ビジネスパーソンが読むメディア。マーケティング、セールスプロモーション、パッケージの企画・開発に役立つアイデアと最新の情報を、世界中から配信。

カナダで愛されるカナダ産の商品とそのパッケージ

カナダでは街のスーパーマーケットに行くと、高確率で隣の国、アメリカの商品が並んでいます。そもそも、カナダで店舗数が最大規模のスーパーマーケット「Walmart」も、アメリカから来た有名企業のひとつです。

そのため、普段の買い物からアメリカ産の商品に触れる機会が多く、どちらも同じ英語表記のため、どれがカナダ産の商品なのか判断が難しいのが現状です。ただ、現在カナダではカナダ産の商品に人々の注目が集まっています。そこで今回は、影響力の高いアメリカ商品に負けない、スーパーマーケットで買えるカナダ発の人気商品を紹介していきます。

カナダ産の商品が注目される背景

カナダでは、昨今のアメリカとの政治問題により、アメリカ産よりもカナダ産の商品を積極的に購入するように促す動きが増えています。スーパーマーケットの棚にも、カナダ産の商品にはわかりやすくカナダ国旗が付けられており、カフェやレストランでもお店の前に、自分達はカナダの企業だとアピールする看板を出しているところもあります。

カナダの企業だとアピールする看板
隣国がアメリカということもあり、生活の中でアメリカの影響力の強さを垣間見ることができますが、カナダ発祥の素晴らしい商品もたくさんあります。

ナチュラル&ヘルシーが売りのスナック

まずは、特にアメリカの影響が強いスナック市場です。スーパーマーケットにはアメリカ発祥のポテトチップス「Lays」や「Doritos」、「Cheetos」が棚のほとんどを占めています。そんな中、存在感を放っているのが「Hardbite」のポテトチップスです。バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア州で1998年に創業し、人工香料や保存料を一切使用せずに製造したポテトチップスです。また、非水素添加の油を使用しているため、トランス脂肪酸を含みません。

Hardbiteのポテトチップスのパッケージ
定番のソルト&ペッパーなどの他に、スパイシーディルピクルスやワイルドオニオン&ヨーグルトなど、変わり種商品も販売しています。根菜チップスやアボカドオイルで調理したポテトチップスも品揃えされ、よりナチュラルでヘルシーな印象を与えています。

歴史と信頼のあるクッキー商品

クッキーの棚では世界的人気を誇るオレオが数十種類と並ぶ中、カナダ発祥の「Celebration」シリーズも負けていません。「Celebration」シリーズを手掛ける「Leclerc」はケベック・シティの小さな部屋で1905年に誕生し、120周年を迎える歴史のある会社です。ロゴに使用されている赤いハートは創立75周年を記念し、新たなコーポレートアイデンティティとして誕生しました。

「Celebration」シリーズのチョコレートにはケベック・シティのアイコンでもあるシャトー・フロンテナックという高級ホテルの絵が描かれています。また、このシリーズにはメープルリーフというクッキーがあり、これはカナダの特産品でもあるメープルシロップを使用したカナダらしい商品です。

Celebrationのクッキーのパッケージ
同じく「Bear Paws Cookie」などでお馴染みの「Dare」もカナダ生まれの人気菓子メーカーです。こちらも歴史は長く、1889年にカナダのオンタリオ州で製造を始め、130年経った現在は、世界50カ国以上で「Dare」の商品を楽しむことができます。

また「Dare」は、北米で初めてすべての製造施設をピーナッツフリーと宣言した食品メーカーのひとつでもあります。実は、カナダの学校ではおやつの持参に厳しいルールがあり、アレルギー反応の危険性があることから、ナッツ類を含む商品に関して規制をしている学校もあります。そんな中、いち早くピーナッツフリーを宣言した「Dare」は、小さな子供を持つ保護者たちから絶大な信頼を寄せられています。

Dareのピーナッツフリークッキーのパッケージ

カナダ人によるカナダ人のためのアイスクリーム

「CHAPMAN'S」のアイスクリームは、100%カナダ産の牛乳とクリームを使って作られた人気の商品です。「Made By Canadians, for all of us Canadians!(カナダ人による、全てのカナダ人のために!)」と商品サイトのホーム画面のトップに載せているほど、カナダへのこだわりが強い企業です。

1973年に創業した家族経営の会社で、280種類以上のフローズンスイーツを取り揃えています。商品ラインナップには、グルテンフリーやラクトースフリー、卵フリー、無糖やナッツフリーなど、消費者の希望に合わせたさまざまな選択肢があります。
フローズンヨーグルトも製造しており、カナダ産ブルーベリーやメープルを使用したものなど、味もバラエティ豊かです。

CHAPMAN’Sのアイスクリームのパッケージ

国民的スポーツとのつながりの深いビール

「Molson」はカナダを代表するビールの一つです。クセがなく、すっきりした後味が特徴のラガービールで、1786年にジョン・モルソンによって設立されました。これは北米最古の醸造所と言われています。

カナダの国民的スポーツ、ホッケーとのつながりも強く、1957年にホッケーチームへの支援を始め、2009年にはチームの所有権を獲得しました。また、1973年にはトロントのメープルリーフというチームとも提携を開始しました。「Molson」は「ホッケーを観戦しながら飲むビール」というイメージがついており、カナダでは欠かせないビールの一つです。商品名にもCanadianと入っていて、カナダの水と大麦を使用したキレのあるビールは、長い間カナダ人に愛されてきた象徴的な商品です。

Molsonのビールパッケージ
また、大手ビールメーカー以外でもカナダのリカーショップでは、地元のブリュワリーが製造したビールも数多く並びます。バンクーバー生まれのクラフトビール「Steamworks Brewing Co.」が販売するビールは、名前の通り蒸気を使ってビールを醸造していることが大きな特徴で、バンクーバーでも人気のクラフトビールです。

Steamworks Brewing Co.のクラフトビールのパッケージ

安全な本物の加工肉製品

ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉を製造・販売する「Maple Leaf Foods」は1991年に設立され、現在は人工保存料、人工香料、人工着色料、人工甘味料、動物由来の副産物を一切使用しない商品の製造を続けています。また、動物たちはカナダの農場で育ち、抗生物質を使わずに飼育されています。鶏はケージフリーで、いつでも食べ物や水にアクセスできる環境で育てられるなど、飼育環境にも重点を置いている企業です。

Maple Leaf Foodsの商品パッケージ
パッケージには、カナダ国旗を象徴するような赤が使われ、社名にもなっているメープルリーフがあしらわれています。ベーコンなどの加工商品のパッケージには「Real.Simple.」という言葉を載せており、模造品や代替品ではない本物の原材料を使用した商品の販売をしています。

カナダの大自然から生まれたヨーグルト

「OLYMPIC」のヨーグルトは100%カナダ産の牛乳または乳原料を使用した商品です。グルテンやゼラチンを使用せず、なるべくナチュラルな状態で商品を製造をしています。パッケージには、カナダを代表するロッキー山脈や牛が育った牧草地をイメージするデザインになっており、大自然で育った良質な原料を使用していることを視覚的に感じられます。

OLYMPICのヨーグルトのパッケージ

カナダ産商品の特徴

カナダの商品には、カナダらしさを前面に出す工夫が多く見られます。代表的なのが、特産品であるメープルシロップを使った商品です。「Leclerc」や「Dare」のクッキー、「CHAPMAN'S」のフローズンヨーグルト、「OLYMPIC」のヨーグルトなどでメープル風味が販売されており、クッキーは味だけでなく形もメープルリーフ型にするなど、視覚的にもカナダらしさを表現しています。さらに、ホルモンや農薬の基準が厳しいカナダでは、カナダ産原料の使用が消費者にとっての安心材料にもなっています。

また、パッケージにも工夫があり、国旗に使われているメープルリーフやカナダの雄大な自然風景が載っている商品も多く見られます。今回紹介した商品のパッケージのほとんどにカナダ国旗やメープルリーフのデザインが使用されています。また、「Hardbite」のように自然の中でのアクティビティを描いたデザインも特徴的です。こうした要素によって、カナダ産の商品は同じ英語圏・北米市場にあるアメリカの商品との差別化を図っています。

▼編集部おすすめ記事

ここまでできる! オランダスーパーのプライベートブランド

イギリス人が愛すスーパーマーケット&パッケージ

このライターの記事

Top