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ニューヨークの最新レストラン事情。コロナ禍で生まれた「オープン・レストラン・プログラム」とは

今回は、新型コロナウイルス影響下のニューヨーク市(マンハッタン、ブルックリンなど5地域)のレストラン事情をご紹介します。

Photo:クオモ州知事が作成指揮、州のサイトで販売している”NEW YORK TOUGH”のポスター。パンデミックの始まりから収束までのニューヨーク州の111日間をイラストで表現しています。みんなで頑張った証に、私も一枚購入しました。

ピーク時には全米の中でも断トツで陽性者数や犠牲者が多かったニューヨークでも、8月22日現在、全米での一日の新規陽性者数が約4万1千人に対し、ニューヨーク州は700人、ニューヨーク市は300人を切り、感染率も1%以下という安定した状況が続いています。

ニューヨークのオープン・レストラン・プログラム

Photo:夜は電飾の灯りが、今までになくストリートの雰囲気を盛り上げています。

ニューヨーク州の経済の再開は、他州と比べるとかなり慎重です。レストランやバーは外席のみとしてオープンしています。人が密集しがちなバーは着席だけが許可され、食事(ポテトチップスなどのスナックでも良い)と一緒でなければアルコールはオーダーできません。

食事中以外はマスク着用が基本。夜も23時には閉店と市のルールは厳しいですが、店にとっても市民にとっても安全に外食ができるのはありがたいこと。売り上げは店によって格差がありますが、このプログラムはなかなか好評のようです。

屋外の客席は、歩道と車道に設営できます。

Photo:ニューヨーク市のサイト「NYC DOT」から引用( https://www1.nyc.gov/html/dot/html/pedestrians/openrestaurants.shtml )

Photo:ブルックリン、フォートグリーン地区の様子。右側が歩道の座席、左手前が車道の座席。

設置条件は以下の通りです。

■歩道の座席

• 座席とテーブルは、店の壁にできるだけ近づける。

• 歩道の座席エリアはビジネスの間口を超えることはできない。

• 歩行者のために8フィート(約244cm)の歩道を確保する。

• 隣接するビジネスから3フィート(約91cm)以上離れている必要がある。

• バス停の待機エリアをブロックできない。

• テーブルと椅子は申請者が用意する。

■車道の座席

• ドライバーの視界を維持し、飲食客を保護するために、道路にある座席の囲いの3辺すべてにプランターや同様のサイズと重量の防護壁を作成し、座席を走行車線から分離する。このバリアは道路の3つの側面すべてに必要で、幅が18インチ(約46cm)、高さが30〜36インチ(約76~91cm/植栽を除く)である必要がある。

• 上記3つのバリアは、縁石から8フィート(約244cm)以内に配置する。

• 道路の座席は、店の間口の長さを超えることはできない。

• 黄色の高輝度再帰反射テープ、またはリフレクターですべてのバリアを明確にマークすることにより、バリアの可視性を確保する。

• 通過する交通を遮る照明を設置しない。

• 座席またはバリアを消火栓から15フィート(約457cm)以内に配置しない。

• 横断歩道の8フィート(約244cm) 以内に座席や防護壁を配置しない。

• 駐車/停車禁止ゾーン、自転車レーン、バスレーン/ストップ、タクシー乗り場、またはカーシェアスペース内に座席を配置しない。

• 傘やテントは全てバリアを超えて伸びたり、ユーティリティカバーへのアクセスや換気を妨げたり、道を妨げたりしてはならない。傘やテントは強風などの悪天候時には使用しない。

Photo:ダウンタウン・マンハッタンのレストラン。右側が歩道の座席で左側が車道の座席。歩行者用のスペースもちゃんと取っています。

Photo:ロウワーマンハッタンのタイレストランは、車道の座席とテイクアウト、デリバリーでビジネスを再スタート。

Photo:マンハッタンのソーホー地区にある「La Mercerie 」は、ワンブロック分ある店舗サイズを活用して歩道席と車道席を充実させています。

Photo:「La Mercerie 」では着席の前に体温を測ります。高級店ほどこのシステムを取り入れる傾向にあるようです。

車道を歩行者天国に

もうひとつ、車両の通行を止めて座席スペースを確保するというプログラムもあります。時間帯は、金曜の17時~23時と、土日の12時~23時。1ブロック内にある3店舗以上のレストランが1つのグループとなり、一緒に申請できます。

Photo:ブルックリン、パークスロープ地区の5アベニューは、週末、車道を歩行者天国にするプログラムに参加。

「Build back better(より良い再構築)」を目指して

世界を見てみると、ロンドンでは新しいウォーキングルートやサイクリングルートを作成し、歩道を広げ、住宅街の交通を制限する計画に着手。パリも新しい自転車レーンを追加する計画がスタートしているそうですね。

このダイニングプランは10月31日で一旦終了しますが、ニューヨーク市長は「パンデミックが収拾しても来春にはまたこのプログラムを再開する」と発表しました。他にも、ウォーキング、サイクリング、ダイニング、学校のための車道の転用を行う可能性を、ニューヨーク市は模索中とのこと。

「Build back better(より良い再構築)」は、ニューヨーク州・市のスローガン。このパンデミックで失ったものの大きさは計り知れませんが、視点を変え、市民にとってより良い方向へ市の仕組みを軌道修正しようというもの。パンデミック収拾後のニューヨークの道路は再び車が支配するのか?こちらも注目される案件の一つなのです。

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