アメリカで、近年大人気となっているのがサラダ専門店です。
アメリカで思い浮かぶ定番グルメと言えば、ハンバーガーやホットドッグなどのファーストフードと言う人も多いと思いますが、現在ではすっかり変化し、アメリカではサラダ専門店をはじめとしたヘルシー志向のファーストカジュアルレストランがとても増えています。特に、ニューヨークをはじめアメリカの都市部では、ヘルシー志向の人が増えており、サラダは定番の食事になっています。
日本でサラダというと、前菜のひとつのような添え物の一皿のように思われるかもしれませんが、アメリカでサラダを食べるときは、かなりボリューム満点の一品になり堂々と食事のメインとして頂きます。アメリカを代表するサラダ専門店をはじめニューヨークで存在感のあるヘルシーなファーストカジュアルレストランや、それぞれのお店で使用されている環境に優しいサステナブルなパッケージについて紹介します。
sweetgreen
近年急増しているファーストカジュアルのサラダ専門店の代表的存在がsweetgreen です。
2006年に創業、2007年にワシントンDCに一号店がオープンして以来、成長を続け2023年現在では、全米に200店舗以上、ニューヨークでも、40店舗近く展開しています。全てのサラダ専門店にも共通していますが、主に大都市のオフィス街や、オフィスワーカーが多く住むエリア、旅行者の多いお洒落なエリアに出店しており、いくつものサラダ店が隣同士に並んでいる姿もよく目にします。
ナチュラルウッドで広々とした解放感のある雰囲気のお店になっていて、忙しい中ヘルシーな食事を短時間で美味しく食べたいというオフィスワーカーの心を捉える存在になっています。
どこのサラダ店も基本的にはカフェテリア形式で、サラダを中心にプロテインやトッピングなど様々な食材が用意されていて、カウンター越しに順番に対面でスタッフと会話しながら、その場でサラダを準備してもらいます。
具材が決まっているセットメニューの他、好きなものをつけ足したり、苦手なものを除外したりとカスタマイズすることもできます。
それぞれのサラダ専門店の選択肢豊富の個性豊かな美味しいドレッシングも魅力となっています。それぞれのサラダ屋さんで多少違いがありますが、$15前後が標準の値段帯となっています。
アメリカのヘルシー志向の人々は、地球温暖化や海洋汚染などの環境問題にも関心が高い人が多いです。そのためプラスチックの使用を控えるなど、どのサラダ店もパッケージに工夫を凝らしており、植物繊維や紙などをベースに作られたエコな素材のパッケージ、パルプモールドが使用されています。
パルプモールドは主に紙ベースですが、アメリカではその他、紙を含む植物繊維全般を原料とした容器をMolded fiber と表現することが多いです。
紙や食物繊維をベースにしたパッケージでは、水が沁み込まないようにする工夫として、有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)がよく使用されていました。
ですが健康への懸念があることがわかり、PFASを使用しないパッケージへの移行が進められています。sweetgreenでは、プラスチック削減を目指した代替パッケージで知られるFootprint社のPFASを使用しない植物ベースのパッケージが採用されています。
Just Salad
サラダ店は、人々にヘルシーな食事を提供することだけが理念ではありません。
人々の健康への配慮だけでなく、地球・環境に対しても優しく、サステナブルであることも大切にしています。使い捨てのプラスチック容器を使用せず、パルプモールドの使い捨てパッケージがスタンダードとなっていますが、そんな中、使い捨てにはせず、ごみを出さない、再利用可能なサラダボウルを導入しているサラダ専門店があります。
きれいなブルーの再利用可能なサラダボウルを提供しているこちらのお店はJust Saladです。Just Saladは、2006年にニューヨークのマンハッタンに一号店が登場して以来、成長を続け、現在ではニューヨークに30店舗以上、ニューヨーク周辺、シカゴ、フロリダ州などに50店舗以上あります。
店内で飲食する場合、通常は洗って何度でも使える食器でサラダを提供してくれます。テイクアウトの場合は、使い捨てのパルプモールドの容器が使用されますが、再利用可能なボウルを選ぶこともでき、$1で購入できます。
最初に$1を払って購入すると、次回からこのサラダボウルを持ってサラダを購入しに行くたびに、1つ無料でトッピングを付けてもらえるなどの特典がつきます。ボウルを破格で購入でき、さらにその後も有料のトッピングを毎回無料でもらえるため、お客さんにとってはお値段以上の価値があります。このサラダボウルの提供は、人々の環境配慮への意識を高め習慣化させるために企業が率先して取り組んでいる一例と言えます。
繰り返し使用できる耐久性のある、しっかりとした容器です。ボウルの素材はプラスチック製になってしまいますが、蓋を止めるしっかりとしたクリップも付いており、密閉性も高く、テイクアウト時に横に倒れることがあっても水分がこぼれません。
サラダボウルだけでなく、お店で提供されるストローも他店とは意識の違いが見られます。ストローは、バンブー製のエコストローです。竹の繊維を使って作られた再利用可能なストローで、とても丈夫で使い心地もとてもいいです。
Chopt
今でこそ、色々なサラダ店が街中に並んでいますが、そんなサラダ店の先駆けとなったお店が2001年に創業したChoptです。2023年現在ニューヨークには30店舗弱、アメリカ東海岸の都市部を中心に全部で90店舗程あります。Choptはお店の名前の通り、すべての野菜を切り刻んで、食べやすい形にして提供してくれるサラダ店です。
カウンターで好きなサラダメニューを注文、または、目の前に並ぶ好きな食材を選ぶことができるカスタマイズという形でオーダーし、選んだ野菜を仕上げとして大きなサラダ包丁でザクザクと切り刻み、ボウルに入れてくれます。どこのお店へ行ってもそうですが、ドレッシングは基本好きなものを選ぶことができ、野菜と混ぜてくれます。希望をすれば、ドレッシングを別の容器に入れてもらうこともでき、自分で味の調整をすることもできます。
このようにChoptは、サラダを刻み、どんぶりのような特大サイズのボウルに入れて提供してくれるため、とても食べ応えのあるサラダになります。サラダメニューも、シーザーサラダやコブサラダのようなクラシカルなアメリカンなテイストの品揃えが豊富なのも特徴です。
Choptは、エコな紙ストローを採用しています。
DIG
DIG は、2011年にニューヨークで創業したファーストカジュアルのサラダ店で、ニューヨークに20店舗弱ある他、ボストンやフィラデルフィアなどニューヨーク周辺の都市にも拡大しています。
他のサラダ店と一番違う点は、生野菜に加えチキンやサーモン、調理した野菜など選択肢豊富なボリューム感のあるサイドを提供していることです。そのため、サラダをメインに食べることに抵抗がある人にも馴染みやすいお店になっています。
調理された栄養価の高いケールのサラダや、季節の野菜をローストしたスイートポテトやブロッコリーのロースト、またサラダ店では珍しいマカロニ&チーズなども選ぶことができ、たっぷりとボウルに入れてくれるのでとても食べ応えがあります。
NAYA
インターナショナルな街、ニューヨークでは各国料理の特色を生かしたサラダも色々登場しています。中でも人気なのが中東レバノン料理のファーストカジュアルレストランNAYAで、ニューヨークに15店舗以上ある他、ニューヨーク周辺の州にも進出しています。
中東料理ということで、サラダ一択だけではなく、ピタパンやライスもベースとして選択することができるので、サラダ好きだけでなく幅広い人の好みに対応できるお店になっています。ひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」や、ビーフやチキンの塊を回転させてグリルした「シャワルマ」、ラムとビーフのミートボール「カフタ」など中東料理の定番メニューをトッピングとして選ぶことができます。
お店は白を基調とし、ディスプレイにはグリーンも取り入れた明るい雰囲気のお店になっています。家族連れのお客さんも多く、お店がとても賑わっていました。安くてボリューム満点の人気のお店です。
トマトやキュウリ、オリーブなどのフレッシュな野菜に加えて、中東でお馴染みのフムスやババガヌーシュ、フェタなど10種類以上もあるトッピングをひとつひとつ入れるか入れないか丁寧に聞いてくれて、好きなだけトッピングを追加してくれる人気店です。
CAVA
CAVA は、2011年に創業したワシントンDCを拠点とするギリシア・地中海料理のファーストカジュアルレストランで、現在全米で400店舗以上、ニューヨークには、15店舗程あります。ギリシア風サラダなど純粋なサラダの他、ピタに挟む形で注文することもできます。地中海料理なのでチキンの他、中東料理のNAYA 同様、ファラフェルやラムボールなども選択することができます。
選べる具材のバラエティが多く、見た目も美しいサラダを提供している人気のお店です。
CAVAも、環境に優しいエコな素材のパッケージを採用しています。サトウキビの搾りかすの繊維を使って作られたバガス容器で、パルプモールド同様、可燃ごみでも処理でき、埋め立てでも堆肥化可能な環境に優しい素材でできています。
ストローも紙ストローを利用していますが、デザイン性も高い、お洒落なブラックのストローを使っており細かい所までエコとデザインのバランスを意識しています。
フォークは、プラスチックのものを提供しているお店が多いですが、CAVA はプラスチックの使用量を減らすためにバイオマス素材であるPlant Starch Material のものを提供しています。
Plant Starch Material は、主に再生可能なトウモロコシやジャガイモなど野菜の繊維を使用しますが、耐熱性などを確保するためフィラーとしてポリプロピレンなども30%程使用されています。
スーパーマーケット
便利な食事用のサラダというと、従来はスーパーマーケットで購入する人が多かったですが、今ではサラダ専門店が色々と登場して来ているため以前と比べるとスーパーで購入する人は減っている印象です。それでも、スーパーマーケットはやはり利便性が高いため、現在でも色々な種類のサラダが並んでいます。
サラダ店では、環境を意識したエコなパッケージが使用されるようになってきていますが、スーパーのサラダコーナーはどうなっているでしょうか?
Whole Foods などアメリカの大手スーパーマーケットでは、好きな具材を自由に取って購入することができるサラダバーがあります。
スーパーのサラダバーで利用する容器は、環境に配慮したリサイクルペーパーで作られたこちらのようなボックスがよく使われています。
サラダバー以外のパックになって販売されているサラダに関していうと、従来通り使い捨ての透明のプラスチックのパックで販売されています。
作り置きのため、水分が沁みないということと、透明で中身が鮮明にわかるという点で、やはり利便性のいいプラスチックの容器が採用されるのかもしれません。
一方、ファーストカジュアルのサラダ店各店のパッケージを見比べてみますと、それぞれ容器の形状が個性的で、材質も若干異なりますがエコフレンドリーの意識は共通しています。
どのお店もプラスチックを使用せず、パルプモールドのパッケージが使用されています。
アメリカでは、健康や環境問題への意識の変化からサラダ専門店をはじめヘルシー志向のファーストカジュアルレストランが急激に存在感を増して来ています。
日本の感覚では、食事としてサラダだけを食べるというのは物足りないのでは?と思う人も多いかもしれませんが、実際にはどこのお店もボリューム満点の美味しいサラダを提供していて、バラエティが多く、試してみるとハマってしまう人も多いと思います。
そんなヘルシー志向のファーストカジュアルレストランでは、新鮮で美味しい、そして安全なローカル食材を提供することに加え、環境に優しいサステナブルなパッケージへのこだわりも差別化するための大切なブランディングの一部になっています。
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