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フードプリント技術革新で広がる「カスタムスイーツ」ブーム

1年を通じてイベントやパーティーが多いアメリカ。誕生日や卒業式、結婚式の個人パーティーや企業イベントでは、お菓子をメインとした”プチギフト”を配る習慣があります。

そこで今話題を集めているのが、アートやロゴ、キャラクターをプリントした「カスタムクッキー」です。プリント技術の進化と共にアートやストーリー性を持つギフトチョコレートが特別なお土産品として人気を博しています。

クラフトチョコレート×アート作品は特別なギフト©Recchiuti Confections

多様性あふれるカスタムクッキー「sugar mama cocckies」

アートとコラボする 「ギフトチョコレート」

高級ギフトチョコレートとして知られる「リキュイティ」は、トリュフに特化したサンフランシスコで随一のメーカーです。中でも長年ベストセラーの「ブラックボックス」は先日「ニューヨークタイムズ」誌で「ベストギフトチョコレート」として紹介されました。 
高品質でシルキーな「リキュイティ」のトリュフは一度食べると病みつきになります。

ニューヨークタイムズ参考URL:https://www.nytimes.com/wirecutter/gifts/best-boxed-chocolates/

サンフランシスコの名所アート

フェリービルディング内にある店舗は、シックなガラスケースとギフトボックスのレイアウトで高級感を醸し出しています。その中で目を惹きつけるのが、サンフランシスコの名所ビルや港インスタレーションを司ったアートがプリントされたギフトチョコレートです。その色鮮やかな水色と白いリボンのパッケージがおしゃれでお土産スピリットを掻き立てます。名所とアーティストの説明カードが付けられ、サンフランシスコのアート文化に触れる事ができます。

高級感あふれる店内

地域の障害者を支援する取り組み

アーティストに選ばれたのは、サンフランシスコの「Creativity Explored」という障害者を支援するアートプログラムに所属するアイザックさんです。創業者のジャッキー・リキュイティさんは、「ビジネスと地域の支援は一体。若くて才能があるアイザックさんとコラボできて嬉しいです」と語ります。ギフトチョコレートの希少価値が上がりました。

進化するプリント技術

「リキュイティ」では、90年代の創業当初から、自社デザインで「転写シート」を使ってプリントしていました。看板商品のブラックボックス16ピース入りは一つ一つ食材とフレーバーが違う為、トリュフの形、プリントもそれぞれ異なります。16のイラストとフレーバーを別紙で説明したボックスは、同メーカーが先駆けとなりギフトチョコレートに変革をもたらしました。

最近ではより複雑なアートコラボを実現するには高度な技術力が必要となり、お菓子プリント専門メーカーとタッグを組みました。トリュフのプリントは、まずJpgイラストレーターの画像を送信し、トリュフの上に貼るアセテートの転写シート用のココアバターを制作し、「カカオトランスファー」と呼ばれる手法でプリントします。これによりムラなくより鮮明な発色でチョコレートとは思えないほどの美しさを放っています。

発色が良いアートプリントとおしゃれなラッピング

「ニューヨークタイムズ」で「ベストギフトチョコレート」に選ばれました

「将来的には、エンボス(立体感がある)カスタムチョコレートを創造したい」とジャッキーさんは期待をかけています。そしてこの秋には、97年から続けてきたロゴやデザイン、パッケージをよりモダンに一新して生まれ変わる予定です。

多様性豊かなパーティーを演出するクッキー「シュガーママクッキーズ」

一方、大規模なパーティーやイベントのギフトで需要が急上昇しているのが「カスタムクッキー」です。カスタムクッキーは手作りチョコレートに比べ、原材料が安価で3Dプリンターの技術革新により大量生産が可能になりました。それにより、多様性を持つ企業イベントや各種パーティー、スポーツイベントなどで出番が急増中です。

用途に応じたカスタムクッキーを3Dプリンターでカッターを制作する©sugar mama cocckies

2011年に創業したサンフランシスコのクッキーメーカー「シュガーママクッキーズ」は、3Dプリンターの進化に勝機を見出し「カスタムクッキー」に特化した新悦メーカーです。今の時代らしく実店舗を持たないオンラインショップです。注文者がオーダー内容を専用メールで送るシステムで電話受付もありません。それにより速やかに対処でき、顧客からは高い評価を得ています。

「シュガーママクッキーズ」のウェブサイトには、多様なイメージが掲載され、希望のテーマから選ぶか、または独自のデザインを添付して依頼します。製造ラインは最新の機器設備とデジタル化を徹底させ効率的でスピーディーな発送を可能にしています。

ウェディングのイメージでプリントした「カスタムクッキー」

作り方は、3Dプリンターでカッターを制作した後、自社のカラーアイシングシートで印刷します。大量生産時の目詰まり発生を抑える為、プリント専門業者と組んで仕上げます。「今では3Dプリンターを用いて、個人ビジネスでもEtsy*で簡単にクッキー販売ができるようになりました。でも要になるカラーデコレーションには、細心の注意を払う必要があります」と創業者のロクザンヌさん。ライバル業者と差別化を図るには、目的にあった良い商品作りとより早く提供する事だと強調しました。

*Estyは手芸や古物、独自の工場生産などの商品を扱うアメリカの電子取引サイト。

同メーカーは、サンフランシスコのIT大手企業「セールスフォースタワー」で開催された企業イベントで一回に7,000個のカスタムクッキーを受注したという記録を持ちます。 

企業イベントで配られた
セールスフォースのロゴを入れたチョコレート©sugar mama cocckies

プリントテクノロジーとカスタム菓子の将来

3Dプリンターでアート化していくであろう未来のお菓子 @3dprintingindustry.com/

お菓子のプリントテクノロジーはますます進化しています。ひと昔前は立体アートのカスタム菓子を作るのにケーキなら2~3日の時間を要していましたし、クッキーも型紙からデザインする作業で大量発注はできませんでした。今日のテクノロジーの進化により身近に出かけるカフェでもカフェラテの泡に写真をプリントしたり、人気アニメのキャラクターを型取ったケーキやクッキーが出回り、私たちの日常イベントをユニークに演出しています。

 

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