ニューヨークの男性を惹き寄せる、ポップアップ・マーケットで見つけたアイデア
いよいよホリデー・シーズン到来のニューヨークから、今回は、この時期になるとあちこちで開催されるポップアップマーケットについてお届けします。
様々な宗教の人が暮らすニューヨークでは「クリスマス・シーズン」より「ホリデー・シーズン」という呼び方が一般的。街中の挨拶も「ハッピーホリデー!」と声を掛け合います。
また、11月、12月は「ギフト・シーズン」と呼ばれ、普段は案外お財布の紐が固いニューヨーカーも、この2ヶ月はショッピングモードになり、ショップやオンラインサイトの売り上げは年間の6割を超すとあって、売る側も必死。いろんな戦略を打って出ます。
なかでも近年ポピュラーなのは、実店舗のないWEBショップや、スモールビジネスのメーカーを集めたポップアップマーケット。マンハッタン、ブルックリンを問わず、毎週末あちこちで開催されます。
SNSを使ったプロモーション
今年、私が注目したのは、AMERICAN FIELD(アメリカン・フィールド)ブランドディスカバーリー・マーケットプレイス(以下AFマーケット)です。きっかけはインスタグラムでした。何度となくインスタグラムのストーリーに広告が出てきて、そのおしゃれな感覚が目に止まり、ブルックリンで開催されることを知って、公式サイトを覗くまでに至りました。
インスタグラムから直接、チケットの前売り購入サイトに飛べるという便利さも魅力でした。チケットの価格は2種類あり、一般チケットは5ドル、VIPチケットは15ドルです。ただしVIPチケットの購入者のうち先着100名に、販売価格が99ドルのLLビーンのトートバッグ付き。そして、会場でカクテルが一杯無料になるというのです。
LLビーンはこのマーケットのスポンサーのひとつということを後で知りましたが、太っ腹の特典品です。先着のトートバッグを逃しても、クーポンやスワッグバッグ(Swag Bag=試供品、お土産、記念品、プロモーション用の商品などが入っていて、参加者などに配られる布製の手提げ袋)がもらえ、更にオープン時間より1時間前に会場入りできるとあって、VIPチケットが人気なのは言うまでもありません。
会場ではアプリでチェックインができます。アプリをダウンロードすると、ショッピング時に5%のキャッシュバックあり、という特典も。
AFの大きなテーマは「MEET(会う)」です。サイバーショッピングに押される今の時代に、消費者とメーカーが直接交流できる場を作り、コミュニケーションの楽しさを味わう。メーカーにとっては、ローカルのショップオーナーと出会うチャンスの場でもあります。
SHOP/TASTE/SIP(買って、味わって、ちびちび飲む)
では、ブルックリンで11月中旬に開催された会場の様子をご紹介しましょう。レディース、メンズ、ホームグッズ、ペット用品やフレグランスといったファッションや生活雑貨の他に、アルコールドリンク、ソフトドリンク、蜂蜜など、フード系も合わせて約100社が参加していました。このくらいの規模だと、歩きやすく、全部のブースを見てまわりやすいです。
入って早々、他のイベントより男性客が多いことに気がつきました。写真はテキーラのメーカーのブース。アルコール飲料メーカーが男性客を惹き寄せる?
「ジン」メーカーの試飲ブースが大人気
工夫を凝らした試飲が、男女問わず人気でした。試飲はひとり2杯まで。最初に腕に巻かれる紙テープで、年齢と数を確認できる仕組みです。試してみました。
参加型の試飲はとても楽しい。そして絵になるので、みんな写真を取ってインスタグラムにアップ!
人気の秘訣は?
AFマーケットの出店者は、アウトドアやカジュアル系のファッション、サステイナブルな製品、安全なペット用品、男女ともに楽しめるドリンクなど、テーマやターゲットが明瞭で、メーカーも客層も共に無駄なく楽しめている様子が見て取れました。他のギフトマーケットは女性客が多いのですが、AFマーケットには男性客やカップルが多かったのも印象的です。
また、クリスマスのショッピングを意識したポップアップマーケットでありながら、会場にはクリスマスらしいデコレーションがなく、クリスマスに特化した商品もありませんでしたが、十分盛況でした。
あちこち歩き回らなくても一箇所でいろんなギフトが探せるポップアップマーケットは、時間の削減にもなり、ホリデー・シーズン気分も盛り上がるので、私も毎年利用しています。オンラインでモノを買える時代の、ショップやイベントづくりの参考になるのではないでしょうか。
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