今やベルリンの観光名所に。Ritter Sportチョコレートのフラッグシップストア
ドイツ国内唯一のフラッグシップストア、Bunte Schoko Welt
正方形の、カラフルなパッケージ。輸入食品店などで日本でもおなじみのチョコレートRitter Sport(リッターシュポルト、日本ではリッタースポーツとも)は、ドイツのメーカーです。ドイツ国内のスーパーマーケットやキヨスクで見かけないことはないほど。ドイツでその存在を知らない人はいないと言っても過言ではありません。
そのRitter Sportのドイツ国内唯一となるフラッグシップストアBunte Schoko Welt(ブンテ・ショコヴェルト)があるのがベルリン。3フロア合計1000㎡から成るストアは、2010年にオープンして以来右肩上がりの人気で、現在の来客数は1日1000〜2000人、年間百万人近くが訪れるベルリンの観光名所的存在となっています。
「Ritter Sportはドイツでは99% の人に知られていると言っていいでしょう。しかし外国ではそうではありません。外国の人に私たちのチョコレートをもっと知ってもらうために、Bunte SchokoWeltをオープンしました」とは、オープン当時から現在までこのストアを率いてきた責任者のアンドレー・ベーニッシュさん。今回はベーニッシュさんに館内をご案内いただきながら、その人気の秘密に迫りました。
五感でチョコレートに親しめる5つのコーナー
Bunte SchokoWeltは5つのコーナーから成り立っています。つまり
1. 自分のオリジナルチョコレートを作れる「チョコレートクリエーション」
2. Ritter Sport全商品とオリジナルグッズを買える「チョコレートショップ」
3. 7歳から18歳までの子どもを対象にしたワークショップコーナー「チョコレート工房」
4. カカオ農場から完成までの工程や会社の歴史を展示した「チョコレート展示」
5. Ritter Sportのチョコレートを使用したメニューも楽しめる「カフェ」の5つです。
この5部門から五感を使ってチョコレートに親しめる仕組みです。では、コーナーごとに順番に見ていきましょう。
最も人気の「チョコレートクリエーション」。そのわけは?
館内に入るとすぐにあるのが、「チョコレートクリエーション」。自分のオリジナルチョコレートをオーダーメイドで作れるコーナーで、館内で最も人気があります。注文は簡単。チョコレートのサイズ、ベース(ミルク、セミスイートなど)、フィリングを選ぶだけ。オーダーを受けると、スタッフが目の前でチョコレートを調合して、おなじみ正方形の型に流し込みます。引換券をもらったら、30分後には自分だけのチョコレートを受け取れます。値段は100gで3.90ユーロ(約515円)、250gで7.90ユーロ(約1043円)です。
このコーナーは入り口付近にあり、常に人が並んでいることで新たなお客を引きつけます。また、受け取りまでに30分間かかるというのも、じつはストアにとってはメリットがあります。最初にここでオリジナルチョコレートを注文し、その後ほかのコーナーでショッピングやお茶を楽しむという流れができあがっているのです。
■ポイント
・オーダーメイドの特別感。
・目の前で作るパフォーマンス性。
・入口付近に人気コーナーを設置。
・待ち時間をメリットへ!
限定商品がうれしいショップ
「チョコレートクリエーション」コーナーを抜けると、次にやって来るのが「チョコレートショップ」。Ritter Sportは種類が豊富で、一般のスーパーに全種類が置かれていることは、まずありません。しかしここなら常に全商品がそろうほか、このストアでしか手に入らない限定品やバッグ、ポロシャツなどのオリジナルグッズも手に入るのが魅力です。
オリジナルグッズは、Ritter Sportのパッケージの色を取り入れたデザイン。赤、黄色、オレンジ、ブルーなど、ストア名通りbunt(ブント=カラフルな)で元気なグッズは、チョコレートを食べない人へのお土産にも最適です。アジアからのお客にはマグカップが人気とのことです。
■ポイント
・多種類の商品がすべてそろう利便性。・限定品、オリジナルグッズが入手できる特別感。
・写真撮影したくなる店内ディスプレイのプロモーション展開。
子どもを対象にしたチョコレート教育
ショップの奥には、地下へと降りる階段があり、その先がワークショップコーナー「チョコレート工房」です。ここはオンラインで事前予約した子どもと引率者だけが入場できますが、今回は特別に見学させてもらいました。
工房は手前の講義ルームと奥の調理室の2つに分かれています。ワークショップに参加する子どもたちは、まず手前の部屋でチョコレートの生産工程を勉強してから、調理室で実際にチョコレートを作ります。講義室にはパネルやカカオの実の模型が置かれていました。
子どもたちが自分で作ったチョコレートは、自分で描いたオリジナルのパッケージで持ち帰れます。このワークショップはドイツ語はもちろんのこと、英語でも受け付けています。また、誕生日パーティーとして利用されることもあります。
■ポイント
・教育を通して子どもの頃からチョコレートに親しむ機会を作る。
・講義と実技の2本立て、聞いて感じることができる。
インタラクティブな展示と、SNS投稿につなげる写真撮影
次はエスカレーターに乗り、2階へ。上がったとことは「チョコレート展示」コーナーです。先ほど地下の講義ルームにあったような農場から製品にあるまでの工程を、ビデオやパネルで展示しています。このコーナーは今年(2018年)2月にリニューアルされたばかり。これまでに比べてよりオープンな空間で、インタラクティブな展示になりました。パネルにタッチすると商品の詳細や歴史などが表れます。展示はすべて独英2カ国語表記です。
展示コーナーの目玉はシェアリングボックスという、いわばプリクラのような機械。写真背景を選んでカメラの前に立ってボタンを押すと、自分の写真が撮れます。せっかくなので、ベーニッシュさんと記念撮影をしてみました。
撮影した写真は、機械の画面に入力したメールアドレスに送付されます。送付メールには撮影した写真をダウンロードするボタンとともに、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムのシェアボタンが付いており、写真をそのままSNSに投稿できるようになっています。世界中から来たお客さんがSNSでBunte SchokoWeltを広めるための工夫です。
■ポイント
・展示はすべて独英2カ国語表記。
・SNSに投稿しやすくすることで、口コミ効果を期待できる。
Ritter Sportオリジナルメニューが人気のカフェ
2階奥、つまり館内いちばん最後に現れるのが「カフェ」です。ちょうどひと休みしたいと思う頃。奥にあるので、館内のほかの場所が混んでいてもカフェでは落ち着けます。入り口にある「チョコレートクリエーション」コーナー同様、よく考えられた配置です。
ここではRitter Sportチョコレートを使ったスイーツとドリンクを楽しめます。正方形をしたチョコレートトルテや、チョコレートフォンデュ、ホットチョコレートドリンクなど、チョコレートファン垂涎のメニューばかり。もちろん普通のコーヒーや紅茶も注文できます。メニューも独英2カ国語です。外国人観光客がメインターゲットなので、すべてのコーナーにおいて2カ国語での表記が基本になっています。
■ポイント
・Ritter Sportの味をさまざまなバリエーションで味わえる。
・疲れた頃に現れる2階奥のスペース。
館内をひと通り回ったところで1階に戻り、限定商品を購入。最後に、入店時に注文していたオリジナルチョコレートを受け取りました。自分の選んだレシピカードとともに専用パッケージに入っており、今日の記念になりますし、特別感の漂うお土産にもいいと思いました。
取材で訪れているのに、いつの間にか普通のお客様の気分になっていました。それだけ誰もが楽しめるということだと思います。五感を使って体験・学び・ショッピングができ、SNSに投稿したくなる仕掛けが充実しているBunte SchokoWeltがベルリンの観光名所になるのがわかりました。
Ritter Sport Bunte SchokoWelt
Französische Str.24, 10117 Berlin
https://www.ritter-sport.de/de/besuchen/berlin.html