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ポルトガルのかわいい魚介缶詰パッケージ

パケトラ読者のみなさま、こんにちは。ポルトガル在住の東リカです。

シーフードがおいしいことに定評のあるポルトガルは、魚介類の缶詰大国でもあります。

今回は、おみやげにも人気のかわいい魚介缶詰パッケージについてお伝えします。

人気急上昇中のポルトガルの魚介缶詰

店内は色鮮やか

魚介缶詰ブランド「ザ・ファンタスティック・ワールド・オブ・ポルトギーズ・サーディン」のオビドス店
写真提供:The Fantastic World of the Portuguese Sardine

海洋国ポルトガルでは、鉄器時代から沿岸で取れたイワシを塩漬けにしてきたほど、はるか昔から魚介類を保存して食べる習慣があります。魚介の缶詰も19世紀初頭に登場して以来、当然のように国民の生活に根付いています。スーパーマーケットはもちろん、お土産物屋さんでも扱っていますし、缶詰の専門店や缶詰を食べられるバーもあります。

リスボンの缶詰専門店

リスボンの缶詰専門店「ロジャ・ダス・コンセルヴァス(Loja das Conservas)」
筆者撮影

また、近年は、海外からの観光客の増加や人気の缶詰専門店「ザ・ファンタスティック・ワールド・オブ・ポルトギーズ・サーディン」がニューヨークのタイムズスクエアに出店したこともあり、世界からも注目されるようになってきました。

種類、味、栄養価、利便性、伝統などさまざまな魅力のあるポルトガルの魚介の缶詰ですが、今回は特にパッケージのかわいさに絞って紹介したいと思います。

女神を描いた紙で包まれた缶詰

ミネルヴァのツナ缶

ミネルヴァのツナ缶
筆者撮影

まずは、大手スーパーマーケットからお土産物屋さんまで、かなり広く浸透した1942年創業の老舗ブランド、「ミネルヴァ(Conservas Minerva)」。

缶詰は、ブランド名でもあるローマ神話の知恵、芸術、戦争の女神「ミネルヴァ」の描かれた包装紙で包まれています。イワシ、タラ、ツナ、サーモンといった魚の種類や、オリーブオイル、トマト味などフレイバーによって、色やデザインが異なります。

色やパターン違いのサーモンやイワシの缶詰

色やパターン違いのサーモンやイワシの缶詰
筆者撮影

それほど高価な商品ではありませんが、レトロな雰囲気の女神があしらわれていることで、エレガントな雰囲気になっています。
(参照:https://www.instagram.com/minerva_conservas/

タイル模様がおしゃれな缶詰

タイル模様の缶詰はギフトボックスに入ると絵画のようになる

ギフトボックスに入れても絵になる缶詰
筆者撮影

続いては、アメリカ、イギリス、フランスなどへの輸出も多いポルトガルを代表するブランド、「ブリオーザ(Briosa)」。

ポルトガルはタイルが有名ですが、その美しいタイル模様をあしらっています。こちらは、エイやイワシの卵など珍しい魚もあり、種類が多いのですが、それぞれの違いはタイルの色味に反映されています。特にギフト用ボックスは、魚介缶詰というよりもおしゃれなトイレタリーのような雰囲気ですね。
(参照:https://www.instagram.com/briosa.gourmet/?hl=pt

天然の魚介類、着色料・保存料不使用にこだわった伝統的な魚介缶詰&パテブランド「マナ(Manna)」は、2022年にパッケージを含め、ビジュアルを一新。スーパーなどにも置かれている商品なのですが、シンプルでモダンな紙箱のパッケージは、魚介缶詰というよりも、まるでトイレタリーやスイーツのようで目を惹きます。紙箱はよく見ると、背景が鱗模様になっています。

イワシのイラストを直接プリント

カラフルなイワシ缶

フレイバーも分かりやすいコンチネンテのイワシ缶
筆者撮影

ポルトガルを代表するスーパーマーケットチェーン、「コンチネンテ(Continente)の自社ブランド(PB)のイワシ缶詰はイワシのイラストが缶に直接プリントされたもの。

日常使いには、このタイプが最も主流だと思います。

ストレートにイワシのイラストをあしらったものとして、他にも「ドリタ(Dorita)」や「ボン・ペティスコス(Bom Petiscos)」をスーパーで見かけました。

ドリタのイワシ缶詰

カラフルなイワシがいい感じ
筆者撮影

ボン・ペティスコスのイワシ缶詰

缶のシルバーを活かしたボン・ペティスコスのイワシ
筆者撮影

どちらのイラストもちょっとレトロなテイストでかわいいと思いませんか。

ボートのイラストが描かれていて一見何の缶詰かわからない

ピンゴ・ドーシは中身のイワシではなくボートを採用
筆者撮影

ちなみに「コンチネンチ(Continente)」と並ぶポルトガルの大手スーパーマーケットチェーン「ピンゴ・ドーシ(Pingo Doce)」のPBイワシ缶詰は、ボートのイラストのパッケージでした。

アートである缶詰パッケージ

イラストが可愛い缶詰のパッケージ

イラストレーターが腕を競うアートなパッケージ
写真提供:Jose Gourmet

海外への輸出も多い、品質にこだわった高級魚介缶詰「ジョゼ・グルメ(Jose Groumet)」はパッケージにもその品質を反映しようと、ポルトガルの人気デザイナーが創業当初からアートディレクションを手がけています。

イワシとレモンが描かれている

サーディンとレモンのオリーブオイル漬け缶詰
写真提供:Jose Gourmet

当初の缶詰は、絵本作家Eugénio Roda氏を起用し、各缶詰の素材をインスピレーションにした短い文章を制作。例えば、サーディンとレモンのオリーブオイル漬けであれば、レモンとイワシが恋をして、互いに陸と海を訪ねるストーリーが制作されました。

そして、各ストーリーごとに異なるイラストレーターが起用され、ストーリーをインスピレーションにしたイラストを手がけました。紙箱に貼られたその個性的なイラストは、集めたくなるほどです。

(参照:https://www.instagram.com/jose.gourmet/

店頭で包装も行うリスボンの老舗

猫や婦人のイラストで缶詰の見た目とは遠い感じがする

レトロな包装紙がかわいい老舗の缶詰
筆者撮影

リスボンのダウンタウンにある「コンセルヴェイラ・デ・リズボア(Conserveira de Lisboa)」は、1930年から営業する老舗缶詰店。

このお店では、店先で店員さんが手作業で缶詰を包装する様子を見ることができます。

 

紐でラッピングして海外感が満載

購入した商品のラッピングもお願いできます
筆者撮影

また、購入した缶詰をさらに可愛くラッピングもしてくれます。これは、ギフトにしてもきっと喜ばれるのではないでしょうか。

金の延べ棒&誕生年も見つかるユニークなパッケージ

最後は、冒頭にお伝えした「ザ・ファンタスティック・ワールド・オブ・ポルトギーズ・サーディン」の商品を2つ紹介します。

黄金に輝く缶詰の塊

金の延べ棒のような最高級イワシ缶詰「Portuguese Gold」
写真提供:The Fantastic World of the Portuguese Sardine

いくつものユニークなパッケージを手がけるこのブランドですが、「我々の海の女王ことイワシに捧げた」という最高級ラインの「ポルチュギーズ・ゴールド」は、まるで金の延べ棒のようなパッケージです。中身は、骨と皮を1匹ずつ手作業で取り除いたイワシのエキストラオリーブオイル漬けで、上に金箔を散らしてあるんだとか。ちなみにお値段は1缶22ユーロ(2024年5月現在約3,700円)

タイムカプセルのような見た目の缶詰

毎年新たな年号が増える「Timeless Sardines」シリーズ
写真提供:The Fantastic World of the Portuguese Sardine

もう1つは、「タイムレス・サーディン」シリーズ。

このシリーズでは1916年以降の全ての年号が存在します。そして、それぞれの缶には、その年の歴史的な出来事やその年に生まれた有名人の名前なども記されています。もちろんこれらの年号は製造年とは無関係。生まれ年や何かの記念の年などのギフト需要を狙ったマーケティング戦略の一環です。

店内にずらりと並ぶ年号の缶詰は圧巻。自分にゆかりのある年号を見つけると思わず手にとってしまいますよね。

他にも、まだまだかわいい缶詰のパッケージはあるのですが、キリがないので、今回はこの辺にしておきます。

ポルトガルの魚介缶詰の人気を後押しするパッケージ。やっぱり見た目の力は大きいですね!

 

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