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フランス発!機能性パッケージで洗い物不要へ。時短促進の食品パッケージ。

フランスで初めて見た機能性のあるパッケージ商品

今回フランスからご紹介するのは、「Sachet Cuisson(調理用の小袋)」と呼ばれている、お米や穀物を小分けにした機能性の高いパッケージが使用されている商品です。

写真:商品パッケージに小袋を描いて機能性パッケージをアピール

通常は、お米やクスクスのスムールなどはカートン製の箱の中に直接入れたものがスタンダードなスタイルですが、15年以上前からこの小袋入りが登場し、今ではどんなスーパーでも、通常の箱の隣に必ず並べて売られています。

パッと見は似たような箱なので間違いやすいのですが、正面に「小袋入り」の文字がイラストや写真とともに表示されています。ブランドや穀物の種類にもよりますが、1箱3〜5袋入りのものが一般的です。

穀物を小分けに入れた小袋は、そのまま熱湯の中に入れて茹でることができ、時間がきたら引き上げて、袋に小さく開けられた穴のおかげで湯切りができるという仕組み。ザルを使わずに済むところが、なんといってもこの小袋の画期的なポイント!フランスに来て初めてこのシステムを発見した時は、ちょっとした衝撃を覚えました。

写真:小袋(機能性パッケージ)が3~5袋、各商品入っています。

写真:フォークを通す穴が工夫された機能性パッケージ

小分けできる食品パッケージで珍しい食材を使いやすく提供

日本と異なり、フランス人にとってお米は主食ではなく付け合わせの野菜のような存在。種類も日本人が食している丸米ではなく、インド米やタイ米、バスマティライスのような長細く硬めのお米が主流です。あくまでもお米は、マッシュポテトやフライドポテト、さやいんげん、ラタトゥイユなど数ある付け合わせの中のひとつですから、フランス家庭の食卓に上がる頻度は低く、炊飯器も一般的ではありません。

お米を調理するときはパスタと同じ要領で、たっぷりの熱湯に必要な分量のお米を投入して茹で、出来上がったらザルに鍋ごとあけ、お湯を切ります。通常のお米が入った袋や箱には、コップ1杯が2人前、といった目安が書かれているのですが、 お米を調理しなれないフランス人にとって、どれくらいの分量がちょうど良いのかわからないという悩みもあるようです。

その点、小袋入りのお米は、1袋あたり1人前と分かりやすく分量で迷う心配がないというところも重宝されている理由のひとつでしょう。この小袋のシステムは、お米の他にクスクスのスムールや、栄養価が高いことで人気を集めるキノアやソバの実、大麦などの色々な穀物に用いられ、スーパーの棚にずらりと並んでいます。

こうした穀物類は、一般的なフランスの家庭料理として用いられることが少ないため、たまにしか利用しない食材と言えます。だからこそ、小袋に分けられているものならば、分量も計る必要なく、そのまま茹でたらOKという手軽さがウケているのだと思います。

使いやすさを追求した(機能性)パッケージの工夫

ポリプロピレンやポリエチレンといった耐熱のポリ袋を使用していますが、ブランドや穀物の種類ごとに、さまざまな工夫が施されています。

まず、どの袋にも上部に横長のスリットが入っており、茹で上がった際にフォークなどをそこに差し入れて引き上げやすい仕組みになっています。そのまま完全に湯切りできるまで持ち上げていればOKです。

次に、スリットのすぐ横に切り口があり、そのまま裂いて簡単に袋を開けられるようになっています。スムールの小袋と大麦・キヌア他の4種の穀物が入った小袋は、下部の角に耳のような部分がもうけられ、穀物がそこに入り込まないようになっています。これは、湯切りのスピードを上げるという目的がひとつ。もうひとつの目的は、袋を逆さにして中身を器に移し入れる際に、角っこを指で持ちやすくするためです。以前はこの耳がないために、熱々の中身が入った部分をつまみながら必死で袋を逆さに振りながら器に移していたものです。

写真:左端の下部を持ち手として設計。形状の工夫が施された機能性あるパッケージ

写真:商品ごとに工夫され使い手に便利なパッケージ形状になっている

また、スムールとお米の袋は目に見えるほどの大きな穴は開いておらず、とても細かな極小の穴があり、それによってよりおいしい茹で加減とスピーディーな湯切りができるようになりました。調理用の小袋はこうした改良を繰り返し、以前よりもさらに使いやすく便利になっています。

どんな風に食べるの?

クスクスは北アフリカから中東にかけて食されるお肉と野菜をスパイスとともに煮込んだ料理で、その付け合わせとして知られるのがスムールと言われるとても細かい粒状の小麦食材です。世界で最小のパスタとも言われています。移民の多いフランスではクスクス料理は大変馴染みがあり、乾燥したスムールも通常のお店で購入できます。

一般的なフランス人家庭でクスクスを作る機会は稀ですが、スムールを使ったサラダ「タブレ」は家庭料理として浸透しています。ふかしたり茹でたりしたスムールにオリーブオイルをまわしかけ、オニオン、トマト、キュウリのみじん切りを加えて和え、レモン汁とミントで香りをつけます。そこに角切りにしたローストチキンやハム、エビなどをお好みで入れる場合もあります。

さっぱりとして食べやすいタブレは、調理済みのものがスーパーの惣菜コーナーに必ずあり、フランス人にとっておなじみのサラダです。大麦やキノアは、茹でてお肉や魚の付け合わせとして食べる場合もありますが、お米の代わりとしてお肉や野菜と一緒に炒めて食べてもおいしいです。

写真:今回の商品使って作ったクスクススムールを用いたタブレの調理例

価格はやっぱり割高?

今回購入した商品の価格は、クスクスのスムール500g(100g x 5袋)で1.75€、バスマティライス450g(90g x 5袋)で2.49€、大麦・キヌア・そばの実・クスクスのミックス375g(125g x 3袋)で2.95€。

お米ならば通常の箱は1キロ入りで2.30€のところ、小袋バージョンだと450g入りでほぼ同じ値段という感じです。袋に小分けされていない箱入りの通常のものに比べると、当然のごとくキロあたりの価格は高くなりますが、あの便利さや手軽さを考えると、小袋入りを購入する人が絶えないのも分かります。

Monoprix(モノプリ)

今回、こちらの商品を購入したのはフランスでおなじみのスーパー「Monoprix(モノプリ)」です。パリの街角で看板をよく見かけるこちらのお店は、食品、雑貨、衣料、コスメ、書籍とトータルに、しかもセンス良くセレクトされた商品が見つかる、パリジャンに人気のチェーン店です。

食品売り場では、お惣菜やパンを買うだけでなく、おみやげに持ってこいのプチプライスなグルメ商品もたくさん揃います。おしゃれなデザインの食器や文房具、人気クリエイターとコラボした洋服など、モノプリでしか買えないリーズナブルでパリらしいセンスあるアイテムに出会えます。

写真:Monoprix(モノプリ) 入口

写真:Monoprix(モノプリ) 店内売場 陳列棚

写真:Monoprix(モノプリ) お店内観

写真:Monoprix(モノプリ) 店内のディスプレイプロモーション展開

写真:Monoprix(モノプリ) 店内売場 陳列棚

 

今回ご紹介の機能性パッケージ活用の商品メーカー

Lustucru

Tipiak

Ebly

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