パケトラ読者の皆様、こんにちは。パリ在住のライター、大内聖子です。
私が暮らすフランスでは、2040年までに使い捨てプラスチックをゼロにすることが約束されました。各企業では今、リサイクルの紙製品やエコ前提のショッピングバッグを多く広めているところです。
実は「紙袋」などは、日本よりもっと質素で簡単なものが多いのが特徴的なのです。そこで今回は、フランスでお買い物をした時にどんな紙袋が渡されるのか、その実情をご紹介したいと思います!
包装は自分自身で、有料のクリスマスラッピング
2021年のクリスマスはどう過ごされましたか?日本ですと、クリスマスギフトはお店で綺麗にラッピングされることかと思います。
しかし、フランスでは全てが有料です。包装紙やリボン、紙袋に至ってもお金を払って購入するのが一般的なのです。
パーフェクトにラッピングできなくても、フランス人は気にしません。プレゼントを贈りあう、その楽しみの方が優っているのでしょうね。
そして、フランスで人気のあるプレゼントといえば、女性は化粧品や香水、男性はスポーツ用品や工具などが挙がります。
またコロナ禍を経てゲームをする人が増えた、とのことで、フランスのゲームショップなども賑わいを見せているようです。
またフランスのホリデーシーズンの定番ドリンクといえば、シャンパンです。ということで、シャンパンやワイン専用の華やかな紙袋が並ぶのも大変フランスらしいですね。
そして大型ショッピングモールで行われていた、クリスマス時期限定の「ラッピング・ドネーション」も印象的でした。
こちらは「グレゴリー・ルマーシャル」という慈善団体が企画したもので、ラッピングを1ユーロでお願いするものです。集まったお金は全額寄付され、フランス国内の難病を抱える人や臓器提供の啓蒙活動、そういった慈善事業のヘルプにつながるとのことです。
フランス一流ブランドの華やかな紙袋デザイン
さて、フランスには誰もが知っているようなスーパーブランドがたくさんあります。実は2021年には、コロナに負けじとパリで多くの新しいブティックやパティスリーがオープンしました。
その一つが、あのホテル・リッツ パリ(Rits Paris)が初めて手がけたスイーツ専門ブティック、「Le Comptoir(ル・コントワール)」です。敷居の高さを感じさせるホテルに入ることなく、誰もが気軽に利用できるパティスリーができたということでパリでも話題になりました。
オーナーは、ホテル・リッツのシェフパティシエであるフランソワ・ペレ氏。2019年に世界最高のパティシエに選出された、フランスのスターパティシエです。
ル・コントワールでは、そんなペレ氏のイラストがあちこちに描かれ、人気のマドレーヌは専用の紙ボックスまで登場しました。
実は、ル・コントワールのコンセプトは「テイクアウトできるリッツ」ということで、全てお持ち帰り専用のアイテムとなっているのです。
冒頭でも紹介したとおり、フランスではプラスチック包装がどんどん無くなってきています。こちらでもプラスチック製の包みを見かけることはありませんでした。
その代わり、キャッチーなイラストが入った紙袋やボックスが手に入るので、逆に嬉しくなってしまいますね。
そして、フランスの老舗フレグランスブランド「フラゴナール」から素敵な紙袋デザインをご紹介したいと思います。
フラゴナールは、香水の聖地として名高い南フランスのグラースという町で1926年に誕生した老舗の香水ブランドです。ナチュラルな香りと可愛らしいパッケージデザインで人気を集め、パリを中心にフランス全土に店舗を展開しています。
正確に言うと紙製ではありませんが、フラゴナールでお買い物をすると、こんなに素敵なショッピングバッグが貰えるんです。フランスマダムも持っている人が多いのですが、素材がしっかりしているので、スーパーに行く時のエコバッグや、ピクニック時も重宝します。捨てたくないと思われるデザイン・サイズ感で、ゼロウェイスト意識にもつながります。
究極に質素な紙袋、パリ市役所とフランスのデリバリー
パリ市役所の隣には、「ランデヴー」という名前のお土産屋さんがあります。
パリのアンヌ・イダルゴ市長は街の美化や、自動車のCO2削減対策にとても力を入れている人物なので、ランデヴーではパリ市が手がけたエコなアイテムを購入することができるんですよ。
「世界一のグローバル環境都市にする」
と、イダルゴ市長は、パリ市を大きく変革することを任期中の最重要ポイントとしています。つい先日、彼女が2022年の次期大統領選に出馬するというニュースが流れましたが、これからもパリ市が環境対策をメインとしていくことは間違いないでしょう。
写真の通り、ランデヴーの紙袋はとても質素なものです。リサイクル製の紙袋に、パリ市のロゴがデザインされただけのもの。さらに、会計時に「紙袋は必要ですか?」と聞かれます。
徹底的に無駄を省き、ゴミをこれ以上増やさない。環境問題のイニシアチブを取るパリ市の思いが垣間見えました。
最後に、フランスのフードデリバリーの包装が現在どのようなものになっているのか、ご紹介したいと思います。フランスでは、Uber Eats・JUST EAT・Deliverooなどの大手フードデリバリーサービスのアプリが浸透し、過去3年間で約20%も宅配件数が上昇しました。今後も数年の間に売り上げが3倍に膨れ上がると予想されている市場です。
カンガルーのロゴが目印の「Deliveroo(デリバルー)」でも、プラスチックの包装を一切見かけることはありません。
フランスでは、あと20年もしないうちに使い捨てプラスチックがゼロになります。ということで今、日常生活で使用する様々なプラスチックの使用を段階的に禁止しているのです。
こういった食品系の入れ物は、紙製のものが当たり前の感覚になりました。フランスのマクドナルドやスターバックスではストローも紙製となって久しいですが、今ではストローさえ使わずにドリンクを飲む人が多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
フランスと日本の紙袋事情は似ているところもありますが、フランスでは「セルフ」が多いのと「極力ゴミにならない」よう工夫しているのが特徴的でした。また、その多くがデザイン勝負か、エコ重視の2択かなといった印象です。
2022年も、フランスで気になるパッケージをご紹介したいと思いますのでどうぞよろしくお願いします!
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