎて天井に届いてしまう、飾り付けができないなどの問題も起こるとか・・・。そんなツリーに比べると超控えめな我が家のツリーでしたが、12月にツリーがあるのは、やっぱりワクワクして素敵でした。

クリスマスが終わると・・・

さて。クリスマスとお正月も、子供達のクリスマス休みも終わりました。

ドイツでは、ツリーは1月6日以降に片付けることになっています。片付けると言っても、飾り付けをとったツリーをアパートの前の路上にぽいっと転がしておくだけ。役目を終えたツリーは回収され燃料として使われるそうですが、まだまだ元気で一箇所も変色していない木を捨てるのは、なんとも言えない罪悪感を感じました。

Photo:クリスマスが終わり、路上に捨てられたツリー

生のツリー、ドイツ全体では何本くらい消費されているのでしょう。ちょっと気になったので、娘と調べてみました。

クリスマスツリーは何本消費されている?

ドイツ全体で使われるクリスマスツリーの本数は、2500万本(人口8302万人/2018年)。人口の1/3のツリーが消費されています。

ちなみに、サイズにもよりますが、クリスマスツリーとして販売される大きさまで育つためにかかる時間は、8年から12年。10日から長くて2週間楽しまれたあとは、ゴミになります。クリスマスが始まる前に売れ残ったものも、一度も飾り付けされないままゴミになります。

そんな話をドイツ人の友達にしたところ、「最近は問題視する人も増えていて、植木鉢に植えられたツリーのレンタルビジネスがある」と教えてくれました。お値段は切りっぱなしの生ツリーよりも高めで、一本45ユーロ程度から。

地面に植えられていたものを引き抜き鉢植えにして届けられるもの、初めから鉢植えで育てられるもの、色々あるようですが、使い終わったツリーはクリスマス後に回収され、翌年のクリスマスまで育てられるそうです。

しかし、もともと大地に根を張っていたものの根を断ち切って小さなポットに植え替えること、クリスマス期間中ずっと暖かい部屋に置かれることなどの急激な環境の変化に馴染めず、枯れてしまうことも多いのだとか。

伝統と環境対策は両立できるのか

「鑑賞するために植物を育て、カットして楽しむ」ことに対して微妙な気持ちになるのであれば、同じように鑑賞用に育てられた生の花をやめて、環境に良い素材で作られた造花にするべき、せめて鉢植えにすべきという理屈になりますが、切り花を楽しめなくなるのはずいぶん寂しいことだなあ・・・と思います。

私には、花のない生活など考えられませんが、クリスマスを非常に大切にするドイツ人にも、クリスマスツリーはなくてはないもの。人々の環境問題への関心が増えるにつれ、従来当たり前だと思われてきた様々なことが変わってきました。クリスマスツリーの伝統も、今後大きく変化するのでしょうか?それとも、どんなに環境問題が注目されても、そこは譲れない伝統として残るのでしょうか?

それにしても、毎年2500万本。世界中では億単位のツリーがクリスマスの1週間のために生産され、廃棄されるというのは驚きでした。

参考:ドイツ森林協会
https://www.sdw.de/waldwissen/weihnachtsbaum

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