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アメリカの飲料パッケージ 水筒のようなデザインアルミボトル登場

プラスチックごみ問題の大きなパートを占めるペットボトル。そんな問題を解決しようと多くの飲料メーカーは日々新しいパッケージの開発に取り組んでいます。

アメリカでは近年、リユーズを目的としたボトルが注目を集めています。ごみを出さずに再利用できるボトルの代表といったら水筒ですが、スーパーの店頭に並ぶ水のボトルも1回きりの使い捨ての商品だけでなく、最近では再利用を目指した水筒のようなお洒落なデザインのアルミボトルの商品も見かけるようになっています。

アルミは、軽量で持ち運びしやすいという特徴がありますが、新商品のアルミボトルはさらに長く使用してもらえるように、耐久性とデザイン性を兼ね備えた水筒のような作りになっています。またアルミボトルは捨てられた後のリサイクル率も高く、無限にリサイクルできるというサステナブルな特徴があります。

アメリカのスーパーなどでよく見かけるようになっている、水筒のようにフォルムの美しいアルミの水ボトルを紹介します。

アメリカ、そして世界的にも近年は地球の自然環境を守り、長期的な地球と人類の共存を目指すサステナビリティへの意識が高まっています。そんな中で大きな問題となっているものの一つがプラスチック汚染です。分解が難しいため、ゴミとなった後自然に優しい形で処理することが難しく、粉々になったプラスチックがマイクロプラスチックという形で様々な生物で検出されるなど、生態系にも影響を与えています。

プラスチックは安価で、軽くて丈夫で使い捨てに向いていることから、急速に普及し使い捨てパッケージなどで使用されてきましたが、その影響で海洋や土壌汚染が進行しています。また、プラスチック容器などから人体に有害とされるビスフェノールA(BPA)の食品への混入など、健康への直接的な影響も心配されています。

使い捨てパッケージの代表的存在と言えば飲料用のペットボトルですが、水筒の使用による再利用やペットボトルの代替パッケージの模索など様々な努力が行われています。そんな様子はスーパーの飲料商品売場でも感じることができ、ペットボトルの他ガラスボトルやアルミボトル、牛乳パックのような紙を主体としたカートンパックなど、サステナビリティやBPAフリーを念頭とした様々なパッケージの商品が登場しています。

テトラパックのカートンなど紙を主体としたパッケージは、一見ペットボトルに比べると環境に優しい印象がありますが、実は原材料は紙だけでなく、ブラスチックやアルミニウムなども含まれているため、リサイクルするためには特別な処理の装置が必要となります。そのため埋め立て地行きになってしまうことも多いという現実があり、最近では再利用を啓蒙する意味合いも含め、デザイン性が高くリサイクル率も高いアルミニウムボトルの商品が色々お店に並ぶようになって来ています。

PATHWATER

水筒のような非常に丈夫なアルミボトルを使用した代表的な商品のひとつが、PATHWATER という商品です。他社製品と比較した際、特にクオリティが高く店頭に並んでいても目を引くブランドの商品です。

スーパーの棚に並ぶ安いプラスチックボトルの3倍ほどの値段になりますが、何回でもリフィルして使える丈夫なボトルであるならば試してみようと思う人も多いと思います。

今までは水をリフィルできるボトルというと数十ドルかけて水筒を買うしかありませんでした。それだけでは多くの人に水筒の利用を増やし、使い捨てを減らすことを期待するのはハードルが高いことでした。でも数ドルという手軽な価格でリフィルボトルが手に入るなら、より多くの人たちに手に取って試してもらうことができるようになり、再利用することへの意識を高めることができ、全体的なプラスチック減につながる可能性があります。

こちらがその商品です。

PTHWATER は、環境保護に関する顕著な活動を称える、SEAL Environment Initiative Award を、2019、2020年に受賞しています。

SEAL Award の SEAL とは、Sustainability, Environmental Achievement and Leadership の略で、サステナブルで環境保護に貢献する、リーダーシップを取っている企業に贈られる賞です。

とても丈夫なボトルで、まるで水筒のようなずっしり感です。

中身のリフィルがしやすいように、口の作りは大きめでとてもよく考えて作られています。水と接触する内部には、BPAフリーのコーティングが施されています。

リユーズできるリーゾナブルなボトルというだけでなく、デザイン的にも優れておりカスタムメイドのデザインボトルを作ることもできます。

オンラインから、ボトルの下地となる色を選びラベル部分の色を選ぶことができます。好きな絵をデザインに取り込むことができ、オリジナルのデザインボトルを作ることができ、特別なイベントなどにも活用できる面白い商品となっています。

Pathwater HP より

話題作りがとても上手な会社で、企業やアニメキャラクターとコラボした商品を色々販売し話題となっています。

例えば、モノポリーゲームの Hasbro 社とのコラボによる、Monopolyの限定ボトルや、アメリカのアニメキャラクター、スポンジ・ボブとのコラボの限定デザインボトルを発売しました。限定販売のレアもののデザインのボトルはオークションサイトでも取引される人気商品となりました。

通常の水の他、それぞれボトルデザインの異なるアルカリ水、炭酸水の商品があり、再利用を促す効果はもちろん、処分する時には間違いなくリサイクルに区分することができるとても存在感のあるアルミボトルとなっています。

Proud Source

もうひとつのリユーズボトルの水を販売している注目すべきブランドが、Proud Sourceです。添加物を一切加えない、自然のミネラルの栄養がたっぷり入ったナチュラルアルカリスプリングウォーターを販売しています。

環境に優しいサステナビリティは、ボトルの開発だけでは実現できないとさらなる企業努力をしている会社です。アメリカ西海岸ではロッキー山脈の天然アルカリ性水源、東海岸ではフロリダ州アパラチコーラの森の天然アルカリ性水源を使用しており、輸送距離削減への努力が行われています。山からの水の運搬は、重力供給システムを採用し、無駄なエネルギーをかけないような仕組みを取り入れています。工場を水の源泉から500フィート下降に作り、重力の自然の力で水が下りてくるサステナブルなオペレーションシステムを導入しています。また工場の電力も太陽光発電を採用し、将来的にはゼロエナジーでの運営を目指しています。

そんなProud Sourceの商品のパッケージも、永久リサイクル可能なアルミ製です。

Proud Sourceでは自社のホームページからの注文の数だけ木を植える活動を行っています。その活動によって、地球上の二酸化炭素がどのくらい削減されたか、また酸素がどのくらい生み出されたかの予想値が公表されています。

Proud Source HPより

Brita

サステナブルなリユーズボトルの水の商品が次々に生まれている流れに乗って、浄水器ブランドで有名なBritaもリユーズ可能なボトルの水を販売し始めました。美しいつや感のある上品なブルー色のデザインで、素材はしっかりした何度でも利用できるアルミのボトルです。

アルミボトルの水は4本セットまたは6本セットで販売されていますが、ボトルを束ねるホルダー部分にも工夫があり、よく使用されるプラスチックは用いずアトランティックパッケージング社のフィッシュボーン(Fishbone) と呼ばれる、紙ベースのキャリアが使用されています。

アメリカでは多くの家庭でBritaの浄水器が使用されています。外出時にもBritaで浄水した水を持ち歩いて欲しいというメッセージが感じられます。Britaの定番商品である浄水器を通した水をリフィルすれば何度でも使える水ボトルで、水の販売のみならず浄水器の販促としても好影響を与えてくれそうな商品です。

100%リサイクル可能なアルミを素材とするボトルで、注ぎ口は大きめな作りのとても丈夫なボトルになっています。このようなアルミのボトルはアルミの特性で、プラスチックボトルよりも冷える速度がとても速いのも利点です。

スーパーのプライベートブランド

サステナビリティを掲げる新旧、大小様々な企業が次世代の環境に優しいサステナブルなボトルの開発や普及に取り組みはじめていますが、そんな動きはアメリカの大手スーパーマーケットのプライベートブランド商品にも波及しています。ホールフーズでは再利用できるアルミボトルのプライベートブランド商品も登場し拡大を見せています。

使い捨てプラスチック容器などによる利便性にすっかり慣れてしまった消費者が多い現在、サステナビリティとのバランスを保つ理想の社会を実現するのは容易なことではないかもしれません。そんな中各飲料メーカーができることをしていこうという責任と使命のもとに、よりよいパッケージの改良とシステムの構築に励み、企業努力を続ける姿勢が見られます。サステナビリティの実現は企業側の改革だけでは実現できません。

消費者側のマインドの変革も必要であり、消費者にとって負担が大き過ぎると実現は難しいです。今回紹介したようなリーゾナブルな価格でリユーズボトルの商品を普及させることができればよい変化の一歩となるかもしれません。多くの企業や団体の様々な試みの中から、人々の意識や行動の変化を促すことができ、さらによりクリーンな新テクノロジーの開発に繋がっていけばよりサステナブルな社会に近づいていけるのではと期待が膨らみます。

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