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アメリカ発、環境意識の高い若者の購入を促すパッケージ——サステイナブルな植物性「たまご」と「ツナ」

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。今回は、アメリカでますます進化しているサステナブルな2つの植物性タンパク質商品「ジャスト・エッグ(JUST Egg)」と「グッドキャッチ(Good Ctach)」をご紹介します。

若い世代が推進するアメリカの菜食トレンド

Photo:植物性のたまごとツナ

アメリカのスーパーでは、牛乳以上のスペースをとってアーモンド、オーツ、カシューなどの植物性ミルクがずらりと並び、また、ケンタッキーフライドチキンやバーガーキングといったファストフード店でも「植物肉(プラントベースミート)」が選べるなど、動物性タンパク質の代替品は、急速に一般化しています。

トレンドを牽引するのは、ミレニアル世代以降の環境意識が高い若者です。そのため、これらの商品は、動物性食品と見間違えるような本物感をアピールするだけでなく、彼らを意識したデザインのパッケージが多くなっています。ここでは、肉や乳製品の代替品ではなく、最近注目の卵やシーフード製品をみていきたいと思います。

新たな卵の代替品!モダンなデザインが目を引く「ジャスト・エッグ」

Photo:すっきりしたジャストエッグのパッケージ

「ジャスト・エッグ」は、サンフランシスコのスタートアップ「Eat Just」が開発した卵の代替品。緑豆(Mung beans)を主原料で、卵のような食感です。5年間を費やしコレステロールゼロでタンパク質が豊富な植物性代替品を生み出しました。

緑豆から卵を作ることで、鶏卵に比べて水98%、温室ガス93%、利用する土地86%を減らすことができるそうです。

BPAフリーのボトル型透明プラスティック容器には、溶き卵のような黄色い液体が入っています。この色は、ターメリックの色だとか。

スーパーでは卵のすぐ側に並んでいますが、コレステロール値を気にする人などを対象にしたカートン入りの液体卵白とは違い、見た目もおしゃれで手に取りやすいアイテムです。一見、溶き卵かと思いそうですが、「Made from Plants (not chickens) --- 植物からできています(鶏からではありません)」とはっきり記されています。

Photo:ジャストエッグは、ボトルから直接フライパンへ

フライパンにボトルから直接商品を注ぐと、卵のように焼けていきます。スクランブルエッグやオムレツしか作れないのは残念と言えば残念ですが、逆にこれらを作る際に、卵の殻を捨てたり、ボウルが不要なのは便利です。卵と比較して、味にも違和感がありません。

Photo:焼きそばの上に乗せたジャストエッグのスクランブルエッグ

価格は、35mlで$4.69。卵に比べると割高ですが、環境のためにこれを選びたいと思わせる商品です。

パウチ型パッケージに入った植物性ツナ「グッドキャッチ」

続いて紹介するのは、テキサス州オースティンに本社を持つ植物性食品会社「Gathered Foods」の植物性シーフードブランド「グッドキャッチ」。主要商品であるツナフレークの代替品「Plant-Based Tuna」は、二人のシェフが、えんどう豆、大豆、ひよこ豆、レンズ豆、そら豆、白インゲン豆の6種類の豆のタンパク質ブレンドを主原料に考案した商品です。

Photo:植物性ツナのパッケージ

近年ツナフレークは缶ではなくパウチ入りのものが増えていますが、この商品もパウチに入っています。

パウチの表面には、大きくマグロのツナに類似した商品の写真と共にTUNAの文字。「Fish-Free」と書かれているのに、植物性だとはパッと見ても気付かないかもしれません。裏面には考案者のシェフの写真と商品の概要が入っています。

Photo:3フレイバーの植物性ツナ「グッド・キャッチ」

オンラインでオーダーしたのですが、すぐに使いたくなるような「魚を救おう」といったメッセージのポップなスティッカーや手書きのサイン入りレシピカードが同封されてきました。

フレイバーは水煮風の「Naked in Water」、地中海フレイバーの「Mediterranean」、イタリア料理にすぐ使えるという「Oil & Herbs」の3種類。1袋(94g)あたり14gの植物性タンパク質が含まれています。

Photo:皿に写した水煮風の植物性ツナ「グッド・キャッチ」

そのまま食べた感じでは少し滑りがあり、ツナフレーク同様とは言い難いのですが、ニンニクやパプリカ入りの「Mediterranean」は味自体が良く、子供たちにも好評でした。他のフレイバーも、例えばポテトサラダやサンドイッチに入れるなどすれば違和感なく食べられるかもしれません。

価格は$3.99でやはり通常のツナに比べると割高。それでも、ブランドに賛同し「環境に貢献したい」という意欲のある人たちが増えているようで、パンデミックの最中にもかかわらず2020年5月にはオハイオ州に大きな植物性ツナ製造工場をオープン。アメリカに加え、カナダ、UK、オランダへと販売を拡大しています。

植物性代替品の購入を後押しするパッケージ

このように、牛肉、鶏肉、豚肉、乳製品の代替品だけでなく、卵やシーフードの代替品の品質もかなり高くなってきています。

スーパーの陳列棚に動物性と植物性の商品が隣に並んでいる時に、植物性のものを手にとって「少し高くても試してみたい」と思わせる、消費者を後押しするようなパッケージは、今後、動物性タンパク質の代替品商品が成功するかどうかを決める重要な要素の一つになるのではないでしょうか。

Eat Just
https://www.ju.st/

Good Catch
https://goodcatchfoods.com/

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