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桜、日の丸、空手、忍者——「日本」っぽい!アメリカ発、クラフトビールのユニークなパッケージデザイン

「パケトラ」読者のみなさま、こんにちは。ポートランド在住の東リカです。

今回は、「ビアバーナ(ビール天国)」と呼ばれるポートランドのボトルショップ(酒屋)で発見した、アメリカの「日本っぽい」クラフトビールのパッケージをご紹介します!

意外と多い、日本っぽいパッケージのビール

Photo:日本を意識したラベルのビールが集合

私が今回立ち寄ったボトルショップ「ジョーンズ・マーケットプレイス」は、ポートランドのビールとワインのメッカを謳う老舗酒屋です。世界最大数の蒸溜所を誇るポートランドだけあって、地元のクラフトビールだけでも相当数ですが、世界中のクラフトビールが並んでいます。

そんな陳列棚から店員さんの協力も得て、「日本っぽい」パッケージのビールを探してみました。日本に関連のある商品特徴をアピールしたいものから、単に「クールな」キャラクターとして活用されているものまで意外とたくさん見つかりました。

日本らしいビールといえば「ライスラガー」

Photo:日本のあの辛口ビールを彷彿とさせるレベルビールのパッケージ

日本っぽいと聞いて真っ先に思い浮かんだビールは、地元ブルワリー「Level Beer」の「Sweep The Leg」。ラベルにも日本語で「日本スタイルのライスラガー」と書かれているように、米を使ったすっきりと軽いビールです。

メタリックシルバーの缶に黒と赤い文字を配したパッケージは、例の人気辛口ビールを意識しているとしか思えません。また、商品名「Sweep The Leg」は、ある年代のアメリカ人の日本に対するイメージを形成したと思われる大ヒット映画「カラテキッド」の技/名言。日本通ならニヤリとし、そうでなくても興味を唆られる商品です。

ちなみにこのLevel Beer は、アーケードゲームも楽しめるブルワリー。スーパーマリオやパックマンなどを彷彿とさせるドット絵パッケージのビールでも知られています。

Photo:美味しさの秘密は「ほとんど空手チョップ」という売りのビール

ホップを空手チョップで砕くドット絵の描かれた「Mostly Karate Chops」というビールもありました。ちなみにこれはダブルIPAで、ビール自体は日本を意識したものではありません。

Photo:ホップを刀で切るアメコミヒーロー風忍者が描かれた「シャドー・シノビIPA」

同じく、ワシントン州バンクーバーのブルワリー「Loowit Brewing」のフラッグシップビール「Shadow Shinobi IPA」も忍者が描かれていますが、あくまでクールなキャラクターの1つという扱いで、ビール自体は日本を意識したものではありません。

こちらで日本風のビールといえば、ライスラガーがまず思い浮かびます。飲みやすく、食事にも合わせやすい日本風のライスラガーは近年、割と人気があって、扱うブルワリーも増えているようです。

例えば、同じく地元の「Stickmen Brewing Company」の「Gaijin Dream」。

Photo:桜を背景に筆文字で「外人の夢」というビール名が記されたライスラガー

こちらは、桜、筆の文字、「外人」という名称で、思いっきり日本らしさをアピールしています。ホップもこちらでは比較的珍しい日本産ホップ「ソラチエース」を使用しているそうです。桜が描かれていますが、一年を通して製造している美味しいビールです。

Photo:Pono Brewingのライスラガー「Cuzzi Companion」

他にも、ポートランドの人気ブルワリー「Pono Brewing」が、招き猫と「いい時間!楽しいビール!オーケー?」と日本語の書かれたライスラガーを作っています。

「日本っぽい」ミニマルなデザイン

続いては、日本らしさを訴求しているライスラガー以外のビールをみていきます。

Photo:カタカナと日の丸のシンプルなデザイン

ボルチモアのブルワリー「Stillwater Artisanal」の「Extra Dry」は、お米を使って日本酒のような風味を引き出したという低アルコールのファームハウス・エール(セゾン)です。

ラベルでも、日本を意識していることをシンプルながら確実にアピール。こちらもライスラガー同様、すいすい飲める美味しいビールで、アメリカ人にも好評のようです。

Photo:大きくローマ字で柚子と書かれたパッケージ

一方、ポートランドの新しいブルワリー「Shimai Toshi Brewing」は、柚子を使ったラガー「Yuzu Lager」を製造。このブルワリーは、名前からして日本っぽいのですが、この柚子ラガーは日本食レストランのために開発されたそうです。

柚子は近年アメリカでも使われる食材になってきたため、シンプルに「YUZU」の文字だけでも日本らしさをアピールしている気がします。

分かりやすさなら特定のアイテム

ボトルショップで地元の店員さんに手伝ってもらったこともあり気が付いたのですが、日本語の文字やフォントだけでは、パッケージは「ざっくりアジア風」になり、中国や韓国など別のアジアの国との区別がつかないようです。

桜、日の丸、空手(チョップ)、忍者など特定のアイテムは、ベタですがアイコンとして分かりやすく、これらをユーモアを交えたり美しくデザインすることで皆に魅力的な日本らしさをアピールできる商品になる気がします。

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