前回は持続可能な包装について整理しましたが、今回は従来アナログ技術を中心に展開されてきたパッケージにデジタルテクノロジーがもたらす新たなインパクト、コネクテッドプラットフォームについて整理します。
1.スマート包装
マーケティング担当者は、QRコード、AR、VRなどの最新技術を活用してパッケージの機能とデザインを強化し、消費者とブランドの世界を結びつけています。
かつてトヨタの看板方式に対応するためにデンソーが開発したのがQRコードですが、この技術をマーケティングやパッケージに取り入れたのは意外にも海外でした。
非営利情報標準化組織GS1はバーコードの使用開始から50周年の記念日に調査を行い、買い物客の79%がスキャン可能なバーコード/QRコード(スマートフォン経由)のある商品を好んでいることを確認しました。
物流面は、無線周波数識別(RFID)タグとIoT対応のパッケージが、サプライチェーンの最適化と損失の削減に役立っています。改ざんの有無を告知したり、温度変化を追跡するパッケージは、企業が在庫を管理し、顧客満足度を確保する方法を変革しています。
スマートパッケージはテクノロジーだけでなく、消費者体験の向上にも貢献しています。テクノロジーで強化された機能が、利便性、安全性、楽しさなど、顧客の求める価値を拡大します。また、膨大なデータを収納する情報コードやラベルによって法規制や、情報提供をデジタルコードに委嘱することによってパッケージの表示面を解放し、ミニマルでパーソナルなパッケージデザインを展開することができるようになりました。
2.偽造防止パッケージ
MarketWatchによると、消費財市場における世界の偽造防止パッケージは、2022年から2030年の間に大幅な拡大が予測されています。この市場は2022年に931億4,000万ドルと推定され、2023年から2029年の予測期間中に10.2%のCAGR(年平均成長率)で成長し、2029年には1,668億1,000万ドルに達すると予測されています。
北米が25%以上のシェアを占め、ヨーロッパと中国が続き、合計で約50%のシェアを占めています。用途別に見ると、食品・飲料業界が最大のシェアを占め、電子機器、電化製品、衣料品が続きます。偽造品を見分けるのは非常に難しく、ホログラフィックラベルには、専門知識がなければ再現が難しい高度な視覚的および機能的特徴が組み込まれています。高セキュリティホログラムには、複雑なデザイン、マイクロテキスト、シリアル化されたコードなどが組み込まれており、真正性の視覚的確認とデジタル検証が可能です。
今日のホログラムラベルは、デジタル認証を提供するQRコードまたはNFCチップが統合されています。スマートフォンでこれらのコードをスキャンすると、製品の真正性を確認する公式Webページに接続されます。一部のホログラムには、改ざんの試みによって変化または破壊される自己破壊要素が含まれているため、ラベルが削除または変更されたかどうかが一目瞭然です。
米国のAlitheonは、光学AIを搭載し、各オリジナルを識別してアイテムの真贋を検出するFeaturePrintという特許取得済みシステムを導入しました。
FeaturePrintは、指紋と同じような機能を提供する高度なマシンビジョンテクノロジーです。FeaturePrintはアイテムにシリアル番号を付けることによって商品の追跡が可能で、偽造品が排除され、人的エラーが減ります。この技術は、標準カメラで撮影した写真だけで実現できます。偽造防止の仕組みについては欧米がコスト的にも安いホログラムシールを使うことが多いのに対して、中国はスマホによる真贋判定を重視しています。
3.QRコードとAR(拡張現実)を活用したプロモーション
飲料メーカーや食品メーカーが製品の包装にQRコードを印刷し、スマートフォンでスキャンすることで、製品の詳細情報、レシピ、ブランドストーリー、さらにはARを使ったインタラクティブな体験を提供します。ペプシコ社はARを活用して、消費者がスマートフォンを通じてバーチャルコンテンツを楽しめます。
米国のNikeは店舗、製品やタグ、パッケージなど、さまざまな場所でQRコードを導入しています。パッケージ上のコードにより、限定コンテンツ、特別オファー、製品リリースの最新情報を提供し、Nikeの靴のカスタムデザインを提供しています。
コカ・コーラとモンデリーズ・インターナショナルは、限定版のコカ・コーラ/オレオ共同ブランドの製品のパッケージにQRコードを使用しました。消費者はコードをスキャンすることで、友情をテーマにしたカスタムSpotifyプレイリストを作成できます。
また、コカ・コーラが新たに発売した限定版「スターライト」は、ポップスターのエイバ・マックスのコンサートを缶やボトルをスキャンするだけで、特別席で鑑賞することができます。
4.デジタルでリサイクル推進
欧州ブランド協会はデジタルウォーターマークを活用してリサイクルを支援しています。ハイネケンは、デジタルウォーターマークをビールボトルに導入し、リサイクル時の分別を容易にしました。
米国のダノンはリサイクルガイド「How2Recycle Plus」プログラムを採用し、新しいSilkブランド製品のパッケージに、リサイクルチェックのQRコードラベルを付加し、動的に更新されるデータベースから地元のリサイクルに関する情報を提供して、利便性の提供とともに、ブランドの差別化や環境への配慮を勧めています。
軟包装は米国の包装市場の21%、食品包装市場の6%を占めていますが、オレゴン州やコロラド州では、拡大生産者責任(EPR)イニシアチブに軟包装は含まれておらず、実施が保留されています。これは主に軟包装が包装の削減または最小化を確保しているためであると考えられますが、消費者調査ではEPRをすでに実施している他の国と同様に、米国のプログラムに軟包装を含める必要があると認識されています。
消費者は、リサイクル対応パッケージへの移行をさらに進め、リサイクル可能なものをより容易かつ簡単に分別し、AI支援による分別を行えるようになります。具体的には、リサイクル用ゴミ箱に入れる前に分別する必要がある容器の直感的なデザインやフォントサイズの拡大などが挙げられます。
5.コネクテッドパッケージが開封体験を延長
これまでパッケージの開封は顧客の購入プロセスの最終体験でしたが、QRコードによってそのプロセスが延長されました。QRコードで顧客は限定コンテンツ、製品情報、特別オファー、チュートリアル、VR(仮想現実)およびAR(拡張現実)体験にアクセスできるようになり、次の消費者エンゲージメントと売上につながります。
米国では消費者向けパッケージに50年間使用されてきたUPCバーコードに代わって、より汎用性の高い新しいQRコード(Sunrise 2027)が導入される予定です。この新しい2D QRコード(デジタルリンク)は、POS(販売時点管理)スキャナーで読み取ることができ、POSや開梱時を超えた顧客体験を拡張および強化するための継続的な取り組みをサポートします。
ブランドがWeb 3.0の時代を進み続ける中、コネクテッドパッケージング技術は顧客の期待を上回るように進化しています。コネクテッドパッケージングは、消費者の行動、製品の使用状況、市場動向に関するインサイトを得るために分析できる貴重なデータを生成できるまで機能を拡大しました。企業にとっては、より情報に基づいた意思決定とパーソナライズされたターゲティングが可能になります。今日のカスタマージャーニーは開封で終わるのではなく、永続的なブランドロイヤルティへの道につながります。
6.Sunrise 2027
GS1デジタルリンク2Dバーコードと標準化されたQRコードは、50年の歴史を持つUPCバーコードに比べて大きく進歩しています。小売業者は、業界関係者と協力してデジタル標準を設定する世界的な非営利団体GS1が推進する業界主導の取り組みであるSunrise 2027の導入に向けて準備を進めています。
GS1は、商用製品に世界で唯一のバーコードを保証するユニバーサルプロダクトコード(UPC)団体です。次の主要な更新は、GS1のSunrise 2027イニシアチブとして近づいています。小売業者が従来のUPCから、標準化されたQRコード形式を組み込んだ新しいDigital Link 2Dコードに切り替える予定が近づいています。
Digital Link 2Dバーコードが広く導入されると、従来のUPCの機能を超えたアプリケーションが可能になります。具体的には、賞味期限のデータ収集による生鮮食品管理の改善、消費者に直接送信されるリコール通知、顧客エンゲージメントの向上などが含まれます。
デジタルリンクが解決する最大の課題は、UPCのデータ容量が限られていることで、プーマ、ペプシコ、P&Gなどの大手ブランドは、独自に改善を進めています。
(以下youtube参照:https://www.youtube.com/watch?v=6NrvX3ifofc)
従来の UPC バーコードは、移行期間中は2Dコードと併用されます。
GS1は、「コネクテッドエクスペリエンス」SaaSプラットフォームおよびコンサルティングパートナーであるio.ttなどの企業と戦略的提携を結び、販売時点におけるGS1が提供するQRコードの受け入れの移行を容易にし、ファーストパーティのデータ収集を通じて消費者のエクスペリエンス、ロイヤルティ、エンゲージメントの向上を進めていきます。GS1は、小売業者に移行を支援するための技術リソースも提供しており、その中にはGS1バーコード構文エンジン、テストキット、ソフトウェアライブラリなどが用意されています。
7.NFC(近距離無線通信)タグ
NFCタグを包装に組み込み、スマートフォンでタップするだけで製品情報やプロモーションにアクセスできます。
テキーラメーカーのOtaca Tequilaは、世界的なデジタルセキュリティおよびIDプロバイダーであるIdentivと提携し、商品の認証、再注文の仕組み、顧客ロイヤルティプログラムを備えたスマートパッケージングを展開しています。
8.IoTを活用した包装
センサーやトラッキングデバイスを組み込んだ包装で、製品の状態(温度、湿度、開封状況など)をリアルタイムで監視します。医薬品業界では温度センサーを内蔵した包装を使用し、輸送中の温度変化を監視して品質を保証します。
製造部門ではAIを活用した予知保全ツールが、機械の故障を事前に予測できるため、タイムリーな介入が可能になり、コストのかかるダウンタイムを回避できます。同様に、IoT対応センサーは梱包ラインの状態とパフォーマンスをリアルタイムで監視し、生産スケジュールの最適化や無駄の削減につながります。
機械学習とセンサーは機器メーカーがインテリジェント照明などの機能を備えた、よりスマートな機器開発に役立っています。包装および加工技術協会(PMMI)が作成したホワイトペーパーによると、企業は機械の正常な稼働を確保し、クラウドで利用可能なデータを活用してパフォーマンスを向上させることで、総合設備効率を高めています。
米国のCopper Cane Wines & Provisions傘下のカリフォルニアのワインブランドBöenは、Guala ClosuresおよびSharpEndと提携し、米国で初めてNFC対応のワインボトルを発売しました。このプラットフォームを実現する技術は、Guala ClosuresのNFC統合型ワイン用アルミキャップe-WAK®です。e-WAK®は、ワイナリー専用のNFC統合ワイン用アルミキャップです。キャップをタップするだけで、すべてのワインアプリ、VIPクラブ、ロイヤルティ特典、割引、店内アクティビティ、ソーシャルメディアなどとの連携を進めることができます。
ヨーロッパ初、世界で2番目のアプリケーションとなるNFCテクノロジーを搭載した革新的なアルミ製スクリューキャップクロージャーが、イタリアのVigneti Massaワイン農園で使用され、ワイン栽培、ブドウ園、ブドウの木、テイスティングノート、専門家のレビューに関する情報を含む独占デジタルコンテンツを消費者に提供しています。
NFCシステムは、各ボトルに固有の識別コードを提供するブロックチェーンを使用した偽造防止認証手段としても機能します。また、Vigneti Massaはデータを保護し、リアルタイムでデータを監視できます。
9.Accessible QR
ユニリーバはZapparのAccessible QR(AQR)テクノロジーの利用を拡大し、無料アプリを通じて視覚障害のある消費者にAIを活用した仮想アシスタントを提供します。AQRコードの隅に特殊パターンが適用されており、アクセシビリティアプリを通じて、従来のQRスキャンで検出可能な距離の7倍以上の1.1メートル離れた場所からでもコードが検出可能です。
これらのコードは、コルマンのシンガポールヌードルミールメーカーのパッケージに適用され、今年中にさらに多くのブランドがこれに続く予定です。消費者はパッケージ前面のコードをスマートフォンでスキャンすると、無料のBe My Eyesアプリにアクセスでき、そこで調理手順を読んで説明してくれるボランティアや、レシピや調理プロセスに関する質問に答えるチャットGPT-4機能を使用する仮想AIチャットボットとつながります。Be My Eyesは、視覚障害、弱視、聴覚障害を持つ消費者がボランティア、訓練を受けたカスタマーサポート担当者が、AIからライブでアクセス可能な情報を受け取ることができる無料のアプリです。
10.ヘンケル、R-Cycle、コロゾグループがデジタル製品パスポートを検討
持続可能なソリューションを求める消費者の需要と、生産においてより高い資源効率を求め、より厳しい規制に対処するために、ヘンケル、R-Cycle、コロゾグループはデジタル製品パスポート(DPP)を調査研究しました。DPPには、製品の材料構成、技術仕様、リサイクルの可能性などの情報が含まれます。各製品には固有の識別子が割り当てられており、QRコードやRFIDタグなどのマーキングを介してアクセスでき、バリューチェーンに沿って追跡できます。
各社は共同でDPPをテストし、スタンディングパウチのラミネート加工に使用するLoctite Liofol無溶剤接着剤を実装しました。この接着剤は、耐薬品性と耐熱性を備え、高シール温度での充填品、低温殺菌、高速包装ラインに適しています。
各パッケージには、R-Cycle DPPにリンクされたQRコードが付与されます。これにより、技術データ、安全情報、環境情報に直接アクセスできるようになります。ヘンケルはR-Cycleと協力してこのトレーサビリティを拡大し、製品の廃棄とリサイクルの最適化を目指しています。
11.スマートパッケージング エクスペリエンス
クリエイティブテクノロジースタジオのAppetite Creativeが提携し、ヨーロッパのフルーツジュース製造業者向けに、夏のドリンクテーマでインタラクティブなスマートパッケージングエクスペリエンスを設計しました。
ユーザーがジュースを混ぜて新しい組み合わせを作ることを奨励するこのコネクテッドエクスペリエンスには、ジュース会社の製品を使ったさまざまなデザート、おいしい料理、飲み物のレシピが含まれています。
webアプリに接続されたエクスペリエンスにはQRコードからアクセスでき、顧客はそこでインタラクティブな性格テストにアクセスします。レシピは、製品の好みや顧客が通常飲み物を飲む時間帯など、性格クイズの結果に合わせて調整され、アルコール入りとノンアルコール入りのレシピが生成されます。
コネクテッドパッケージキャンペーンは、店頭の棚に商品情報を掲示するディスプレイやその他のPOS(販売時点情報管理) 資材と連携し、さまざまな商品情報を伝えます。また、より多くの顧客にリーチし、ブランドの認知度を高めるために、デジタルメディアやソーシャルメディアもキャンペーンの一環として活用されます。
12.食品の安全性など、品質に関連する情報センサーIoP
IoPは、インターネットを介したコミュニケーションを強化したインテリジェントパッケージです。自律的なデータキャプチャ、イベント転送、ネットワーク接続、相互運用性を持ち、消費者、小売業者、ブランド所有者、および消費体験が向上します。
作物生産を決定づける光合成や成長などの情報を「見える化」し、インターネットリンクを通じて、センサーがサプライチェーン内で情報を伝達します。RFIDおよびNFC技術を使用して、パッケージに適応させます。賞味期限情報を伝達するためのインターネットリンクは、生産から出荷、消費まで、サプライチェーン内での機敏性と計画性を実現します。
インテリジェントパッケージングは、味、臭い、毒性、鮮度、食品の安全性など、品質に関連する複雑な要素を伝えます。酸素、硫化水素、微生物の増殖によるその他の副産物の検出機能を持つセンサーも使用されており、多くの技術が使われています。
13.スマートインクと温度感知包装
温度変化に反応するスマートインクを使用した包装で、製品が適切な温度で保管されているかどうかを視覚的に確認できます。一部のビールメーカーは、缶のラベルに温度感知インクを使用し、最適な飲用温度になったときに色が変わるようにしています。
食品が安全に食べられるかどうかを判断するために、消費者は通常、印刷またはラベルに表示された「賞味期限」または「消費期限」の日付コードを参照しますが、これらの日付コードは信頼できないものもあります。テクノロジーの進歩のおかげで、特定の包装食品に合わせて設計され、データに裏打ちされたセンサーが実現しました。
英国に拠点を置き、世界中に顧客を持つPragmatIC Semiconductorは、温室効果ガス排出の大きな原因である食品廃棄物の削減に貢献します。
PragmatIC Semiconductorのソリューションは、フレキシブル集積回路(FlexIC)を搭載したRFIDタグをベースとして、従来のソリューションの数分の1のコストで詳細な資産レベルのデータを提供し、大規模な再利用可能なパッケージを実現します。
14.WarmMark QRコールドチェーン監視のためのスマートな接続ソリューション
WarmMark QRは、使い捨てでバッテリー不要の温度センサーで、コールド チェーンの監視に革命を起こします。スマートフォンで操作でき、温度の逸脱を検出し、時間、日付、場所、シリアル番号などの重要なデータを提供します。この情報はSpotSee Cloudにアップロードされ、配送の品質と効率を向上させる実用的な洞察を提供します。
15.RFIDタグと医薬品管理
RFIDタグを包装に組み込み、サプライチェーン全体での製品追跡を行います。
高級ブランドの一部は、RFIDタグを使用して製品の真贋を確認し、偽造品対策に役立てています。無線電波を使ってデータを送受信するRFIDを用いたパッケージングは、病院の手術室で起こる医療ミスを減らすことができるほか、偽造市場での医薬品偽造の解決にも役立ちます。今日のRFID医薬品パッケージにより、病院は自動在庫管理システムにRFIDを統合して、医薬品の在庫と有効期限を100%透明化できます。
病院にとってのメリットは、自動再発注およびリコールプロセス、有効期限管理です。最終的には、RFIDによって実現される高い透明性により、投薬ミスの発生率が低下します。製薬会社にとってのメリットは、偽造品などに対抗するためのサプライチェーンの透明性が向上することです。偽造医薬品は、医薬品サプライチェーン(PSC)が弱い、または管理されていない市場に浸透し続け、より重要な患者層をターゲットにしています。
医薬品は偽造されやすく、その結果は重大です。世界中の医薬品の約10%が偽造品であると推定されており、毎年最大100万人が死亡しています。
製薬業界は最も規制の厳しい業界の1つであり、デジタル化と製薬業界は最適な組み合わせです。
米国では、2013年の医薬品サプライチェーンセキュリティ法(DSCSA)に従い、処方薬を販売するすべての製薬会社は、製造元から薬局または診療所までの追跡を容易にするために、各医薬品ユニットにシリアル番号を付ける義務があります。
しかし、ユーロポール(欧州刑事警察機構)は偽造医薬品の取引が引き続き増加していることを明らかにしています。
近年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより医薬品詐欺が激化しており、医薬品を含む偽造品の流通が新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおける主要な犯罪活動の一つです。
同じユーロポールの報告書によると、偽造されたCOVID-19ワクチンは、使用済みで廃棄された承認済みのCOVID-19ワクチン製品のバイアルを違法に詰め替えたものであることが多く、シリアル化プロバイダーは迅速に行動を起こし、最先端のシステムを研究、設計、提供することができました。これには、マイナス80度までの温度で動作できる新しいパッケージ追跡ラベルシステムの導入も含まれています。
GS1は米国の医療、食品サービス、小売業界が無線周波数識別(RFID)を使用してサプライチェーンの可視性、効率、消費者の安全性を向上できるように支援するガイドラインを発表しています。
16.パーソナライゼーション
デジタル技術により消費者一人ひとりに合わせたパーソナライズ包装が注目されています。eコマース分野では、個々の消費者に合わせたデザインやメッセージが提供されています。
消費者が自分の名前やメッセージを包装に印刷できるサービス(カスタムプリント包装)が増えています。特にギフトや記念品として人気があります。コカ・コーラの「Share a Coke」キャンペーンでは、ボトルに個人の名前を印刷し、大成功を収めました。このキャンペーンは現在も続いており、さまざまな国で展開されています。
17.デジタル印刷技術
デジタル印刷技術を活用し、小ロットでも経済的にパーソナライズされた包装を提供できるようになりました。ネスレは、キットカットの包装にデジタル印刷技術を採用し、消費者が自分のメッセージや写真を入れたパッケージを注文できるサービスを提供しています。ビューティーブランドのBirchboxは、会員の好みに基づいてパーソナライズされた商品を定期的に配送し、包装にも個人の名前を入れることで特別感を演出しています。
デジタル印刷は、ユニークなデザイン、パーソナライズされたメッセージ、可変データ印刷を通じて、魅力的で文字通りユニークなパッケージ製品を作成するためのブランドに新たなカスタマイズオプションをもたらします。
Tetra Pak Custom Printingは、紙ベースの飲料用カートンの環境上の利点をすべて備えながら、革新的でコスト効率が高く、カスタマイズ可能なシステムをブランドに提供します。このソリューションにより、ブランドはさまざまなデザインや限定版パッケージを活用し、マーケティングとメディアミックスを次のレベルに引き上げます。
18.AR(拡張現実)を活用したパーソナライゼーション
AR技術を使って、包装をスキャンすることで個別化されたコンテンツを提供します。
ペプシコは、ARを活用したキャンペーンを実施し、消費者がスマートフォンでスキャンすると、パーソナライズされたビデオメッセージやゲームを楽しめるようにしました。
19.オンラインツールを使ったパーソナライゼーション
ブランドのウェブサイトやアプリで、消費者が自分でデザインを作成して、パーソナライズされた包装を注文できるサービスが好調です。
マースは、M&M'sのオンラインツールで、消費者が自分の好きな色やメッセージを選んでパーソナライズしたチョコレートを注文できます。
デジタル印刷とインクジェット印刷の長所を組み合わせたダイレクトパッケージ印刷技術は、少量の高級カスタムパッケージを必要とする小規模ブランドオーナーの間で人気が高まっています。LSINCのダイレクトオブジェクト印刷技術により、ブランド所有者やパッケージサプライヤーはラベルを使わずにボトルや缶に直接印刷できます。
20.限定版とコラボレーション
有名アーティストやインフルエンサーとのコラボレーションにより、限定版のパーソナライズパッケージを提供します。アディダスは、有名アーティストとのコラボレーションで、限定版のシューズの包装をパーソナライズし、特別感を演出しました。
著名なミュージシャン兼デザイナーのファレル・ウィリアムズはevianと提携して、位置情報に基づいた健康とウェルネスのヒントを提供するスマートパッケージを開発しました。ボトルの側面に印刷された QRコードを通じてデジタル体験にアクセスできます。デジタル体験では、「Droplets of Youth」の健康とセルフケアのヒントが紹介されます。
英国を拠点とするマーケティング代理店SharpEnd は、モノのインターネット(IoT) テクノロジーを使用して、消費者がブランドとつながる物理的なタッチポイントとしてパッケージングを活用したデジタル体験を開発しました。
21.生成AIの活用
ディアジオ社は最近、生成AIの力を活用して、ジョニーウォーカーウイスキーの顧客に、他にはないパッケージのパーソナライゼーション体験とスコッチウイスキーの観光体験を提供しました。スコットランドのアーティストとのコラボレーションを反映して「ジョニーウォーカー×スコット・ネイスミス」と名付けられたこのプロジェクトでは、伝説のスコッチウイスキーのファンが240ポンドを支払い、特注のラベルアートワーク付きのジョニーウォーカーブルーラベルのボトル用にパーソナライズされたラベルデザインを共同制作します。アートワークは、ネイスミスの作品の主要テーマを反映した3つの質問に対する回答によって決まり、さまざまな色、場所、芸術的なスタイル、時間帯が生成されます。
22.AIがパッケージ製造ソリューションを推進
AIを活用することで、企業は特定の顧客セグメントに合わせてカスタマイズされた、よりスマートで効率的、かつ持続可能なパッケージングソリューションを設計できます。
製造業者は、収集されたリアルタイムデータから以下のような改善を進められます。
・欠陥の軽減
あらゆる製造段階で欠陥を特定して分類し、原因を正確に特定し、品質を最適化し、無駄を減らして利益率を向上させます。
・品質保証
さまざまな製品属性を識別、測定、追跡し、製造プロセスのあらゆる局面で製品が仕様に準拠していることを確認します。
・ライブ監視
生産品質に関するリアルタイム情報を取得して、より迅速に対応し、ダウンタイムを最小限に抑え、効率を向上させます。
・継続的改善
生産傾向を特定して分析し、データに基づいた意思決定を行い、将来の問題を予測し、継続的な改善を推進します。
23.E-commerce対応包装
パンデミックの間、在宅勤務者の増加で、eコマースが爆発的に成長しました。電子商取引の成長の高まりは、オンライン食料品販売の拡大をもたらしました。パンデミックが弱まった後もこの習慣を受け入れ、積極的に取り入れています。その結果、生鮮食品を含む製品に対して、さらに高度な包装保護と生鮮食品の保護が求められています。
Amazonは、自社ブランドの製品で耐久性の高い段ボール箱を使用し、輸送中の損傷を最小限に抑えています。
900万人の顧客を抱えるオンライン薬局DocMorrisは、使い捨て段ボールの代わりに再利用可能なパッケージを使用して通信販売市場を制覇するためのパイロットプロジェクトを開始しました。オンラインストア向けの再利用可能な配送ソリューションを専門とする独のRavioli社と提携しています。使い捨てパッケージの代わりに、再利用可能な段ボール箱で商品を受け取り、開梱後、箱は平らに折りたたんで返送します。
返送された箱はチェック、清掃され、次回の持続可能な発送に備えます。 1回の配達で100グラムの紙の無駄が防げ、ライフサイクルアセスメントでは再利用可能な200グラムの箱は、わずか2往復で同じ重さの使い捨て箱より優れている可能性があり、10往復の利用で配送資材からのCO2排出量を約80パーセント削減できます。
消費者の意識の高まりと、新鮮で高品質な食品に対する欲求から、医薬品、食品、飲料など、生鮮品や電子商取引ベースの商品の輸送をサポートするコールドチェーン物流の需要が高まっています。特に成長著しい電子商取引およびオンライン食料品部門で顕著です。従って、有能なコールドチェーンパッケージプロバイダーの需要が必然的に増加します。
製薬業界においても、人口の高齢化、慢性疾患の増加、高度な医療システムの必要性により、温度に敏感な医薬品の安全かつ効率的な輸送を保証するコールドチェーン包装ソリューションの需要が急増しています。
温度管理包装業界は、需要の増加とグローバルネットワークの拡大に後押しされ、より回復力、効率性、競争力の高いコールドチェーンソリューションへと進化しています。
スマートテクノロジーをパッケージに統合することは、今後も成長を続ける傾向にあります。温度監視センサー、RFIDタグ、出荷された製品の状態に関するリアルタイムデータを提供するIoT対応デバイスが含まれます。これにより、商品の品質が保証されるだけでなく、サプライチェーンの可視性も向上します。生鮮食品については、鮮度インジケーターや製品の品質を監視するセンサーを備えたパッケージソリューションがますます普及すると予想されます。QRやAR統合などのテクノロジーは、製品情報を提供するだけでなく、没入型エクスペリエンスを提供し、より深いブランドエンゲージメントを実現します。今後もサプライチェーン全体の可視性を向上させるソフトウェアへの投資が増加します。
24.折り紙からのヒントを得た包装
フィンランドのVTT技術開発センターが独自の連続プロセスで作り出した板紙材料は、折り紙にヒントを得た繊維ベースの構造体です。プラスチックや発泡スチロールなどの保護梱包材に代わる軽量、耐久性、折りたたみ可能で、視覚的にもインパクトのある梱包材です。Amazonもプラスチック製のエアピローを再生紙製のダンネージに切り替え、年間約150億個のエアピローを交換すると発表しています。
25.返品対応包装
電子商取引では返品対応が容易に設計された包装が消費者体験を向上させています。ZARAは、返品用のラベルと封筒を同梱し、消費者が簡単に返品できるようにしています。企業は、オンライン販売のニーズに応えるために、これらのトレンドを積極的に取り入れています。
最新トレンドのまとめ
2回にわたって持続可能性とデジタル技術に絞って今後のパッケージの展望を整理しました。まさに2025年はこの2つの技術が大きな流れに乗る年といえます。
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