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マザーケアをアップデート!全てのママにリスペクトを込めて

産後はどうしても赤ちゃん中心の生活になりがちです。ママ特有の悩みはデリケートな問題ばかりで、人に相談もしづらく、気づけば自分のことを後回しにしてしまっている方も多いのではないでしょうか。ですが、出産という人生最大の変化を迎えたママ自身も、本来はしっかりケアされるべき存在です。

最近、アメリカで支持されているマザーケアアイテムは、単なる便利グッズではなく、一人ひとりのママへのリスペクトを込めて企画・デザインされているのが特徴です。
今回はそんな"ママファースト"の視点から生まれたアイテムをいくつかご紹介したいと思います。

母乳の悩みに明るく楽しくエンパワーメント:『Legendairy Milk(レジェンダリーミルク)』

授乳の悩みは多くのママにとって避けられないテーマです。「母乳が足りない気がする」「搾乳がうまくいかない」といった悲痛な声は、アメリカでも聞こえてきます。
『Legendairy Milk(レジェンダリーミルク)』は、創業者ルナ・アジズ自身が授乳に関する悩みを持ち、自分に合った解決策が見つからなかったことから、伝統的な知恵やハーブ療法を調べ上げ、科学的根拠に基づいて独自のブレンドを作成しました。そして、同じように悩む多くのママたちを助けてきました。

店頭では、一見してサプリメントとは思えない、かわいらしさとおしゃれさのバランスが絶妙なパッケージが目を惹きます。アイテム名も「Liquid Gold(液体の金)」「Pump Princess(搾乳のプリンセス)」など、ユーモアと愛情のこもったネーミングが光り、アメコミ調のイラストで描かれるママも明るく前向きで、ママ自身が主人公であると思わせてくれます。

Legendairy Milk
『Legendairy Milk』は、母乳育児において「母乳がもっと出るように」と追い込むものではなく、落ち込む必要はないと励ましてくれる、まるで長い付き合いの女友達のようなブランドです。
そんな心強さがアメリカの女性の支持を集めたのか、今では授乳期の問題だけにとどまらず、妊活・産後・更年期のホルモンバランスの変化まで幅広くカバーする商品展開を見せています。「テーマにタブーなし、小さな不調も見逃さない」という宣言通り、女性の一生を支えるブランドとして成長しています。

産後のリアルに備えるケアセット:『Frida Mom(フリダ・マム)』

産後はベビーファーストの毎日が始まる――そんなイメージから、赤ちゃんのケア用品はしっかり準備しているご家庭も多いのではないでしょうか。でも、「産後ママ」への準備はどうでしょう?特に初めてママになる方にとっては、自分の身にどんな不調や変化が起こるかすらわからなくて、備えようもなく出産を迎えてしまうかもしれません。
そんなママの現実に寄り添うのは、『Frida(フリダ)』というブランドです。『Frida』は、『Frida Baby(赤ちゃん向け)』と『Frida Mom(ママ向け)』の2つのラインを展開しており、赤ちゃんとママ、どちらのケアも等しく大切にしている姿勢が伝わってきます。

代表的なシリーズ「Be Postpartum Prepared(産後に備えよう)」は、産後に起こりやすい痛みや不快感をやわらげるためのケア用品を5つの視点でまとめたものです。洗浄、着用、冷却、鎮静、痛みの緩和と、それぞれの目的に応じたアイテムが揃っており、出産後のさまざまな場面で自分の体調や気分に合わせて、必要なケアを選んで使えるようになっています。

パッケージは、過度なキラキラ感もなく、かといって堅苦しさもない、親しみやすいデザインです。赤ちゃんを初めて迎える方にも、どんなケア用品なのかがわかりやすく、不安を与えない表現になっています。『Frida Mom』は、どんなお悩みも先回りして準備してくれている、優しく頼もしいブランドとなっています。

Frida Mom

授乳ケアにも最先端テクノロジーを:『willow(ウィロー)』

『Willow(ウィロー)』は、世界初のウェアラブル搾乳ポンプを開発した女性創業のフェムテック企業です。そんな先進技術を持つ『Willow』がママたちに届けるのが、「Find Your Flow Feeding Kit(あなたらしい授乳スタイルを見つけるキット)」です。

このキットには、乳首の違和感を和らげるジェルパッドや、温冷両用のケアパック、母乳漏れを防ぐカップ、洗って繰り返し使えるパッドなど、授乳期に起こるさまざまな悩みに対応したアイテムが揃っています。特筆すべきは、抗菌性を備えたシルバー製のカップ。オーガニック素材が好まれるトレンドに切り込むメタリック素材の活用とは、今までにない発想です。
しかもこのキット、オンライン授乳講座・相談へのアクセス権も含まれていて、アプリ開発も手がける『willow』らしいサービスです。

パッケージデザインは落ち着いた大人の女性をイメージしたもので、プロダクト自体もシンプルかつモダンなデザインです。フェムテックブランドならではの洗練されたセンスが感じられます。一般的なマザーケア用品に見られる日常感とは一線を画し、テクノロジーとデザインの力で、現代を生きる女性でもあるママのニーズに応える、新しい選択肢として注目の商品です。

willow

温かく、心までほぐすサポーター:『Munchkin(マンチキン)』

育児グッズでおなじみのブランド、『Munchkin(マンチキン)』。そのサブブランドである『milkmakers(ミルクメーカーズ)』は、授乳中のママをサポートするアイテムを多数展開しています。
なかでも注目なのが、温感機能付きのマッサージャーです。乳房にやさしい温熱と振動を届けることで、母乳の流れをスムーズにし、乳腺のつまりを防ぐことが目的ですが、ママの心に働きかけるリラクゼーション効果も高そうです。

デザインは、胸のカーブに沿うように作られた葉っぱ型です。手のひらに収まるサイズで、操作もワンタッチで簡単です。忙しい授乳期にも、毎日のケアとして取り入れやすい工夫が詰まっています。カラーや質感も、やさしいアーストーンとシリコンのしっとり感の組み合わせで、手に取った瞬間からどこかホッとできる佇まいです。実用性と癒やしを両立する、まさに"ママの相棒"のような存在です。

Munchkin

ママ友のスーザンとナンシーで乾杯!:『Mom Squad(マム・スクアッド)』

最後にご紹介するのは、授乳や育児グッズではないですが、アメリカにおけるママへの応援や、愛されムードが感じられるユニークな商品です。それが、炭酸なしのフレーバー付きウォッカウォーターブランド『Mom Water(マムウォーター)』の『Mom Squad(マム・スクアッド)』シリーズです。

あるママが家族とのバケーション中、プールサイドで楽しんでいたウォッカウォーターを、子どもが間違って飲みそうになった時に「これはママの水よ!」と冗談でラベルに書いたことが、ブランド誕生のきっかけです。このママがのちに創業者となり、今ではこの「ママの水」は多くの女性たちに楽しまれています。

『Mom Squad』とは、直訳すれば「ママ小隊」ですが、ここでは「ママ友グループ」「ママ仲間」といった、仲間意識と前向きな連帯感を感じさせる和訳をしてもいいかもしれません。缶にはフレーバーごとに、それぞれ「スーザン」「ナンシー」など、女性の名前がつけられていて、ママという役割で一括りにされがちな存在に、それぞれの個性や人生があることを思い出させるようです。

そこまで深読みせずとも、ウィットの効いた名前のついた缶たちは、なんだか"擬人化されたママ友"みたいに感じられて、理屈抜きに楽しくなりますね。
ママらしくではなく、自分らしく楽しんでいいんだよというメッセージが伝わってくるような、アメリカ式のママへのエールが感じられます。これも一つのマザーケアになるのではないでしょうか。 

Mom Squad

最後に

今回ご紹介したマザーケア商品は、どれもターゲットとして「ママ」のために作られていますが、一つのママ像に収まらない、多様で柔軟な価値観を感じさせてくれるものでした。
アメリカでも少子化は社会課題のひとつとされていますが、テクノロジーを活かした製品や、さまざまなライフスタイル・美意識に寄り添うアイテムが続々と登場する売り場には、「ママという存在を社会全体で支えよう」という意志が感じられます。このような環境が、まだ将来を意識していない人たちが「いつか自分もママになってみてもいいかも」と思えるような、前向きな空気を作っているのかもしれません。
ママであることに、もっと自由でポジティブな選択肢がある――アメリカのマザーケアには、そんな希望が垣間見えました。

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