ニュージーランドといえば、ワインの産地として有名ですが、実はクラフトビールの醸造も盛ん。街のスーパーでも、簡単に買うことができるのが特徴で、スーパーマーケットには個性豊かなビールが並んでいます。
少量の醸造だからこそ出せる、個性的なビールのフレーバーを楽しむことができます。
そんなクラフトビール会社の中でも、人気のメーカーのひとつが「GARAGE PROJECT(ガレージプロジェクト)」。
そのユニークな商品作りは、ビールの味だけでなく、パッケージのデザインにも反映されています。今回はそんな「ガレージプロジェクト」の個性が光るパッケージについて紹介していきます。
「ガレージプロジェクト」について
「ガレージプロジェクト」は、ニュージーランドの首都、ウェリントンの小さな醸造所からスタートしました。現在はウェリントンに3店舗、オークランドに1店舗直営店があります。0.5%の低アルコールのビール、ワイン、セルツァーと呼ばれるアルコール入りの炭酸飲料等を販売しています。
前述の通り、ニュージーランドでは、クラフトビールをスーパーマーケットで簡単に手に入れることができます。遠くの店舗に行く必要がないので、とても身近な存在です。種類が多く、毎回棚の前でどれにしようか悩んでしまいます。
統一感ゼロのパッケージの数々
通常、同じ会社から出るビールのパッケージは色味や雰囲気、キャラクターなど統一感を持たせることで、会社の個性を表現していることが一般的です。
しかし、「ガレージプロジェクト」のビールのパッケージを見てみると、そんな統一感とは無縁のデザインになっています。そんなバラエティ豊かなパッケージについて、紹介していきます。
「ガレージプロジェクト」のビールの中で、1番よく目にするのがこの「PARTY & BULLS#!t」というビールです。マンゴーとトロピカルフルーツの味が詰まったジューシーで飲みやすいビールです。パッケージもパステルカラーを基調としたポップで遊び心のあるデザインで、手に取りやすい印象を与えています。
次に紹介するのは、先ほどの「PARTY & BULLS#!t」とは違いシンプルなデザインのビールです。分かりやすい、白や黒の背景に一言「BEER」とだけ書いてあります。
ユニークなデザインが多い中、このような余白のあるシンプルなデザインは目に留まりやすいです。
この商品は見た目の通り、シンプルなラガービールです。材料も、モルト、ホップ、酵母のみ。ビールの中身を1番わかりやすく伝える方法として、このパッケージデザインが採用されています。
こちらはゲームの画面のようなデザインの缶です。商品名の「BOSS LEVEL」からわかる通り、8.5%とビールの中では高アルコールです。パッケージに大きく描かれた強力なボスのイラストが、そのビールのハードさを表しています。
「ガレージプロジェクト」のホームページにも、「大量の麦芽を投入し武器化されたホップの火力を詰め込んだ」と強い表現がされています。
IPAを飲み続けた人が楽しめる、最強のIPAと言えます。
白と黒のウサギが可愛いこのデザインは、サワービールと呼ばれる、通常のビールよりも酸味の強いビールのパッケージです。
白桃をブレンドしており、塩味と甘味、酸味のバランスのとれたビールで、パッケージのデザインからも女性に好まれそうな可愛らしさがあります。
まるで絵本のようなデザインのこのビールは、「TREE HUGGER」という名前で、「ガレージプロジェクト」の中でも、環境に配慮して製造された商品です。100%ニュージーランド産の原料を使って作られたビールで、パッケージには最小限のインクで描かれたデザインを採用しています。
6缶パックの売上げごとに、1ドルがニュージーランドの植木プロジェクトに寄付される仕組みになっています。
レトロでポップなデザイン
個性豊かな「ガレージプロジェクト」のビールでも、懐かしさの感じられるレトロでポップなデザインは人気で、数多くのビールに採用されています。
まず紹介するのは、「Good Shout」というビールです。アイボリー色の背景に、彩度の低いブルーとオレンジを組み合わせることによって、レトロ感を演出しています。
また、太くしっかりとしたフォントからも、懐かしい雰囲気を感じることができます。1缶わずか92kcalで、低グルテン、低炭水化物でもあるため、罪悪感なく飲むことのできる商品です。
次に紹介するのが、「PERNICIOUS WEED」という、IPAです。
このデザインは、アメコミのような原色の多い色合いで描かれています。
強めのビールということもあり、全体的に暗く、ホラーのような恐怖を感じるデザインになっています。
3つ目のレトロ感漂うデザインのビールは、ニュージーランドのロックバンド「The Phoenix Foundation」 と「Beervana 2020」という、ニュージーランドのウェリントンで毎年開催されるクラフトビールフェスティバルのコラボ商品として発売されました。
「The Phoenix Foundation」の2020年にリリースしたアルバムに収録されている、「Transit Of Venus」という曲名がそのまま商品名に採用されています。
目を引く日本風のパッケージ
「ガレージプロジェクト」のビールの中には、度々日本風のデザインのパッケージが見られます。日本風のデザインは、他の商品とは少し雰囲気が違い、目に留まりやすいのはもちろん、海外企業がもつ、日本のイメージもデザインから知ることもできます。
最初に紹介するのは、「WABI SABI SOUR」という、日本らしい名前の商品です。
デザインの下部には着物や手拭いなどにも描かれる青海波柄を使用し、真ん中の文字を大きく囲う筆で書かれたような円によって、柚子のフレーバーをイメージすることができます。商品名も「WABI SABI SOUR」と、日本特有の美意識の象徴ともとれる言葉を使用しています。この侘び寂びの言葉の意味にもある、不完全な美しさをサワービールで表現している商品です。
次に紹介するのが、「YUZUKOSHO」という商品です。
調味料の柚子胡椒と同じく、柚子と青唐辛子、塩を使って製造されています。パッケージは、版を押したような抽象的なデザインで、柚子胡椒と同じグリーン一色で描かれています。
そして、最後に紹介するのが、「BIG FEELINGS」というヘイジーIPAです。
こちらも、フレーバーに柚子が使用されており、日本らしい味=柚子というイメージがニュージーランドで定着しているように感じます。
浮世絵に出てくる波の絵を少しポップにしたようなイラストが描かれています。商品名は、直訳すると「大きな感情」となり、描かれている絵からも、大きな感情の波が押し寄せている様子を表現しているようにも受け取ることができます。
「ガレージプロジェクト」の個性的なデザインは、配色、フォント、テーマや絵のタッチなど、全てが個性的で一つとして同じようなものはありません。
また、デザインはニュージーランドにとどまらず、他の国の文化的要素を取り入れており、味やパッケージにも反映されているため、多くの人から人気を集めています。
同じメーカーであっても、統一感を持たせず、自由な発想で作られる味やパッケージデザインは、出会うたびに新鮮な気持ちで楽しむことができます。
ニュージーランドを訪れた際には一度は試してほしいビールです。
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